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第54話 世界1位の報酬!

「もう食えねえ……」


 陸はソファへ身体を預けたまま、重くなった腹をさすった。テーブルには食べ切れなかったピザとポテトが少し残っている。さっきまで勢いよく食べていたのが嘘みたいに、今は動く気になれない。


 そのまましばらくぼんやりしていると、不意に目の前へ青白い光が集まり、一枚のウィンドウになった。


「ん?」


━━━━━━━━━━━━━━

【ボスバトル終了】


期間限定イベント

【ボスバトル】が終了しました。

━━━━━━━━━━━━━━


「あ、終わった!」


 陸は反射的に身体を起こしかけ、腹の重さに顔をしかめながらスマホへ手を伸ばした。


「もう九時じゃん」


 時刻は21時を少し回ったところだった。すぐにボスバトルのランキングを開く。


━━━━━━━━━━━━━━

1位 JOHN

スキル:スケルトンラッシュ

ランク:SSS

到達戦:第五戦

進行度:残HP100%

━━━━━━━━━━━━━━


「よっしゃ! 一位のまま!」


 陸が拳を握ったところで、ランキングの上へ新しいウィンドウが重なった。


━━━━━━━━━━━━━━

【ボスバトル 最終結果】


最終順位:1位


【特別報酬】

100,000,000P


誘魔の香炉

ランク:A

━━━━━━━━━━━━━━


「……一億? 一億P!?」


 陸は思わず画面へ顔を近づけた。


「やっば! 一位で一億もらえんの!?」


 これまで千万単位でも十分すぎると思っていたのに、一度の報酬で一億だ。しばらく数字を眺めてから、その下にあるもう一つの報酬を開く。


━━━━━━━━━━━━━━

誘魔の香炉

ランク:A


魔物を強く引き寄せる特殊な香りを

周囲へ広げる香炉。


使用中、一定範囲の魔物が

使用者のもとへ集まりやすくなる。


使用者とその味方には

効果を及ぼさない。


消費されず、繰り返し使用できる。

━━━━━━━━━━━━━━


「え……これ、めっちゃいいじゃん!」


 陸は一気に身体を起こした。


「待ってるだけで魔物来るってことだろ? それをスケルトンで倒しまくったら……経験値稼ぎにぴったりじゃん!」


 陸は香炉の説明を閉じかけて、もう一度開いた。


「レベル上げて、もっと奥行って、また強いやつ倒して……やば、最高だな!」


 ひとしきり香炉を眺めたところで、増えたばかりのポイントが目に入った。


「一億Pか……」


 今の家は十分すぎるほど豪華だ。食品もショップで好きなだけ買えるし、スケルトンたちの装備も鍛冶と錬金でかなり整ってきた。


 少し考えた陸はショップを開き、スキルカテゴリーへ入った。


「次はスキル見てみるか」


 見覚えのあるものから初めて見るものまで、大量のスキルが並んでいる。ファイヤーボール、ヒール、アイスランス、身体強化。索敵系のスキルもいくつかあった。


「うーん……なんか違うんだよな」


 一つ開いては閉じ、また別のものを見る。強そうなものも便利そうなものも多いのに、今すぐ欲しいと思えるものがなかなか見つからない。


 陸は画面を送る手を止めた。


「今の俺、何が欲しいんだ?」


 考えているうちに、第6階層の奥を探索している三つの部隊が浮かんだ。今もボス部屋を探しているはずだが、陸にはそれぞれがどこにいるのか分からない。


「位置分かったら楽なんだけどな。マップも欲しいし、あいつらが通った場所も分かったらいいな」


 さらに、現在地までの距離や、自分が歩けばどれくらい時間がかかるのかも知りたい。


「そういうのないのか?」


 地図系、位置把握系、探索補助系と条件を変えながら探してみるが、出てくるものは少しずつ欲しい効果と違っていた。


「まあ、そんな都合のいいもんないよな……」


 それでも検索を続けていると、スキルカテゴリーの奥に見慣れない項目があるのに気づいた。


━━━━━━━━━━━━━━

【スキル作成ブック】

━━━━━━━━━━━━━━


「……スキル作成?」


 陸が開くと、画面が本を開くように左右へ広がり、中央に大きな入力欄が現れた。


━━━━━━━━━━━━━━

【スキル作成ブック】


欲しいスキルの効果を入力してください。


入力された効果をもとに

必要ポイントを算出します。


効果が強力・広範囲・複雑になるほど、

必要ポイントは増加します。

━━━━━━━━━━━━━━


「は!? 好きなスキル作れんの!?」


 ファイヤーボールやヒールを眺めていた時とは比べものにならない勢いで、陸の指が入力欄へ伸びた。


「じゃあ……どこまでできんだ?」


 試しに、思いつくまま無茶苦茶な効果を入れてみる。


━━━━━━━━━━━━━━

【入力効果】


距離に関係なく、

好きな場所へ何度でも一瞬で移動できる。

━━━━━━━━━━━━━━


 少し待つと、必要ポイントが表示された。


━━━━━━━━━━━━━━

必要ポイント:

9,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999……

━━━━━━━━━━━━━━


「ぶっ! 何桁あんだよ!」


 数字はウィンドウの右端まで続き、その先は省略されている。


「作れるけど、実質作れねえじゃん!」


 陸は笑いながら入力内容を消した。逆に言えば、ポイントさえ払えるなら効果そのものはかなり自由らしい。


「めっちゃ面白いな……」


 今度こそ、本当に欲しかった効果を入力していく。


━━━━━━━━━━━━━━

【入力効果】


・使用者と所有する召喚体の現在位置を

 地図上に表示する。


・使用者または召喚体が通過した場所を

 自動で地図へ記録する。


・地図上の任意地点へ

 マーカーを設定できる。


・指定した二地点間の距離を表示する。


・指定地点まで使用者が通常移動した場合の

 推定所要時間を表示する。

━━━━━━━━━━━━━━


「よし、これだな」


 決定を押すと、少しして金額が表示された。


━━━━━━━━━━━━━━

【作成予定スキル】


サモンマップ


必要ポイント:

94,000,000P


作成しますか?

━━━━━━━━━━━━━━


「九千四百万!? 高っ!」


 陸は目を見開いた。


「一位の報酬、ほぼ全部なくなるじゃん!」


 それでも、第6階層の奥にいる三部隊のことを考えると、欲しさは消えなかった。今まではどこまで進んだのかも分からず、ボス部屋を見つけても自分がそこへ向かう道をすぐ把握できない。


「……いや、欲しいわ」


 陸は作成ボタンの上で一瞬だけ指を止め、そのまま押した。


「作る!」


 青白い光が入力欄から広がり、開いていた本の形をした画面を包んでいく。


━━━━━━━━━━━━━━

94,000,000Pを消費しました。


スキル『サモンマップ』を

作成しました。

━━━━━━━━━━━━━━


「うわー……マジで使った……!」


 九千四百万Pという数字にはまだ少し圧倒される。けれど、すぐに次の表示が現れた。


━━━━━━━━━━━━━━

スキル『サモンマップ』を

習得しました。

━━━━━━━━━━━━━━


「おお……!」


 ステータスのスキル欄にも、新しく『サモンマップ』の文字が加わっていた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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