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第47話 オーガとの再戦!

 オーガが太い棍棒を握ったまま、ゆっくりとこちらへ向き直る。


「まずはあのスキル使わせるぞ。フュージョンはその後だ!」


 狙うのはアイアンガード。前回、マジックアローを防がれた防御スキルだ。


 陸はすぐ使えるようにしていた小瓶を取り出し、近くのゴブリンソルジャーへ二本渡した。


「それ、オーガに投げろ!」


 ゴブリンソルジャーが一本目を投げる。


 パリンッ!


 瓶がオーガの足元で割れ、中身が周囲へ散った。続けてもう一本も投げつける。鈍化薬と脱力薬だ。


 陸は別の小瓶をもう一体のゴブリンソルジャーへ渡した。


「こっちは前衛に!」


 小瓶が前衛の足元で割れ、剛力薬が散る。陸もすぐに鼓舞の杖を高く掲げた。先端の青い石が強く光り、広がった光が十八体を包む。骨の身体へ薄い赤色の光がまとわりついた。


「行け!」


 十八体が一斉に動いた。


 最初に飛び出したスケルトンナイトが、正面からオーガへ踏み込む。振り下ろされた棍棒を横へかわし、両手でミスリルの剣を振り抜いた。


 青白い光をまとった刃が、灰色の脇腹へ深く入る。


 ザンッ!


「おおっ! めっちゃ入った!」


 オーガがナイトへ棍棒を返す。その横から三体のゴブリンソルジャーが斬りかかり、後ろから三本の矢と魔法が重なった。ファイヤーボールが腹へ炸裂し、続けてアイスショットとウィンドカッターが走る。


 ドォンッ!


 炎の中からオーガが踏み出し、棍棒を横薙ぎに振る。ゴブリンソルジャーが一体まともに受け、身体を浮かされて石床を転がった。それでも骨は砕けず、すぐに片手をついて起き上がる。


「耐えた!」


 その間に、ブレードホーンラビットが低く身を沈めた。全身へ青白い光が走り、一気に加速する。


 ホーンチャージ。


 鋭い角がオーガの太腿へ突き刺さり、巨体がわずかに傾く。反対側からはコボルトファイターが懐へ飛び込み、ラッシュアタックで連続して武器を叩き込んだ。


 オーガがそちらを向いた瞬間、スピードウルフの身体にも青白い光が走る。


 アクセル。


「はやっ!」


 一気に視界の端へ抜けた骨の狼が背後から脚へ食らいつき、オーガが振り向きざまに棍棒を振る。だが、その時にはもう離れていた。


 さらに外側では、シャドウウルフの足元に落ちていた黒い影が大きく揺れる。


「来るか!?」


 影が横へ伸び、地面から浮き上がるように形を作っていく。次の瞬間、シャドウウルフとほとんど同じ姿がもう一体、その隣に立っていた。


「出た! シャドウクローン!」


 二体が同時に左右へ走る。


 オーガが本体へ棍棒を振ると、シャドウウルフは大きく横へ跳んだ。その背後から分身が飛びかかり、肩へ噛みつく。巨体が腕を振り回して分身を振り落とし、そこへ棍棒を叩きつけた。


 ドンッ!


 黒い骨格が石床へ潰され、その姿がほどけるように黒い影へ戻って消える。


「あっ!」


 けれど、オーガがそちらへ向いた直後、本体のシャドウウルフを青白い光が包んだ。


 ラッシュファング。


 黒い骨の身体が一気に加速し、無防備になった背中へ激突する。


 ドンッ!


「いいじゃん! めっちゃ翻弄できてる!」


 オーガが前へよろめく。そこへナイトのミスリルの剣がもう一度走り、ゴブリンソルジャーの剣、アーチャーの矢、メイジの魔法が途切れず続いた。


 もちろん、オーガも殴られ続けているだけではない。棍棒が振られるたび、前衛が一体、また一体と弾き飛ばされる。小盾で受けても腕ごと押し込まれ、身体の軽い高速組は掠っただけでも石床を転がった。


 それでも一体が飛ばされれば別の一体が入り、倒れた個体も立ち上がって戻ってくる。新しい防具や小盾を身につけた前衛が何度も棍棒を受け、その隙を高速組と後衛が狙い続けた。


「思ってたより全然やれてる!」


 陸はオーガへ鑑定を使った。


━━━━━━━━━━━━━━

オーガ

HP 178/265

━━━━━━━━━━━━━━


「もう180切ってる!」


 前は同じように十八体で攻めても、最初に確認した時点でHPはまだ221も残っていた。


 陸は前衛で振られるミスリルの剣と、次々に立ち上がる十八体へ目を走らせる。


「装備もレベルも、かなり効いてるな!」


 オーガが大きく吠え、両手で棍棒を頭上へ持ち上げる。棍棒へ青白い光が集まり始めた。


「来る! ヘヴィスマッシュ!」


 陸の声に、前衛と高速組が一斉に距離を取る。だが、オーガは一歩踏み込んでから棍棒を石床へ叩き込んだ。


 ドガァンッ!!!


 円を描く衝撃が一気に広がる。


「うわっ!」


 逃げ切れなかったゴブリンソルジャーとコボルト系が浮き上がり、石床を転がった。スケルトンナイトも数歩押し戻され、高速組の何体かが地面へ投げ出される。


 一瞬で陣形が開き、オーガがその隙へ踏み込んだ。


「戻れ!」


 前衛の間を抜けたオーガが、そのまま後方へ走る。狙われたゴブリンアーチャーが弓を構え直すより早く、太い棍棒が振り上げられた。


 間に合わない。


 振り下ろされる直前、横から青白い光が走った。


 スケルトンナイトだった。


 離れた位置から一気に割って入り、ゴブリンアーチャーの前へ立つ。両手でミスリルの剣を横に構えたところへ、棍棒が叩きつけられた。


 ガキィンッ!!


 ナイトの身体が大きく沈み、足元の骨が石床を滑る。それでも棍棒は後ろのゴブリンアーチャーまで届かない。


「今の、カバーか!」


 オーガがさらに力を込める。ナイトは押し込まれながらも剣を外さず、やがて棍棒を横へ逸らしてそのまま一歩踏み込んだ。ミスリルの剣がオーガの腕を斬る。


「よし! そのまま押せ!」


 崩れていた前衛が戻ってくる。ブレードホーンラビットが再び走り、コボルトファイターが反対側へ回る。矢と魔法もすぐに飛び始めた。


 オーガが棍棒を振って一体を弾き飛ばす。その背中へシャドウウルフが食らいつき、ナイトの剣が正面から入った。


 陸はもう一度HPを確認する。


━━━━━━━━━━━━━━

オーガ

HP 151/265

━━━━━━━━━━━━━━


「半分ちょい……!」


 まだフュージョンは使っていない。


 その時、オーガが左腕を身体の前へ構え、全身を鈍い銀色の光が包んだ。


「アイアンガード!」


 ナイトの剣が銀色の光へぶつかる。さっきまで深く入っていた刃が止まり、続けて飛んだ矢も浅く弾かれた。


 陸の視線が後方のアーチャーとメイジへ向く。


 ここを待っていた。アイアンガードを使わせてから、フュージョンで押し切る。そのつもりで来た。


「フュージョン――」


 口にしかけて、陸は止めた。


 銀色の光の向こうでオーガが棍棒を振る。ナイトが正面で受け、その横からゴブリンソルジャーが斬り込む。高速組も止まらず、周囲を走りながら隙を探していた。


 攻撃は通りにくくなっている。それでも、誰も押し切られてはいない。


「……いや、まだいらないか」


 ヘヴィスマッシュも来た。アイアンガードも来た。それでも十八体は戦えている。


 陸は後方へ向きかけていた身体を戻した。


「このまま行け!」


 ナイトが銀色の光へもう一度ミスリルの剣を叩き込み、その両脇からゴブリンソルジャーが続いた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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