第5話 宝箱発見!
ポイントを稼ぐと決めたら、もうじっとしていられない。陸は二体のスケルトンを連れて、再びダンジョンの奥へ進んだ。
「よし、次はお前も戦ってみるか!」
隣を歩くゴブリンスケルトンへ目を向ける。最初の大きなスケルトンと比べると、やっぱりかなり小さい。ちんまりした見た目だけなら、そこまで強そうには見えない。
しばらく進んだ先で、また一体のゴブリンを見つけた。
「いた!」
今度は迷わない。
「よし、行ってこい!」
陸が指さした瞬間、ゴブリンスケルトンが走り出す。小さい身体でダダダダッと一気に距離を詰め、向こうのゴブリンが構えるより早く右腕を振りかぶった。
「お、速い!」
そのまま頭へ拳を叩き込む。
パァンッ!
ゴブリンの身体が横へ吹き飛び、床を転がった。
「え、お前もめっちゃ強いの!?」
陸は思わずゴブリンスケルトンを見る。何事もなかったみたいに立っていたかと思えば、少し胸を張るように姿勢を伸ばした。
「何、ちょっとドヤってんの?」
思わず笑って近づき、その小さな頭を軽く撫でる。
「その見た目で? 可愛いのに?」
ゴブリンスケルトンはされるがままだった。
そのまま倒れたゴブリンへ近づく。今回も動かない。
「じゃあ、こいつも増やすか!」
陸はすぐに手を向けた。
「スケルトンラッシュ!」
青白い光がゴブリンを包み、数秒後、また一体のゴブリンスケルトンが立ち上がった。
「よし、三体目!」
大きなスケルトン一体に、小さなゴブリンスケルトンが二体。並んで歩く姿を見ているだけで、なんかちょっと楽しくなってくる。
「このままどんどん増やしていきたいな!」
そのままさらに奥へ進む。曲がり角をいくつか抜け、分かれ道を適当に選んで進んでいると、少し先に今までとは違うものが見えた。
「ん?」
通路の端に、大きめの箱が置かれている。木でできた箱に、金属の縁取り。
「え、宝箱じゃね!?」
陸の足が一気に速くなる。
「うわ、マジで宝箱あるんだ!」
思っていたより大きい。両手で抱えるにはちょっと厳しそうなくらいのサイズだった。
すぐ近くまで行こうとして、陸の足が止まる。
「……いや、待て待て」
宝箱。ゲーム。ダンジョン。
嫌な単語が一個浮かんだ。
「ミミックとかあるだろ、こういうの!」
ここまでゲームっぽいなら、宝箱だけ安全とは限らない。罠だって普通にありそうだ。
陸は宝箱から数歩離れて、大きなスケルトンを見る。
「ごめん。ちょっとあれ開けてきてくれ」
大きなスケルトンは何も言わず、そのまま宝箱へ歩いていく。
「いや、普通に行くんだ」
少し離れたところから見守っていると、スケルトンが宝箱の前にしゃがみ、蓋へ手をかけた。
「頼む、ミミックじゃありませんように!」
蓋がゆっくり持ち上がる。何も飛び出してこないし、噛みついてもこない。
「おお! 普通の宝箱!」
陸はすぐ駆け寄って中を覗き込む。
「お、剣!」
入っていたのは、一本の鉄の剣だった。特別派手な装飾もない、いかにも序盤で手に入りそうな普通の剣だ。
陸が手を伸ばして柄を掴んだ瞬間、剣がふっと消えた。
「え、あれ!? どこ行った!?」
慌てて宝箱の中を見る。何もない。周囲へ視線を走らせたところで、目の前に小さなウィンドウが開いた。
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鉄の剣
ランク:F
普通の鉄で作られた剣。
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「あ、アイテムになったのか!」
鉄の剣の文字へ指を重ねると、次の瞬間、さっき消えた剣が目の前に現れた。
「おお! 出せるんだ!」
そのまま大きなスケルトンへ差し出す。
「これ、お前使ってみて」
スケルトンが剣を受け取ると、少し離れたところまで歩いていき、自然な動きで構えた。
ブンッ、と剣が鋭い音を立てて空を切る。そのまま一歩踏み込み、返すようにもう一度振る。動きに迷いがない。さっき拾ったばかりの剣なのに、最初からずっと使っていたみたいに馴染んでいた。
「うわ、かっけえ!」
思わず声が出る。
「お前、剣もいけるのかよ!」
スケルトンはもう一度剣を振る。骨だけの身体に鉄の剣。それだけで一気に戦士っぽく見えた。
ふと見ると、二体のゴブリンスケルトンが揃って大きなスケルトンの剣を見ている。
「……お前らも欲しいの?」
もちろん返事はない。でも、なんとなくそんなふうに見えてしまう。
「そのうち見つけたら、お前らの分もな!」
陸が笑うと、二体はそのまま剣を見上げていた。
「いいじゃん! 次これで戦ってみようぜ!」
大きなスケルトンは剣を持ったまま静かに立っている。その横には、二体の小さなゴブリンスケルトン。
陸は三体を見てから、さらに奥へ続く通路へ目を向けた。
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