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第50話 第五戦!

「マジで勝った……第四戦、本当に勝ったんだ!」


 目の前には、首を失って倒れたオークチャンピオン。その向こうには、ミスリルの剣を握ったスケルトンが立っている。


 陸はまだ上がった両腕を下ろせなかった。


「今の戦い、マジですごかった……」


 バトルオーラをまとったオークチャンピオンと斬り合い、グランドクラッシュをフォーススラッシュで真正面から迎え撃った。最後には大斧をかわし、そのまま首まで斬り落とした。


「フォーススラッシュもめっちゃかっこよかったし……こいつ、強すぎだろ!」


 陸がスケルトンへ目を向けた、その時だった。


 白い骨格の輪郭が青白く光り始める。


「お?」


 光が大きく広がり、一つだった骨格がほどけるように分かれていく。剣や盾、弓や杖も次々に元の形へ戻り、やがて陸の前には十九体のスケルトンが並んでいた。


「戻った! 全員いる!」


 陸は端から端まで見て、すぐに笑った。


「よくやった! マジで最高だったぞ!」


 十九体はいつも通り、陸の前に立っている。


 その姿を見てから、陸は倒れたオークチャンピオンへ向き直った。


「で、こいつもいけるよな」


 第三戦のオーガもスケルトンにできた。陸はそのまま巨体へ手を向ける。


「スケルトンラッシュ!」


 青白い光がオークチャンピオンの身体を包んだ。


 分厚い身体が光の中へ消え、その輪郭を残すように大きな骨格が現れる。やがて光が消えると、太い骨の腕を持つ一体のスケルトンが立ち上がった。


「よっしゃ、できた!」


 陸はすぐ鑑定する。


━━━━━━━━━━━━━━

オークチャンピオン

ランク:D

Lv.29


HP 318

MP  52

筋力 116

耐久 105

敏捷 44

賢さ 30


【スキル】

バトルオーラ

グランドクラッシュ

━━━━━━━━━━━━━━


「おお! 筋力116、耐久105!」


 そのまま視線を下へ走らせる。


「しかもバトルオーラとグランドクラッシュ、そのまま残ってるじゃん!」


 さっきまで敵としてあれだけ苦しめられたスキルだ。それを今度はこちら側で使える。


「めっちゃいいの増えた!」


 新しく加わったオークチャンピオンが十九体の横へ並ぶ。


 すぐに次のウィンドウが浮かんだ。


━━━━━━━━━━━━━━

第五戦へ挑戦しますか?


【はい】

【いいえ】

━━━━━━━━━━━━━━


「第五戦か……」


 陸は表示を見たまま少し考えた。


 第四戦ではフュージョンまで使った。今はもう同じ手は使えない。


「さすがに次まで勝つのはきつそうだな」


 それでも、ここでやめる気にはならなかった。


「まあ、行けるとこまで行くか! 最初から全員で攻撃して、削れるだけ削ろう!」


 陸は【はい】を押した。


 フィールドの反対側へ青白い光が集まり始める。


 二十体のスケルトンが前へ出た。新しく加わったオークチャンピオンも、その中に並ぶ。


 やがて光の中から、一つの黒い影が姿を現した。


「……でか」


 四本の脚で石床に立つ、黒い獣だった。


 豹に似ている。だが、陸の知っている豹よりはるかに大きい。細身の身体には無駄がなく、長い尾がゆっくりと揺れている。


「こいつが第五戦の――」


 陸はすぐ鑑定を使おうとした。


 いない。


「……え?」


 さっきまで黒い獣が立っていた場所には、何もなかった。陸が目で探した瞬間、前方でドンッ!! と音が響き、スケルトンナイトが横へ吹き飛んで石床を転がる。そのすぐ後ろではゴブリンソルジャーの身体が跳ねた。


「は? どこ――」


 黒い影が視界の端を横切る。そう思った時にはもう消え、別方向からガンッ! と音がしてシャドウウルフが地面へ叩きつけられた。陸の目がそちらへ動いた瞬間には、反対側で二体のスケルトンがまとめて吹き飛んでいる。


「速っ……どこにいる!? 全員!」


 誰も攻撃できていない。弓を構えたアーチャーの前を黒い何かが横切り、その身体が崩れ落ちる。メイジが杖を向けるより早く、別の一体も石床を転がった。


「オークチャンピオン! 前!」


 大きな骨格が踏み込み、赤い光を全身へまとった。バトルオーラ。


「行け!」


 オークチャンピオンが前へ出る。その横を黒い影が通り過ぎたと思った瞬間、巨体が大きく傾き、そのまま横から弾き飛ばされて石床へ激しく倒れ込んだ。


「嘘だろ!?」


 陸がそちらを見る間にも、右で骨が砕ける音がして、次は左で何かが倒れる。黒い獣の姿を見つけたと思った瞬間には、そこにはもういない。何体残っているのかも分からなかった。


「全員、集ま――」


 言い切る前に、目の前を黒い影が横切る。背後で大きな音がして、振り返った時には最後まで立っていたスケルトンウォリアーが石床へ倒れるところだった。


「……は?」


 周囲に立っているスケルトンは、もう一体もいない。少し離れた場所では、黒い獣だけが何事もなかったようにこちらを向いている。


 陸が動くより早く、その姿が消えた。次の瞬間、視界が大きく揺れ、フィールド全体が青白い光に包まれる。


━━━━━━━━━━━━━━

【第五戦 敗北】

━━━━━━━━━━━━━━

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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