第55話 サモンマップ!
ステータスに追加されたばかりのスキルへ、陸はすぐ意識を向けた。
「サモンマップ、使ってみるか!」
視界の前に青白い光が広がり、見慣れたウィンドウとは少し違う大きな地図が浮かび上がった。
「おお……!」
表示されているのは第6階層だった。
複雑に折れ曲がった通路が広範囲に伸び、そこからさらに何本もの道が枝分かれしている。地図になっているのは、スケルトンたちが実際に通った場所だけだった。
「広っ!」
陸は思わず画面へ顔を近づけた。地図を動かしてみても、探索済みの通路はまだまだ続いている。
「こいつら、こんなとこまで行ってんのかよ!」
探索済みの範囲には、いくつもの印が表示されていた。よく見ると六体ずつ三か所に固まっている。
「これが今いる場所か!」
そのうち一体を選び、別方向にいる一体を指定すると、二地点の距離が表示された。
「うわ、めっちゃ離れてんじゃん!」
別の集まりも見てみる。方向も距離もまるで違う。
陸は面白くなって地図をあちこち動かした。
「これめっちゃいいな……」
さらに見ていると、探索済みの場所の何か所かに小さな表示がついていることに気づいた。
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モンスターハウス
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「え、モンスターハウス!?」
陸は表示された場所を拡大した。
「こんなとこにあんのか!」
陸が行ったことのない場所だ。別の場所にも同じ表示がある。
「あとで行ってみてもいいな」
そう言いながらさらに地図を追うが、どこにもボス部屋の表示はなかった。
「こんだけ探しても、まだ見つかってないのか……」
三つの部隊が広く散っている理由も、地図を見ればよく分かった。
しばらくサモンマップを眺めていた陸は、地図上の印を見ながら首を傾げた。
「……あれ?」
六体ずつ三か所。数えても十八体しかいない。
「そういや、オーガとオークチャンピオンどこ行った?」
ボスバトルで新しく加わった二体を思い出し、管理画面を開く。
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【ボスバトル加入個体】
オーガスケルトン
D Lv25
待機中
オークチャンピオン
D Lv29
待機中
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「いた! こんなとこにいたのか」
二体を見つけたところで、陸は誘魔の香炉のことを思い出した。
「そうだ。香炉使うなら、こいつらも出したいな」
三つの部隊も散らばったままだ。せっかくなら全員まとめて使いたい。
外はもう夜だったが、命令だけなら今のうちに出しておける。
「戻ってくるまで時間かかりそうだし、今言っとくか」
陸は玄関へ向かい、階層転移を使って第6階層へ移動した。
青白い光が消えると、目の前には見慣れた岩肌と、淡く光る鉱石が広がっている。
陸はサモンマップを開いた。六体ずつ固まった印は、三方向ともここからかなり離れた場所にある。
一番遠い印を選ぶと、陸がそこまで普通に移動した場合の推定所要時間が表示された。
「やっぱ結構かかるな」
通路の奥へ目を向け、意識を集中させる。
第6階層入口まで戻ってこい。
「……これでいいかな」
昔と同じで、命令が届いた瞬間を確認できるわけではない。それでも、今ならサモンマップで位置を見れば動きは分かる。
少し待ってから地図を見ると、一つの集まりがゆっくりこちら側へ動き始めていた。
「お、戻ってきてる!」
ほかの二つの集まりも、少しずつ方向を変えている。
「よしよし。じゃあ明日の朝だな」
陸はそのまま階層転移で玄関前へ戻った。
翌朝。
起きてすぐサモンマップを開くと、昨日まで遠く離れていた十八体の印が、第6階層入口の近くへまとまっていた。
「来てる!」
陸はすぐに支度を済ませ、第6階層へ向かった。
階層転移の光が消える。
その先には、三つの部隊に分かれて探索していた十八体のスケルトンたちがまとまって待っていた。
陸はそのまま管理画面を開き、待機中の二体を順番に選んで召喚する。
青白い光が二つ広がる。
まず現れたのは、棍棒を持った大柄なオーガスケルトン。その隣へ、巨大な斧を持ったオークチャンピオンが姿を現した。
「よし、ちゃんと出せた!」
十八体の横へ二体が加わる。
「これで二十体!」
陸は並んだ軍団を見回してから、所持アイテムから誘魔の香炉を取り出した。
「よし。今日はこいつ試すぞ!」
いきなりここで使うのではなく、まず狩りやすそうな場所を探す。少し周囲を歩き、サモンマップで地形も確認しながら進んでいくと、細い通路の突き当たりに少し広い空間があった。
奥は岩壁で行き止まりになっていて、出入り口は今通ってきた一本だけだ。
「ここいいじゃん!」
陸は奥の空間へ入り、細い通路の方を振り返った。
「こっから来るなら、まとめて相手できるな」
前衛を細い通路の近くへ置き、その後ろに弓と魔法を使えるスケルトンを配置する。陸自身はさらに奥へ下がった。
準備ができると、空間の中央近くへ香炉を置く。
「じゃ、使ってみるか」
誘魔の香炉を使用する。
香炉の中から、淡い煙のようなものがゆっくり立ち上った。すぐに何かが起きるわけではない。
「……来るかな」
陸は通路の奥を見た。
少しして。
遠くから、硬いものが岩場を踏む音が聞こえてきた。
「おっ」
一つではない。
別の足音が重なり、その奥から獣の低い鳴き声まで聞こえてくる。
「来た来た!」
やがて細い通路の向こうから、複数の魔物が姿を現した。
先頭の一体がこちらへ飛び込んだ瞬間、待ち構えていた前衛たちが一斉に動いた。
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