第17話 いつの間にか大金持ち!
あれから三日が経った。
「……なんかもう慣れてきたな」
陸はベッドに寝転がったまま、スマホの画面を眺めていた。
数日前まで、家から出られないだけでも大騒ぎだった。
そこへステータスが現れて、玄関の先がダンジョンになって、モンスターまで出てきた。
最初は何が起きても驚いていたのに、今ではショップで飯を買って、玄関の向こうではスケルトンたちが勝手に狩りをしている。
「普通に生活に入ってきてるんだけど」
自分で言って、少し笑う。
この三日間、陸はダンジョンへ行っていない。
第1階層へ散らした十体のスケルトンには、そのままゴブリンを狩らせ続けていた。
陸自身はというと、飯を食べたり、寝たり、ショップを眺めたり、ネットで情報を集めたりしている。
ネット上の空気も、最初の日とはかなり変わっていた。
『第1階層クリアした!』
『第2階層スライムだるすぎ』
『一回戻ってレベル上げした方がいい』
『第3階層到達』
「三階層まで行ってるやついるんだ」
陸はその投稿を開く。
まだ数は少ない。それでも、第1階層を突破したという報告自体はかなり増えていた。
第2階層へ進んで、そのまま攻略を続けている人。一度第1階層へ戻ってレベルを上げている人。家族や友人と一緒に進んでいる人。攻略方法も少しずつ増えている。
「やっぱ一回戻って育てるの、普通にありなんだな」
陸もスライム二体を相手にして、一度レベルを上げようと決めた。
同じことをしている人が多いなら、判断自体は悪くなかったらしい。
一方で、世界そのものについては何も分かっていない。
政府や研究機関からは、今も調査を続けているという発表が出ている。
どうして家から出られないのか。どうして玄関がダンジョンへ繋がったのか。ステータスやスキルは何なのか。
その答えは、まだどこにもなかった。
「まあ、そっちは偉い人たちに任せるとして……」
陸はスマホを横へ置いた。
「俺は俺で、やること決まってるんだよな」
深い階層へ行く。
自分とスケルトンたちを強くする。
強そうなモンスターがいたら仲間にする。
そしてポイントを稼ぐ。
「もっといいもん食って、家も広げて、家電も揃えて……」
この三日間、ショップもかなり見た。
前に見た部屋の拡張や浴室拡張だけじゃない。
ベランダ拡張。屋内プール。大型ジャグジー。ゲームルーム。
名前を見ているだけでも欲しくなるものがいくらでもあった。
「ベランダめちゃくちゃ広げて、プールまで作れたら最高だよな」
今は家から外へ出られない。
だったら、家の中を好き放題できるくらい広くしてしまえばいい。
「魔法のスキルも欲しいしなあ」
ファイヤーボールだけじゃない。
ショップには見たこともないスキルがまだいくらでも並んでいる。
「よし。やっぱもっと稼ご」
やることは単純だった。
強くなって、深く潜って、もっと稼ぐ。
そして、その分だけ生活を豪華にする。
陸は身体を起こす。
「で、そろそろ三日分見てみるか!」
ポイント自体は、この三日間も飯を買ったりするたびに何度か見ていた。
でも、所持アイテムの中身はほとんど確認していない。
「途中で見るより、まとめて見た方が絶対面白いだろ」
まずは現在のポイントを開く。
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所持ポイント
354,700P
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「おお、三十五万超えた!」
数字を見た瞬間、前にショップで見た商品を思い出した。
「……あ」
すぐショップを開く。
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ドラム式洗濯乾燥機
348,000P
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「買えるじゃん!」
以前は、ゴブリン三千体以上倒さないと無理だと思っていた。
それが今は普通に買えるところまで来ている。
「うわ、欲しい……」
購入ボタンを見る。
でも、今買えばポイントはほとんどなくなる。
「いや、さすがに今ほぼ全部使うのは違うな」
陸は名残惜しそうにショップを閉じた。
「もうちょい余裕できてからだな」
次。
「よし。本命!」
所持アイテムを開く。
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【所持アイテム】
薬草 ×428
ゴブリンの短剣 ×87
ゴブリンの棍棒 ×54
鉄の剣 ×19
革の胸当て ×12
革の腕当て ×18
革の靴 ×15
魔石 ×263
ポーション ×41
上級薬草 ×7
ゴブリンの牙 ×96
ゴブリンの耳 ×112
小さな魔力結晶 ×8
古びた銀貨 ×23
古びた指輪 ×4
黄金の報奨貨 ×1
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「……多っ!」
陸は思わず身体を前へ出した。
「何これ! 三日でこんな増えんの!?」
画面を上から下へ一気に追う。
薬草四百以上。短剣八十本以上。魔石は二百六十個を超えている。
「武器めっちゃあるじゃん!」
鉄の剣だけでも十九本。革の防具まで増えている。
「これ全員装備できるだろ!」
今まで武器を持っていなかったゴブリンスケルトンたちの姿が浮かぶ。
さらに下。
「ゴブリンの牙……耳……」
この三日間で、ショップには買うだけでなくアイテムを売却する機能もあることを確認していた。
こういう素材も、売ればポイントになる。
「あとでいらないのまとめて売るのもありだな」
そのまま一覧を下へ送る。
古びた銀貨。古びた指輪。
そして。
「……黄金の報奨貨?」
見覚えのない名前が一つだけあった。
しかも数量は一。
「何これ」
すぐ詳細を開く。
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黄金の報奨貨
極めて稀にモンスターから
得られる換金用の金貨。
売却価格:1,000,000P
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「……は?」
一度閉じる。
もう一度開く。
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売却価格:1,000,000P
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「百万!?」
陸はベッドの上で勢いよく立ち上がった。
「これ一個で百万ポイント!?」
三日間かけて貯まった所持ポイントより、これ一個の方が高い。
「何拾ってきたんだよ!」
陸は売却価格をもう一度見る。
「換金用って書いてあるなら、売っていいやつだよな」
少しだけ迷って。
「売るか!」
売却を押した。
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黄金の報奨貨 ×1
1,000,000Pで売却しました。
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「うおおおお!」
すぐ所持ポイントを開く。
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所持ポイント
1,354,700P
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「百三十五万!」
さっきまで三十五万だった数字が、一気に七桁になっている。
「やば! 一気にできること増えた!」
陸は七桁になった数字を、しばらく眺めていた。
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