第37話 初めての敗北
【第三戦 敗北】の表示が浮かぶ中、フィールドの反対側に立っていたオーガの身体が青白い光に包まれた。
巨体の輪郭がぼやけ、そのまま光の粒になって消えていく。
「……負けた」
陸はしばらくその場所を見たまま動かなかった。
「マジか……」
第一戦も第二戦も突破できた。第三戦でも、十八体に鼓舞の杖、フュージョンまで使った。
それでも届かなかった。
「まだ第三戦だぞ……」
思わずその場にしゃがみ込む。
「くっそー……めっちゃ悔しい!」
今までのダンジョンでは、強い敵が出ても最後には押し切ってきた。第6階層の通常モンスターにも十八体で勝てている。
だから、今回もかなり先まで行けると思っていた。
「ちょっといけると思いすぎてたな……」
陸が顔を上げると、周囲に青白い光が次々と集まり始めた。
「おっ」
光の中から十八体のスケルトンが姿を現す。倒されていた個体も、融合していた六体も、全員が挑戦前と同じ姿へ戻っていた。
「よかった。ちゃんと全員戻ってる」
陸は立ち上がり、一体ずつ見回した。壊れている骨もない。装備もそのままだ。
さっきのオーガはDランクだった。
第6階層で出てくるケイブリザードはEランク。これまでと同じ流れなら、第6階層のボスもDランクかもしれない。
「……これ、先にこっちで負けといて良かったかもな。何も知らずに第6階層のボス行ってたら、普通にやばかったかも」
陸はさっきまでオーガが立っていた場所へ目を向ける。
「Dランクがどれくらい強いか分かっただけでもでかいな」
フィールドの端へ青白い光が集まり、見慣れた玄関の扉が現れた。
「帰るか」
陸が扉を開くと、向こう側には自宅の玄関があった。
十八体を振り返ると、その身体が再び青白い光に包まれていく。光が消える頃には、フィールドから一体もいなくなっていた。
挑戦終了後は元いた場所へ戻る。第6階層で狩りをしていた十八体も、今頃はまたダンジョンにいるはずだ。
陸は家へ入り、そのままリビングへ向かった。
「はあー……」
大きなソファへ身体を落とす。
「負けたかあ……」
背もたれへ沈みながら天井を見る。少し前まで、第三戦のオーガをどう倒すかで頭がいっぱいだった。今は棍棒で陣形を崩された場面が何度も浮かんでくる。
「次どうすっかな……」
しばらく考えていた陸が、ふと身体を起こした。
「そういやランキング!」
すぐにボスバトルのランキングを開く。
「今どこまで行ってるやついるんだ?」
表示された一番上を見た瞬間、陸の目が見開いた。
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1位 ALEX
スキル:カウンターシールド
ランク:A
到達戦:第四戦
進行度:残HP93%
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「第四戦!?」
陸は思わず画面へ顔を近づけた。
「もう第三戦クリアしてるやついんの!?」
そのままスキル名へ目を移す。
「カウンターシールド……?」
詳細を開いた。
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【カウンターシールド】
ランク:A
攻撃を防いだ際、
受けた衝撃の一部を攻撃者へ返す。
強い攻撃ほど反撃威力が上昇する。
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「うわ、これオーガにめっちゃ刺さりそうじゃん!」
陸の頭に、棍棒を振り下ろすオーガの姿が浮かぶ。
「ヘヴィスマッシュとか返せたら、そりゃ強いわ……」
もう一度ランキングへ戻る。
「Aランクで俺より先かよ……」
陸はしばらくALEXの名前を見つめてから、一覧を下へ送った。
「てか、俺何位だ?」
上から順に名前を追っていく。二十位を過ぎたところで、見覚えのある四文字が出てきた。
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22位 JOHN
スキル:スケルトンラッシュ
ランク:SSS
到達戦:第三戦
進行度:残HP46%
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「いた! 22位か!」
陸はそのまま少し上まで一覧を見返した。
「俺より上、結構いるな……」
自分の欄にはSSSの文字がある。それでも、今は二十二番目だった。
「SSSだし、もっと上までいけると思ってたけど……甘くねえな」
もう一度、一番上まで戻す。
そこには変わらずALEXの名前があった。
「くっそ。負けたくねえな」
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