表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
7/40

第7話 友達とLINE電話!

 自分の部屋へ戻った陸は、そのまま風呂場へ向かった。ずっとダンジョンを歩き回っていたせいで、思っていた以上に汗をかいている。


 服を脱いでシャワーを浴びると、ようやく身体から力が抜けた。


「はー、生き返る」


 頭からお湯を浴びながら、さっきまでのことを思い返す。ゴブリン。宝箱。鉄の剣。レベルアップ。それに、今この瞬間もスケルトンたちはダンジョンで狩りを続けているはずだ。


「……いや、やっぱ便利すぎるだろ」


 思わず笑う。


 シャワーを終えると、Tシャツと短パンに着替えて、そのままベッドへ倒れ込んだ。


「疲れたー!」


 枕元に置いていたスマホを掴む。画面をつけると、グループLINEのところに通話中の表示が出ていた。


「お、電話してんじゃん」


 迷わず参加を押す。


『あ、陸きた』

『おっそ』

『何してたんだよ』


「ダンジョン行ってた!」


『やっぱ行ってたか』


 スマホを耳元に置いたまま、陸は仰向けになる。


 通話しているのは、地元からの友達三人。高橋海斗(たかはしかいと)加藤蓮(かとうれん)中村虎太朗(なかむらこたろう)。小さい頃から付き合いが続いている、いつもの三人だ。


「海斗たちも行った?」


『行った行った』

『俺も』

『まあ、一応』


「どうだった!?」


 陸が勢いよく聞くと、最初に海斗が答えた。


『いや、普通に怖かったわ』


「海斗が?」


『陸、ゴブリン見た瞬間テンション上がっただろ』


「ちょっと上がった」


『やっぱりな』


 蓮が笑う声が聞こえる。


『俺んとこ家族で行ったぞ』


「家族で!?」


『親父と母さんと妹。みんな家にいたから、四人で話して一緒に入ってみた』


「家族パーティーじゃん!」


 蓮の家は実家暮らしだ。こういう時、一人暮らしの陸とはだいぶ状況が違う。


『で、親父のスキルが当たりっぽかった』


「何だったの?」


『なんか防御系。身体の前に透明な壁出せるやつ』


「うわ、普通に強そう!」


『ゴブリンに殴られても全然平気だった』


「蓮の親父、タンクじゃん!」


『しかも本人めっちゃ楽しんでた』


「親父までノリノリなのかよ!」


 蓮が笑う声が聞こえた。


 今度は虎太朗が口を挟んだ。


『うちは妹が強かった』


「虎太朗も家族で行ったの?」


『俺と妹だけ。親はさすがに怖いって残った』


「で、妹何だった?」


『アイスショット。C』


「え、C!?」


『氷の塊みたいなの飛ばせる。ゴブリンに当てたら普通に吹っ飛んだ』


「妹めっちゃ強いじゃん!」


『俺Fなのに』


「完全に妹の方が当たりじゃん!」


『うるせえ』


「虎太朗はスピードアップだっけ?」


『そう。ちょっと速くなるやつ』


「妹に守ってもらった?」


『一回だけ』


「守ってもらってんじゃん!」


『マジでうるせえ!』


 陸はベッドの上で笑いながら身体を丸めた。


 蓮が今度は海斗へ話を振る。


『海斗は?』


『俺は一人で行った。親は怖いって家に残ってた』


「ソードブースト使えた?」


『剣ねえから使えねえって言っただろ』


「あ、そうだった!」


『賢さ10あるくせに忘れんなよ』


「賢さ3の海斗に言われたくねえ!」


『それ今関係ないだろ!』


 また笑い声が重なった。


 朝にステータスを見せ合った時と、何も変わらない。世界がおかしくなって、玄関の向こうがダンジョンになって、それぞれ変なスキルまで手に入れたのに、四人で話していると妙にいつも通りだった。


 少しして、蓮が陸へ話を戻した。


『で、陸は? スケルトンラッシュだっけ。どうだった?』


「あー、普通に使えたよ」


『モンスター骨にできた?』


「できたできた」


『強いの?』


 陸は一瞬だけ止まった。


 SSS。剣を持ったスケルトン。何体にも増えたゴブリンスケルトン。しかも今は、自分が家にいる間も勝手に狩っている。


「まあ、そこそこ?」


『そこそこって何だよ』


「ゴブリン相手なら普通に戦える感じ」


『Eならそんなもんか』


「たぶん!」


 さらっと返して、そのまま話題をずらす。


「蓮、ファイヤーボール使った?」


『使った』


「どうだった!?」


『普通に火の玉飛んだ』


「いや、それは知ってる!」


『でも思ったより小さかったぞ。バスケットボールくらい』


「十分デカいだろ!」


『家の中で試したら母さんに怒られた』


「家で撃ったの!?」


『壁ちょっと焦げた』


「何してんだよ!」


『いや、使ってみたくなるだろ』


「それは分かる!」


『分かるんかい』


 しばらく、そのまま四人で喋り続けた。誰が一番ゴブリンにビビったとか、どのスキルが一番当たりっぽいとか、次にダンジョンへ行くなら何を持っていくかとか。


 気づけば、さっきまで感じていた疲れもだいぶ抜けていた。


 ふとスマホの時刻を見る。


「……あれ、もうこんな時間?」


『ん?』


「昼じゃん」


 そう言った瞬間、腹が鳴った。


「うわ、腹減った」


『なんか食えよ』


「そうするわ」


 陸は通話を切る前に、ちらっと玄関の方を見る。扉の向こうでは、今もスケルトンたちが働いている。


 どれくらいポイントが増えているのか。それを考えたら、急に昼飯まで少し楽しみになってきた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや☆評価、感想で応援していただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ