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第48話 オーガ戦、決着!

 銀色の光に守られたまま、オーガは棍棒を振り回す。


 スケルトンナイトが正面で受け、左右からゴブリンソルジャーが斬り込む。高速組も足を止めず、背後や側面から何度も攻撃を重ねた。矢は弾かれ、魔法もさっきまでほど深く入らない。それでも十八体は離れなかった。


 やがて、オーガを包んでいた銀色の光が薄れていく。


「消えた! 今だ!」


 ナイトのミスリルの剣が正面から入り、続けて三本の矢と魔法が飛ぶ。オーガが棍棒を横薙ぎに振ってゴブリンソルジャーを一体弾き飛ばしたが、その反対側からシャドウウルフが脚へ食らいついた。


 巨体がそちらへ向いたところへ、スピードウルフとコボルトファイターが飛び込む。


 オーガも棍棒を振り続ける。前衛が押し戻され、高速組が石床を転がる。それでも前のように一度崩れたままにはならない。空いた場所へ別の一体が入り、後衛の攻撃も途切れなかった。


 陸はもう一度鑑定を使う。


━━━━━━━━━━━━━━

オーガ

HP 63/265

━━━━━━━━━━━━━━


「もうこんだけ! そのまま押し切れ!」


 オーガが吠え、棍棒を振り上げる。


 その足元へブレードホーンラビットが突っ込み、巨体がわずかに揺れた。そこへゴブリンメイジのファイヤーボールが炸裂する。


 ドォンッ!


 炎の向こうから棍棒が振り抜かれ、スケルトンナイトが剣で受ける。身体を押し込まれながらも踏みとどまり、その横から二体のゴブリンソルジャーが斬りつけた。


 矢が続く。ウィンドカッターが走る。背後からシャドウウルフが飛びつき、オーガの身体が大きく前へ傾いた。


 最後にもう一度、ナイトのミスリルの剣が脇腹へ入る。


 オーガが数歩よろめいた。


 握っていた棍棒が石床へ落ちる。


 そのまま巨体が膝をつき、前へ倒れた。


━━━━━━━━━━━━━━

オーガ

HP 0/265

━━━━━━━━━━━━━━


「よっしゃあああっ!」


 陸は両手を上げた。


 目の前にウィンドウが開く。


━━━━━━━━━━━━━━

【第三戦クリア】

━━━━━━━━━━━━━━


「勝った! 今度こそ勝った!」


 前はフュージョンまで使って、それでも届かなかった相手だ。今回は十八体のまま最後まで押し切った。


「しかもフュージョンなしで! めっちゃ強くなってるじゃん、こいつら!」


 陸は立っている十八体を端から端まで見渡した。新しい装備も、二体のDランクへの進化も、ここまでやってきた強化が全部ちゃんと戦いに出ていた。


「はぁー……長かった。今までで一番長く戦ったわ」


 肩の力を抜き、しばらくその光景を眺める。ようやく勝った実感が落ち着いてきたところで、陸が倒れたオーガへ目を向けた。


「……これ、ボスバトルのモンスターもスケルトンにできんのかな」


 通常ダンジョンのボスなら、倒したあとにスケルトンにしたことがある。けれど、イベントで出てきたモンスターはまだ試していない。


 陸は倒れたオーガへ手を向けた。


「スケルトンラッシュ!」


 青白い光が巨体を包む。


「おっ!?」


 灰色の肌が光の中へ消え、その下から大きな骨格が姿を現していく。太い腕や脚の形を残したまま、やがて一体の巨大なスケルトンが立ち上がった。


「できた!」


 陸はすぐ鑑定する。


━━━━━━━━━━━━━━

オーガスケルトン

ランク:D

Lv.25


HP 225

MP  64

筋力 92

耐久 82

敏捷 58

賢さ 44


【スキル】

ヘヴィスマッシュ

アイアンガード

━━━━━━━━━━━━━━


「Dランク25レベ! しかもスキルそのままじゃん!」


 ボスとして戦った時より数値は下がっている。それでも、今いる中では一気に上位へ入る強さだ。


「いいじゃん! これで十九体!」


 新しく加わったオーガスケルトンが、十八体の横へ並ぶ。


 その直後、次のウィンドウが浮かんだ。


━━━━━━━━━━━━━━

第四戦へ挑戦しますか?


【はい】

【いいえ】

━━━━━━━━━━━━━━


「ちょっと待って。さすがに一回休もう」


 陸はその場で肩を回した。


「いや、でもまだ1位じゃないよな……」


 前に見たランキングでは、ALEXが第四戦の敵を残HP93%まで削っていた。第三戦を突破しただけでは届かない。


 少し休んだあと、陸は十九体へ目を向けた。


「よし、行くか!」


 陸は【はい】を押した。


 フィールドの反対側へ新しい青白い光が集まり始めた。


 一つの大きな影が立ち上がる。


 現れたのは、分厚い身体を持つ大柄なオークだった。両手には幅の広い大きな斧を握っている。オーガほど背は高くないが、腕も胴もかなり太い。


「こいつが第四戦の相手か」


 陸はすぐ鑑定した。


━━━━━━━━━━━━━━

オークチャンピオン

ランク:D

Lv.29


HP 385

MP  58

筋力 138

耐久 126

敏捷 46

賢さ 32


【スキル】

バトルオーラ

グランドクラッシュ

━━━━━━━━━━━━━━


「筋力138!? 耐久も126!?」


 オークチャンピオンが大斧を持ち上げる。


「来るぞ! 全員行け!」


 十九体が一斉に広がった。


 スケルトンナイトとゴブリンソルジャーが正面へ入り、オーガスケルトンもその横から踏み込む。振り下ろされた大斧をナイトが横へかわし、ミスリルの剣を胴へ叩き込んだ。


 ザンッ!


 刃は入った。


「よし!」


 その横からオーガスケルトンが棍棒を両手で握る。青白い光が集まり、勢いよく振り下ろした。


 ヘヴィスマッシュ。


 ドガァンッ!!


 オークチャンピオンの身体が大きく揺れる。


 そこへ矢と魔法が重なり、高速組が左右から脚を狙った。シャドウウルフが背後へ回り、ゴブリンソルジャーも続けて剣を入れる。


 だが、オークチャンピオンは倒れない。


 大斧が横へ振り抜かれ、正面にいた前衛が一斉に距離を取る。スケルトンナイトだけが剣で受けたが、骨の足が大きく後ろへ滑った。


「重っ!」


 オークチャンピオンが追う。速くはない。高速組は十分に避けられるし、前衛も動きを見て下がれる。


 それでも、こちらが何度攻撃を入れても巨体はほとんど止まらなかった。


 陸は少し攻防を見たところで、もう一度鑑定する。


━━━━━━━━━━━━━━

オークチャンピオン

HP 378/385

━━━━━━━━━━━━━━


「え、これだけやって7しか減ってないの!? 硬すぎだろ……!」


 ALEXでも削れたのは7%だけだった。第四戦まで来た上位勢がほとんどHPを減らせていなかったのも、これなら分かる。


「フュージョン使うか。一気に削るぞ」


 陸は戦っている十九体へ目を走らせた。


 前にフュージョンしたのは、アーチャーとメイジの六体だった。それでもDランクになった。今は十九体いて、その中にはDランクも三体いる。


「……待てよ。全員混ぜたらどうなるんだ?」


 思いついた瞬間、陸の顔が上がった。


「一回戻れ! 全員こっち!」


 前衛が距離を取り、高速組も一斉に陸の近くへ戻ってくる。最後にオーガスケルトンが下がり、十九体が集まった。


 陸は並んだ骨の軍団を端から端まで見る。


「十九体全部……やってみるか!」


 オークチャンピオンが大斧を構え直す。


 陸は十九体へ意識を向けた。


「スケルトンフュージョン!」


 十九体の足元へ、青白い光が一気に広がった。


 骨の輪郭が次々にほどけ、光へ変わっていく。剣も盾も弓も杖も、巨大なオーガスケルトンの骨格まで一か所へ吸い寄せられた。


「うおお……!」


 重なった光が強く輝く。


 六体の時より、はるかに多い。


 陸は膨らんでいく光を見上げた。


 やがて光が収まる。


「……あれ?」


 そこに立っていたのは、巨大なスケルトンではなかった。


 陸とほとんど変わらない背丈。全身の骨格は細く整い、白い骨の表面にはわずかに金属のような光沢がある。手には青白い光沢を帯びたミスリルの剣が握られていた。


 陸はすぐ鑑定を使った。


━━━━━━━━━━━━━━

???

ランク:C

Lv.30


HP 285

MP 148

筋力 132

耐久 124

敏捷 138

賢さ 118


【スキル】

フォーススラッシュ


剣へ魔力を集め、

斬撃として放つ。

━━━━━━━━━━━━━━


「Cランク!? てか、ステータスほとんど三桁じゃん! めっちゃ強い!」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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