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第43話 錬金!

 陸は【共同作業】の文字をもう一度見た。


「これもやってみたいけど……まず普通の方からだな!」


 陸は【個別作業】を選び、調合できるアイテムの一覧を開いた。


 ポーションのほかにも、味方へ散布して一時的に効果を与える薬や、敵へ使う弱体用の薬がいくつも並んでいる。


「敵にかけるやつまであんのか!」


 陸の指が一つの項目で止まった。


━━━━━━━━━━━━━━

鈍化薬


投げて散布することで、

一定時間、触れた敵の動きを鈍らせる。

━━━━━━━━━━━━━━


「これいいじゃん! こういうのならスケルトンでも使えるな!」


 必要素材には、手持ちに残していたスライムゼリーが表示されている。そのほかの素材もすでに所持していた。


「スライムゼリー、これに使うのかよ」


 何に使うのか分からず残していた物だ。陸は鈍化薬を選び、作業者にゴブリンメイジを一体設定した。


 作業開始を押す。


 少し離れた作業台の前に青白い光が集まり、その中からゴブリンメイジが現れた。


「来た!」


 ゴブリンメイジはすぐに作業台へ向き直った。


 用意された素材の中からスライムゼリーを取り、乳鉢のような器へ入れる。そこへ別の素材を加え、棒状の道具でゆっくりと混ぜ始めた。


 透明に近かったゼリーが崩れ、少しずつ濁った液体へ変わっていく。


「おお……鍛冶と全然違うな」


 陸は作業台のすぐ横まで寄った。


 ゴブリンメイジは混ぜた液体を細長い透明な器へ移し、円形の台の中央へ置く。その周囲にいくつかの素材を並べると、両手を台へ向けた。


 刻まれていた細い線が、端から順番に淡く光り始める。


「うわ、光った!」


 円形の線を伝うように光が集まり、中央の器を包んだ。中の液体がゆっくり揺れ、濁っていた色が少しずつ薄い青へ変わっていく。


 最後に一度だけ小さく光り、台の光が消えた。


 ゴブリンメイジは完成した液体を小さな瓶へ移し、栓をした。


「おお! ちゃんと薬になった!」


 瓶の中では、薄い青色の液体がとろりと揺れている。


「集団で囲む時とか良さそうだな!」


 陸は瓶を作業台へ置き、もう一度錬金の一覧を開いた。


 次に気になっているのは、装備への効果付与だ。


「こっちもやってみるか!」


 陸は鍛冶で作ったEランクの鉄の剣を一本選んだ。


━━━━━━━━━━━━━━

鉄の剣

ランク:E


丁寧に鍛えられた鉄の剣。

━━━━━━━━━━━━━━


 強化素材の候補には魔石や魔力結晶が並んでいる。陸は手持ちの魔力結晶を選んだ。


 作業者は、さっきのゴブリンメイジのままにする。


 作業を始めると、ゴブリンメイジは鉄の剣を円形の台へ横たえた。


 魔力結晶を小さな器へ置き、細い道具で何度か叩く。硬そうな結晶に細かな亀裂が走り、やがていくつかの欠片へ分かれた。


「お、砕くのか」


 ゴブリンメイジは欠片を剣の周囲へ並べていく。


 配置が終わると、再び両手を台へ向けた。


 淡い光が円形に走った。


 今度は、周囲に置かれた魔力結晶まで青白く光り始める。


「おお……!」


 結晶から細い光が伸び、少しずつ鉄の剣へ流れ込んでいく。


 刃の表面に青白い光が広がった。鍛冶の時のように形が変わるわけではない。それでも、光が通るたびに刃の表面がわずかに澄んで見える。


 やがて最後の光が剣へ吸い込まれ、魔力結晶の欠片から輝きが消えた。


 作業台の線も静かに暗くなる。


「終わった?」


 陸はすぐに鉄の剣を確認した。


━━━━━━━━━━━━━━

鉄の剣

ランク:E


魔力を馴染ませることで、

刃の切れ味と強度が高められた鉄の剣。

━━━━━━━━━━━━━━


「ランクはEのままか。……でも強くなってるじゃん!」


 陸は強化前の鉄の剣も一本取り出し、二本を見比べた。


「これなら鍛冶で作ったやつ、さらに良くできるじゃん!」


 そのあとも陸はいくつか錬金を試した。


 ゴブリンメイジは工房へ残ったまま、別の薬を調合し、小盾にも魔力結晶を使って強化を施していく。陸は今度は全部の工程を最初から追わず、液体の色が変わる瞬間や、装備へ光が流れ込むところを眺めながら完成を待った。


 しばらくすると、作業台の上には小瓶がいくつか並び、その横には錬金を終えた鉄の剣と小盾が置かれていた。


「結構できたな!」


 陸は薄い青色の瓶を一つ持ち上げ、光に透かして中身を眺めた。


 少し傾けると、とろりとした液体が瓶の中をゆっくり流れた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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