第170話 ドローン偵察!
開けた岩場の向こうでは、アビスリザードがまだこちらに気づかず伏せていた。
陸はさっき回収したドローンをもう一度飛ばし、少し離れた岩の上まで上げた。画面にはアビスリザードと、その手前に広がる岩場が一緒に入る。
「まず、何も付けてない状態で撃ってみるか」
陸はゴブリンハイハンターからストームボウを受け取り、ゴブリンシャープシューターを呼び出して渡した。
「鱗の隙間じゃなくて、肩の真ん中狙って。フォーカスショット!」
シャープシューターが弦を引き絞る。矢じりの周囲に集まった光が少しずつ強くなり、やがて弓と腕の骨まで明るく照らし始めた。
「よし、撃て!」
弦が鳴り、光をまとった矢が岩場を横切る。
ガッ、と硬い音が響いた。
矢はアビスリザードの肩へ突き刺さり、黒青色の鱗に亀裂を走らせた。だが矢じりは表面近くで止まり、その下までは深く入っていない。
「やっぱ硬いな」
アビスリザードが頭を上げ、低い唸り声を響かせた。黒青色の巨体がこちらを向き、そのまま岩床を蹴る。
「ベヒーモス、ロイヤルナイト!」
二体が前へ出た。コボルトベヒーモスが正面からぶつかり、黒青色の頭を太い腕で押さえる。横から爪が振られると、ロイヤルナイトがアークソードで受け流しながら位置をずらした。
アビスリザードはそのまま押し切ろうと前へ出る。ベヒーモスの足が岩床を削り、ロイヤルナイトも正面には留まらず横へ回った。
その間に陸は所持アイテムから透明なケースを取り出した。
「よし、本番」
中の黒い部品を取り出し、ストームボウの固定金具へ差し込む。小さな窓の奥では、蒼星鉱の薄片が青白く瞬いていた。
太い尾が振られ、ロイヤルナイトが大きく距離を取る。コボルトベヒーモスも一度押し返されたが、すぐに踏み込み直してアビスリザードの進路を塞いだ。
「もう一回! 今度も鱗の真ん中!」
シャープシューターが再び弦を引き絞る。矢じりに集まった光が少しずつ強くなっていく。
アビスリザードが頭を振ってベヒーモスを押し退けようとする。ロイヤルナイトが横から斬りつけて注意を引き、その間もシャープシューターは狙いを外さない。
光が弓から腕の骨まで広がったところで、固定金具の小窓も強く青白く光った。
「今!」
矢が放たれる。
コボルトベヒーモスが頭を押し戻した瞬間、その横を抜けた矢が、さっきとは反対側の肩へ飛び込んだ。
バキッ!
黒青色の鱗に亀裂が走った。
矢じりがそのまま鱗を割り、その下へ深く食い込む。矢は深く刺さったまま残っていた。
「入った! 鱗にそのまま入った!」
「すごい!」
アビスリザードが大きく身体を振る。肩に刺さった矢も激しく揺れたが、抜けない。割れた鱗の間へ深く残ったままだ。
陸がストームボウを見ると、さっきまで青白く光っていた小窓はもう暗くなっていた。差し込んだ黒い部品の中央は焼け、継ぎ目もわずかに開いている。
「うわ、ほんとに一発で壊れた」
それでも、目の前の結果は分かりやすかった。最初の矢は鱗の表面近くで止まり、二本目は鱗そのものを割っている。
「そのまま倒すぞ!」
コボルトベヒーモスがもう一度正面から押し込み、フラッシュファングウルフが反対側を駆け抜ける。黒青色の頭が白い影を追ったところへ、ロイヤルナイトが踏み込んだ。
アークソードが肩口の鱗を割って深く入り、アビスリザードが大きくよろめく。そこからは長くかからなかった。前をベヒーモスが押さえ、フラッシュが注意を散らし、ロイヤルナイトが傷口へ何度か刃を通す。
最後にアークソードが首元へ深く入り、黒青色の巨体が岩床へ崩れた。
しばらく待っても動かない。
「よし!」
陸は倒れたアビスリザードの肩へ近づいた。最初に撃った側には、鱗の表面に矢じりが食い込んだ跡が残っている。反対側では、本番の一射が割った鱗の間へ矢がまだ深く刺さっていた。
並べて見ると、差ははっきりしていた。
陸はロイヤルナイトにアークソードで矢が刺さった周囲の鱗を切り取らせ、所持アイテムへ入れた。続いてストームボウから焼けた黒い部品を外す。少し歪んだ部品は、もう差し直して使えそうにはない。
「これも持って帰ろう」
ドローンには、二本の矢が当たったところも残っている。陸は壊れた部品をケースへ戻し、所持アイテムへしまった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや☆評価、感想で応援していただけると励みになります!




