第2話 もう楽しんでる奴ら
ウィンドウに浮かんだ文字を、上から一気に目で追う。
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佐藤陸
Lv.1
HP 10
MP 13
筋力 7
耐久 5
敏捷 6
賢さ 10
【スキル】
・スケルトンラッシュ
【称号】
・なし
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「うわ、マジでステータスじゃん! きたこれ! ドラクエ的なやつ!」
手に持っていたスマホをベッドへ放り投げて、ウィンドウへ顔を近づける。レベル1。HP10。MP13。筋力7。耐久5。敏捷6。賢さ10。
「これ強いのか弱いのか全然わかんねえな!」
比較対象がない以上、数字だけ見ても何とも言えない。視線がそのままスキル欄へ落ちる。
「スケルトンラッシュ……何これ、めっちゃ面白そう。詳細とか見れないのかな」
試しに指先をスキル名へ重ねると、触れないはずのウィンドウが青白く光った。すぐ横に、もう一枚小さな画面が開く。
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スケルトンラッシュ
ランク:SSS
倒したモンスターをスケルトン化することができる。
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「ランクSSS!? これかなり上なんじゃね!? いや、絶対面白いだろ!」
説明文をもう一度見直す。倒したモンスターをスケルトン化できる。それだけなのに、使ってみたくて仕方がない。
その時、ベッドの上でスマホが震えた。
グループLINEだった。
『お前らもステータス出た?』
『出た出た』
『俺賢さ3なんだけど』
『低すぎだろ』
『お前マジでバカじゃん』
思わず吹き出しながら、そのまま続きを追う。
『スキル何だった?』
『俺ファイヤーボール。E』
『火の玉飛ばせるらしい』
『普通に当たりじゃね?』
『俺ソードブーストE』
『剣で攻撃した時の威力が上がるって』
『剣持ってねえけど』
『俺スピードアップF』
『ちょっと足速くなるだけなんだけど。終わった』
「最後だけ地味すぎるだろ!」
返信欄を開き、SSSと打ちかけて指が止まる。
E。E。F。
もう一度、自分のウィンドウを見る。ランクSSS。さすがに差がありすぎる。
打ちかけた文字を消して、そのまま送り直した。
『俺スケルトンラッシュ。E』
『何それ』
『骨出すの?』
『倒したモンスターをスケルトンにできるっぽい』
『へえ』
『名前のわりに普通だな』
陸はSSSの表示へ目をやって、口元を緩めた。今は黙っておけばいい。
Twitterを開くと、こっちもステータスとスキルの話で埋まっていた。
『ファイヤーボールEだった!』
『Fなんだけどハズレ?』
『A出た! これ当たりだろ!』
『今のところAが一番上っぽくない?』
F、E、D、C、B、A。画面を送っても出てくるのはその辺りばかりで、SSSなんてどこにも見当たらない。
「いや、これ相当ヤバいだろ!」
口元がまた緩む。
そのまま見ていると、一本の動画がやたら伸びていた。
『Aランク出たから使ってみた』
表示されているスキル名は、ライトニング。ランクA。
動画の中で男が手を前へ突き出した瞬間、青白い光が走った。次の瞬間、少し離れた金属ラックに雷が弾ける。
「うわ、すげえ!」
コメント欄も一気に流れていた。
『Aやば』
『これもう超能力だろ』
『当たりすぎる』
『Aでこれなら上どうなるんだよ』
陸は無意識に、自分のウィンドウへ視線を戻す。
SSS。
さっきより、その三文字がやたら目立って見えた。
さらに少しスクロールすると、今度は別方向で盛り上がっている投稿が目に入る。
『#ハズレスキル選手権』
『ウォームハンド/F
手がちょっと温かくなる』
『クリーニング/F
服の汚れが落ちる。いや便利だけど今じゃない』
『スローフォール/E
落下速度が少し遅くなる。家から出れないから試せない』
「いや、最後かわいそうすぎるだろ!」
世界中で意味不明なことが起きているのに、もうネタにして遊び始めている人がいる。
しばらくその流れを見ていると、今度は別の話題が一気に増え始めた。
『玄関開いたんだけど』
『さっきまで開かなかった玄関が急に開いた。でも外じゃない』
『なんか石造りの通路に繋がってる』
『これダンジョンじゃね?』
すぐ動画を開く。
玄関の扉の向こうには、薄暗い石造りの通路が奥まで続いていた。見慣れた廊下でも道路でもない。
「うわ、次来た!」
陸は立ち上がると、そのまま玄関へ駆け出した。
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