第51話 世界1位!
「……え?」
陸は青白い光に包まれたまま、しばらく動けなかった。何が起きたのか、頭が追いつかない。
視線だけを動かすと、少し離れたところにスケルトンウォリアーが倒れている。その向こうにも、ナイト、シャドウウルフ、ゴブリンソルジャー。二十体すべてが石床へ転がっていた。
「……全滅?」
黒い獣がフィールドの中央に立っている。その姿を見ている間にも、身体の輪郭が青白くぼやけ始めた。長い尾も、四本の脚も、細い胴体も光の粒へ変わっていく。
陸はただ、それを見ていた。やがて黒い獣は完全に消えた。
「…………強すぎだろ」
ようやく出た声は、自分でも驚くほど小さかった。ほとんど何もできなかった。
鑑定しようとした時にはもう姿が消えていた。二十体が次々と吹き飛ばされ、新しく加わったオークチャンピオンも、バトルオーラを使った直後に倒された。
「Cランク……だよな?」
第四戦のオークチャンピオンがDランクだった。順当に上がっているなら、第五戦はCランクのはずだ。
「でも、Cってあんな速いのか……? それともスキル?」
そもそも鑑定すらできていない。名前も、レベルも、スキルも何一つ見られなかった。
陸が黒い獣の消えた場所を見ていると、周囲に青白い光が集まり始めた。
「おっ……」
倒れていた二十体の姿が消え、代わりに光の中からスケルトンたちが次々と現れる。ナイトも、シャドウウルフも、オークチャンピオンもいる。壊れていた骨は元に戻り、装備も挑戦前と同じ状態だった。
「よかった……ちゃんと戻ったな」
一体ずつ見回しながら、陸はようやく息を吐いた。
もしフュージョンがまだ使えていたら、第四戦を倒したあのスケルトンならもう少しは戦えたかもしれない。
「……まあ、それでも勝てたかは分かんないけど」
あの速さを思い出すと、とても勝てるとは言い切れない。陸は頭を掻いた。
「第五戦、やばすぎだろ……」
フィールドの端へ青白い光が集まり、玄関の扉が現れる。二十体のスケルトンが元いた場所へ戻っていくのを確認してから、陸も家へ戻った。
「はあー……疲れた」
リビングまで行くと、そのまま大きなソファへ身体を沈める。全身から一気に力が抜けた。
しばらくそのまま天井を見ていた陸は、ふと思い出して身体を起こした。
「……そういや、ランキングどうなってんだ?」
ボスバトルのランキングを開き、一番上を見た。
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1位 JOHN
スキル:スケルトンラッシュ
ランク:SSS
到達戦:第五戦
進行度:残HP100%
2位 ALEX
スキル:カウンターシールド
ランク:A
到達戦:第四戦
進行度:残HP87%
3位 周昊
スキル:ヘヴィストライク
ランク:A
到達戦:第四戦
進行度:残HP91%
4位 桐谷真帆
スキル:バトルダンス
ランク:A
到達戦:第四戦
進行度:残HP95%
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「俺、一位じゃん!」
陸はソファの上で身体を起こし、そのまま何度もランキングを見る。
「マジで一位だ! しかも第五戦、俺だけじゃん!」
二位以下は全員第四戦のままだ。
ALEXは以前よりオークチャンピオンのHPを削っている。周昊も、桐谷真帆も記録を伸ばしている。
それでも、誰も第四戦を突破していない。
「俺だけ倒してる……!」
第四戦でフュージョンしたスケルトンがオークチャンピオンの首を斬り落とした瞬間が、また頭に浮かぶ。
「うわ……マジか。世界一位だぞ!」
陸は笑いながらソファの背もたれへ倒れ込んだ。
初めてランキングを見た時は二十二位だった。その後は三十一位まで落ちた。それが今、一番上に自分の名前がある。
しばらく眺めてから、イベント画面へ戻る。
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【ボスバトル】
最終日
終了時刻:21:00
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「九時までか」
まだ時間はある。陸はもう一度ランキングを開いた。
二位のALEXは第四戦、残HP87%。ここからオークチャンピオンを倒した上で第五戦まで進まなければ、自分より上には来ない。
「……さすがに、いけるよな?」
完全に決まったわけではない。それでも、一番上に表示されたJOHNを見ていると期待が膨らんでいく。
そして、陸はあるものを思い出した。
「そうだ。一位って……」
ランキング報酬を開く。
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【ランキング報酬】
1位:特別報酬
2位~10位:上位報酬
11位以下:到達順位に応じた報酬
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「これだ!」
イベントが始まった日に見てから、ずっと中身が分からなかった報酬。
「何もらえるんだろ……」
陸は一位の文字を見たまま、また笑った。そのままランキングへ戻ると、JOHNはまだ一位にいる。
もう一度閉じて、少ししてからまた開く。やっぱり一位だった。
「ははっ……」
ソファへ深く沈み込む。朝から第三戦、第四戦、第五戦と続けて戦ったせいか、身体が急に重くなってきた。
陸はランキングを開いたまま背もたれへ頭を預け、目を閉じる。
次に開けようと思った時には、もうそのまま眠っていた。
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