第59話 エリナとご飯!
陸はエリナを連れ、第6階層の入口まで戻った。
途中で何度か魔物と遭遇したが、二十体のスケルトンがいる以上、陸が何かするまでもない。エリナは最初こそ戦うスケルトンたちを不安そうに見ていたものの、陸の近くから離れずについてきた。
入口まで着くと、陸は二十体を三、四体ずつの小さな部隊に分け、それぞれ別方向へボス部屋を探しに行くよう命令した。スケルトンたちは順番に洞窟の奥へ散っていく。
最後の部隊が見えなくなったあと、陸はエリナと一緒に階層転移を使って玄関前へ戻り、そのまま家の中へ入った。
リビングへ入ると、エリナはその場で立ち止まり、大きなソファや壁のテレビ、奥へ続く廊下をきょろきょろと見回した。
「ここが俺んち」
「……おうち?」
「そうそう。しばらくここにいればいいよ」
エリナはまだ珍しそうに辺りを見ている。
陸はそんな様子を眺めてから、さっき洞窟で肉を勢いよく食べていたことを思い出した。
「そういや、まだ腹減ってる?」
エリナが陸を見る。
少しだけ間を置いて、小さく頷いた。
「……うん」
「やっぱまだ減ってんのか」
さっきもかなり食べていたはずだ。陸は少し笑いながらショップを開く。
「何食べたい? 出せるもんなら何でも出すぞ」
エリナの目が少しだけ大きくなる。
「……おにく」
「肉な」
「おさかなも……」
「いいよ」
陸がすぐ答えると、エリナは少し考えてから続けた。
「くだものも、たべたい」
「果物もな。他は?」
「……あまいの」
「甘いのな」
「じゃあ全部出すか」
陸はショップから食べられそうなものを次々と選んだ。
焼いた肉に魚料理。野菜の入った料理もいくつか並べ、果物を盛った皿、その横には甘いものとしてクッキーや小さなケーキ、プリンまで置いていく。
リビングのテーブルが一気に料理で埋まった。
「こんなもんでどう?」
エリナは並んだ料理を見たまま固まっていた。
「……ぜんぶ、たべていいの?」
「いいよ。好きなだけ食べな」
その言葉を聞いた途端、エリナの表情がぱっと明るくなった。
まず肉へ顔を近づけ、大きく一口。すぐ次を食べ、そのまま魚へ移る。さっきまで遠慮していたのが嘘みたいに、どんどん皿の上から料理が消えていった。
「うまい?」
「おいしい!」
「そっかそっか」
今度は野菜を口へ運び、果物を食べ、また肉へ戻る。好き嫌いしている様子はなく、目についたものを順番に食べていく。
陸は向かいのソファに座り、その様子を眺めていた。
「……マジでよく食うな」
エリナは返事をする暇も惜しいのか、口を動かしたまま次の皿へ前脚を伸ばす。
肉の皿が空になり、魚もなくなった。野菜まできれいに食べ終えると、今度は果物へ向かう。
「まだ入るの?」
エリナが大きく頷く。
「入るんだ……」
陸は思わず笑った。
果物を食べ終えても勢いは止まらない。クッキーを前脚で器用につまみ、口へ運ぶ。次にケーキを食べると、琥珀色の目がさらに輝いた。
「それ好き?」
「これ、おいしい!」
「じゃあもう一個いる?」
「いる!」
すぐに返ってきた声が、さっきまでより明らかに元気だった。
陸は追加でもう一つケーキを買い、ついでにプリンも増やした。
それも全部食べ終わった頃、ようやくエリナの勢いが止まった。
「……おなかいっぱい」
エリナは満足そうに息を吐き、その場にぺたんと座る。翼も力が抜けたように少し広がっていた。
「そりゃそんだけ食えばな」
空になった皿の数を見て、陸は笑う。
洞窟で泣いていた時とは違って、今のエリナはかなり落ち着いて見えた。
「よかったな」
エリナが陸を見る。
「なにが?」
「いや、なんでもない」
陸は立ち上がり、空いた皿を片づけた。
食事を終える頃には、エリナもだいぶ落ち着いていた。陸は次に何をしようか少し考え、ゲームルームのことを思い出した。
「そうだ。エリナ、ゲームやる?」
「げーむ?」
聞き慣れない言葉だったのか、エリナが首を傾げる。
「遊ぶやつ。たぶん面白いぞ」
陸が廊下の方へ歩き出すと、エリナもすぐ後ろからついてきた。
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