第72話 高速部隊を育成!
誘魔の香炉から淡い煙が立ち上ってから、十分も経たないうちに、石造りの通路の奥からウルフが次々と現れ始めた。
「来た来た!」
待ち構えていたスケルトンたちが一斉に動く。オークチャンピオンの巨大な斧がウルフを弾き飛ばし、オーガスケルトンの棍棒が別の一体を石床へ叩きつける。後ろからは矢と魔法も飛び、今の戦力では第5階層のウルフが近づくことすら難しい。
倒れたウルフを陸が次々にスケルトン化し、そのままストックへ入れていく。
「これならすぐ集まりそうだな!」
前に香炉を使った時と同じように、少し待てばまた足音が近づいてくる。陸は倒れた個体が消える前に回収しながら、時々スケルトンストックを確認した。
それから二十分ほど。
━━━━━━━━━━━━━━
【スケルトンストック】
ウルフスケルトン ×19
━━━━━━━━━━━━━━
「よし、十九体揃った!」
陸はすぐに誘魔の香炉を止めた。ここでウルフを倒し続けても、相手のレベルは低い。育てるなら第7階層の方が早い。
「次、第7階層!」
戦闘用に出していたスケルトンを整理し、今度はオークチャンピオンやオーガスケルトン、前衛や魔法を使える既存のスケルトンを多めに召喚する。その中へ、集めたばかりのウルフスケルトンを数体だけ混ぜた。
「最初はこれくらいでいいな」
いきなり育てたい個体ばかりにして、戦えなくなっては意味がない。まずは強いスケルトンに支えさせながら育て、戦える個体が増えたら少しずつ入れ替えていくつもりだ。
階層転移で第7階層へ移動すると、青白く光る鉱石の埋まった大きな洞窟が広がった。
「よし。ここで上げるぞ!」
少し広い場所を選び、再び誘魔の香炉を使用する。
しばらくすると、高い天井の方から羽音が重なって聞こえてきた。
「来た!」
ジャイアントバットが次々と天井から飛び出してくる。最初の一体が急降下した瞬間、オークチャンピオンの斧が横から叩き込まれた。別の一体にはゴブリンメイジの魔法が直撃し、高度を失ったところへウルフスケルトンたちが一斉に飛びかかる。
「いいね! そのまま!」
強い既存個体が前を支えている間に、ウルフたちも戦闘へ加わっていく。
倒れたジャイアントバットを、陸は消える前にスケルトン化してストックへ入れた。
「これで追加一体。あと八体!」
何度か戦闘を繰り返したところで、陸は一度管理画面を開いた。育成中のウルフを順番に見ていくと、そのうち一体がLv.10になっている。
「お、上がってる!」
すぐにその個体を選び、進化先を開く。
━━━━━━━━━━━━━━
【進化先を選択してください】
ブラックウルフ
能力をバランスよく伸ばした進化。
ストライクウルフ
噛みつきの攻撃力に優れた進化。
スピードウルフ
速度に特化した進化。
━━━━━━━━━━━━━━
「今回はこれ一択!」
スピードウルフを選択する。
━━━━━━━━━━━━━━
【進化を実行しますか?】
ウルフ
↓
スピードウルフ
はい/いいえ
━━━━━━━━━━━━━━
陸は迷わず【はい】を押した。
━━━━━━━━━━━━━━
【進化が完了しました】
ウルフ
↓
スピードウルフ
ランク:E
Lv.10
━━━━━━━━━━━━━━
「よし! 二体目!」
新しく進化したスピードウルフスケルトンを戦闘へ戻すと、さっきまでより明らかに速い動きで横へ抜け、ジャイアントバットが落ちてくる位置へ先回りした。
「やっぱ速いな!」
さらに戦闘を続け、Lv.10になったウルフから順番にスピードウルフへ進化させていく。育った個体が増えるたびに既存の強いスケルトンを一体ずつストックへ戻し、代わりにまだ育っていないウルフを召喚した。
最初は少なかった高速部隊候補が、少しずつ戦場の中で増えていく。ジャイアントバットスケルトンの数も、その間に着実に増えていた。
「これならいけそうだな!」
陸は次々と動くスケルトンたちを見ながら、さらに香炉から呼び寄せられてくる魔物を待ち構えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや☆評価、感想で応援していただけると励みになります!




