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第36話 オーガとの総力戦!

 鼓舞の杖の先端で、青い石が強く光る。 広がった光が十八体を包み、骨の身体へ薄い赤色の光がまとわりついた。


「よし! 一気に行け!」


 前衛が再び飛び込む。 スケルトンウォリアーの剣がオーガの棍棒とぶつかる。さっきより深く踏み込み、その横から三体のゴブリンソルジャーが斬りつけた。


 三本の矢が飛ぶ。 一本が肩へ深く刺さり、続けてアイスショットとウィンドカッターが同じ側へ重なる。


 オーガが前衛へ向いた瞬間、二体のブラックウルフスケルトンが背後へ回った。


「そこ!」


 ラッシュファング。 二体が続けて背中へぶつかる。


 オーガの巨体が大きく前へ傾いた。


「よっしゃ! 押せ押せ!」


 だが、倒れない。 棍棒が大きく振られ、ゴブリンソルジャースケルトンが一体吹き飛ぶ。


「まだか!」


 陸は十八体とオーガを交互に見る。 攻撃は入っている。


 それでも、このまま削り続けるには時間がかかりすぎる。 陸の視線が後方の六体へ向いた。


「……フュージョン使うか!」


 三体のゴブリンアーチャースケルトンと、三体のゴブリンメイジスケルトン。


「六体、来い!」


 六体が陸の近くへ集まる。


「スケルトンフュージョン!」


 足元から青白い光が広がった。 六つの骨格が光へ変わり、一か所へ吸い寄せられていく。大きく膨らんだ光が消えると、巨大な白骨の弓を持つスケルトンが立っていた。


「よし!」


 オーガを押さえている前衛へ向かって、陸が叫ぶ。


「離れろ!」


 スケルトンたちが一斉に左右へ散る。 陸は巨大な融合個体へ腕を伸ばした。


「マジックアロー!」


 巨大な骨弓が持ち上がる。 弦が引かれ、赤い火、白い冷気、渦を巻く風が一本の大きな魔力矢へ集まっていく。


「これ食らわせれば……!」


 オーガがこちらを向いた。 その視線が、巨大な魔力矢へ向く。


 次の瞬間、オーガが左腕を身体の前へ構えた。 全身を鈍い銀色の光が包む。


「えっ……アイアンガード!?」


 融合個体が矢を放つ。


「行けえええ!」


 バシュンッ!!


 魔力の矢が一直線にオーガへ突き刺さった。


 ドォンッ!!!


 凄まじい爆発がフィールドを揺らす。


「うおっ!」


 爆風が陸の身体を押し、足が後ろへ滑った。 オーガのいた場所を煙と粉塵が覆う。


 陸は目を細めたまま、その奥を見る。


「……どうだ?」


 煙が少しずつ薄れていく。


「マジかよ……!」


 オーガは立っていた。 左腕や胸には大きな傷が入り、灰色の肌には焦げた跡も広がっている。握っている棍棒も先端が欠けていた。


 それでも、両脚は石床を踏んだままだ。 陸はすぐ鑑定する。


━━━━━━━━━━━━━━

オーガ

HP 136/265

━━━━━━━━━━━━━━


「まだ半分あんの!?」


 オーガを包んでいた銀色の光が消えた。 直後、巨体が棍棒を両手で握る。


 今度は棍棒そのものへ青白い光が集まり始めた。


「来る! ヘヴィスマッシュ!」


 オーガが大きく振りかぶる。


「全員、離れろ!」


 棍棒が石床へ叩き込まれた。


 ドガァンッ!!!


 衝撃が円を描くように広がった。


「うわっ!?」


 正面にいたスケルトンウォリアーとゴブリンソルジャーたちがまとめて浮き上がる。コボルト系二体も盾ごと吹き飛ばされ、少し離れていた高速組まで石床を転がった。 陸の身体も後ろへ押される。


「やばっ!」


 さっきまでオーガを囲んでいた前衛と高速組の配置が、一発で崩れた。 オーガがその中へ踏み込む。


「前衛、戻って! 止めろ!」


 起き上がろうとしたゴブリンソルジャースケルトンへ棍棒が振り下ろされた。 ガンッ!


 骨が石床へ叩きつけられ、そのまま動かなくなる。


「一体やられた!」


 別のゴブリンソルジャーが横から斬りかかる。 オーガは身体をひねってかわし、棍棒を返した。


 ドンッ!


 二体目も吹き飛ぶ。


「ブラックウルフ! 止めろ!」


 二体が左右から走る。 だが、その間にもオーガは前へ進んでくる。


 ラッシュファングが片側から入る。 巨体が揺れた。


「いい! もう一発!」


 もう一体が飛び込む。 それでもオーガは止まらない。


 棍棒が横薙ぎに振られ、二体のブラックウルフスケルトンがまとめて弾かれた。


「くっそ!」


 融合個体も巨大な弓を構え、オーガへ矢を放つ。 だが、オーガはその一射を受けながら踏み込んでくる。


「まずい!」


 棍棒が巨大な骨格へ叩き込まれる。


 バキンッ!


 融合個体の身体が大きく傾き、そのまま石床へ倒れた。


「立て! まだいける!」


 残ったスケルトンたちも次々に向かっていく。 ケイブリザードが脚へ噛みつき、ホーンラビット系が横から突っ込む。ウルフスケルトンも背後へ回る。


 一体。


 また一体。


 棍棒が振られるたび、骨の身体が石床へ転がっていく。


「まだ! 行け!」


 陸は声を上げ続けた。


「勝て!」


 最後まで動いていたスケルトンウォリアーが立ち上がる。 鉄剣を両手で握り、オーガへ走った。


「行けえええ!」


 剣と棍棒がぶつかる。


 ガキィンッ!


 一瞬だけ止まった。 次の瞬間、オーガが力を込める。


 スケルトンウォリアーの身体が後ろへ弾かれ、そのまま石床へ倒れた。


「……マジか」


 周囲を見回す。 立っているスケルトンは、もういない。


 オーガが棍棒を持ったまま、陸へ向きを変えた。


「まだ半分あんのかよ……強すぎだろ!」


 巨体が一歩踏み込む。 陸が身構えた直後、目の前を棍棒が埋めた。


 ドンッ!


 身体が後ろへ飛ぶ。 痛みはない。


 それでも視界が大きく揺れ、次の瞬間、フィールド全体が青白い光に包まれた。


━━━━━━━━━━━━━━

【第三戦 敗北】

━━━━━━━━━━━━━━

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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