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第30話 新しい家を探検!

 陸は広くなったリビングを、改めてゆっくり見回した。


 部屋の中央には大きなソファ。その正面には、前に使っていたものよりずっと大きなテレビが壁に掛けられている。低いテーブルや照明まで全部新しくなっていた。


「ソファでか!」


 陸はすぐ近づき、そのまま真ん中へ腰を落とす。


 身体が深く沈んだ。背中まで柔らかく受け止められ、そのまま力を抜くと、ほとんど寝転がるみたいな姿勢になる。


「うわ、めっちゃ沈む!」


 少し姿勢を変えて、今度は片腕を背もたれへ乗せる。


「……これいいな」


 そのまましばらく座ってから、正面のテレビへ目を向けた。


「テレビもでっか!」


 前のテレビとは比べものにならない。ソファから見ても、画面の大きさがはっきり分かる。


「前のやつと全然違うじゃん!」


 陸は近くに置かれていたリモコンを手に取り、そのまま電源を入れた。


 黒かった大画面が明るくなり、しばらくすると番組の一覧が表示される。今のテレビ放送が続いているわけではなく、異変が起きる前までに放送されていた番組や映像が、そのまま見られるようになっていた。


 陸はすぐ一覧を送っていく。


 バラエティ、ドラマ、アニメ、映画。見覚えのあるタイトルが次々に並び、中には昔よく見ていた番組まであった。


「うお、これ懐かし!」


 ひとつ開いてみると、大画面いっぱいに映像が流れ始めた。音も前のテレビよりずっと広がって聞こえる。


「おお……いいな、これ!」


 陸はそのまま少しの間ソファへ座り、映像を眺めた。


 何本か気になるものを見つけてから再生を止め、一覧を閉じる。


「後でなんか見よ!」


 リモコンをテーブルへ戻し、もう一度背もたれへ身体を預けた。広くなった部屋を見渡していると、昨日まで同じ場所にベッドも机もキッチンもあったことの方が変な感じがしてくる。


「リビング、めっちゃ良くなってるじゃん!」


 陸はようやく立ち上がった。


 すぐ隣には、リビングとつながった大きなキッチンがある。


「キッチンはどうなってんだ?」


 中央には広い作業台があり、その向こうにコンロとシンクが並んでいた。壁際には背の高い冷蔵庫。その横には、今まで家になかった設備がいくつも組み込まれている。


「おお、こっちもかなり変わってるな!」


 陸はまず冷蔵庫へ向かった。


 扉を開ける。


「冷蔵庫もでかいな! これならかなり入りそうだ!」


 棚が何段もあり、冷凍室も別に大きく取られている。陸は上から下まで覗き込み、今度は冷凍室も引き出してみた。


「冷凍室までこんなにあるのか!」


 何も入っていない大きなスペースを見て、少し笑う。


「これなら買い溜めしても余裕じゃん!」


 扉を閉めると、次は作業台の下や壁際の収納を順番に開けていく。


「食洗機まで付いてんのか!」


 中には食器を並べるためのラックが入っていた。


「皿入れとくだけでいいなら、かなり楽だな!」


 その隣には見慣れない設備がある。


「……これ何だ?」


 少し覗き込んでから表示を見る。


「オーブンか! ここまで揃ってるのすげえな!」


 コンロも増えていて、シンクも前よりかなり広い。陸は蛇口をひねって水を出し、今度は横にある小さなレバーへ触れた。


「ん?」


 別の吐水口から細い水が流れる。


「おお、切り替えられるんだ!」


 何度か切り替えてから、水を止める。


 冷蔵庫、食洗機、オーブン。目についたものを一通り触っていくうちに、さっきから手が止まらない。


「キッチン、前と比べたら別物だな!」


 陸は作業台へ両手をつき、もう一度全体を見回した。


 前のキッチンは、ベッドや机と同じ部屋の端にあった。それが今は、ここだけで一つの空間として成り立っている。


 少しして、廊下の方へ目を向ける。


「次はどこ見ようかな」


 リビングを抜け、奥へ伸びた廊下へ入った。


 左右には新しい扉が並んでいる。


 一番手前を開ける。


「おお、ここ寝室か!」


 中央には大きなベッド。左右に小さなテーブルがあり、壁際には背の低い棚と柔らかな照明が並んでいた。


 陸はすぐ中へ入り、ベッドの端へ腰を下ろす。


 少し弾むように沈んだ感触を確かめると、そのまま後ろへ倒れ込んだ。


「広いな!」


 両腕を広げてもまだ余裕がある。横へ転がってみても、端まではかなり距離があった。


「ベッドもかなりでかいな!」


 反対側へもう一度寝返りを打つ。


 それでもまだ余裕がある。


「……これいいな」


 陸は仰向けになり、そのまま少しだけ目を閉じた。


 柔らかいベッドに身体が沈んでいく。


 数秒して、陸は目を開けた。


「危な。寝そうだった」


 身体を起こし、今度は寝室の中を見回す。


 ベッドの横には大きめの収納があり、扉を開けると服を掛けられるスペースと引き出しが並んでいた。


「収納までちゃんと付いてる!」


 中を軽く見て扉を閉める。


 もう一度ベッドを見た陸は、その端へ腰を下ろした。


「寝室もかなりいいな!」


 少し休んでから、陸は廊下へ戻った。


 次に開けたのは洗面所だった。


「洗面所もかなり広くなってるな!」


 横に広い洗面台。その上には大きな鏡が伸び、下や横には収納も増えている。以前より明らかに余裕のある空間になっていた。


 奥には、前に100万Pでアップグレードした浴室がそのまま残っている。


「風呂はそのまま残ってるな!」


 陸はすぐ浴室の扉を開けた。


 大きな浴槽も、ジェットバスも、前に買ったままだ。


「よかった! ここは前のままでいいんだよな!」


 浴室はそのままに、周りだけ新しくなっている。


 陸は洗面台の鏡を一度見てから、隣の扉へ移った。


 トイレだった。


「トイレまでだいぶ変わってるな!」


 以前よりかなり余裕のある空間に、新しい便器と小さな手洗いまで付いている。壁際には見慣れない操作パネルもあった。


「何このボタンの数」


 陸は少しだけ眺めた。


「……まあ、これは後でいいか」


 今はさすがに試さず、扉を閉める。


 向かい側の扉を開くと、奥まで棚が続く収納スペースが現れた。


「収納、思ったよりずっと広いな!」


 人ひとりが普通に歩けるほど広く、左右の壁一面に棚や引き出しが並んでいる。


 陸は中へ入り、そのまま一番奥まで歩いてみた。


 振り返る。


「奥まで結構あるな!」


 棚をいくつか開けてみても、中はまだ空っぽだ。


「これだけあれば、物増えても困らなそうだな!」


 陸はもう一度左右の棚を見ながら、ゆっくり入口まで戻った。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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