↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
168/203

第168話 研究の結果!

 数日後、陸とエリナは再び対策庁の研究室へ来ていた。


 前に見た作業台の上には、蒼星鉱とアークソード、ストームボウ。それとは別に、切断されたショップ品や金属片がいくつも並んでいる。部屋の奥には高瀬も来ていた。


「あ、佐藤さん。ちょうどよかったです。これ見てください」


 研究担当者が、作業台の端にあった小さな金属部品を二つ寄せた。


 片方は途中で切られ、内部が見えている。もう片方も、見た目だけならかなり似ていた。


「どっちもショップのですか?」


「こっちはそうです。で、こっちはこっちで作った方」


「おお。ほぼ同じじゃないですか」


「見た目はいいところまでいったんですけどね。動かすと全然違いました」


「あ、ダメなんですね」


「ダメでした。ちょっと悔しいです」


 研究担当者は笑いながら、人間側で作った方を指先で転がした。


「材質を変えたり、中の形を寄せたりはしたんですけど、ショップ品に出ている性能までは届かなくて。ただ、何も反応しないわけでもないんです」


 完成した物が目の前にあるなら、分解すればかなり近づけると思っていた。


 どうやら、それほど簡単ではないらしい。


「蒼星鉱も、似たような感じです」


 研究担当者は今度は銀灰色の塊へ手を伸ばした。


「壊さずに見られる範囲でも、普通の金属とはかなり違いました。強度もそうですし、魔力を通した時の反応もかなり変わってます」


「じゃあ、武器にできそうです?」


「今すぐ一本作れる、とは言えないですね。こっちで普段使ってる条件をそのまま当てはめても、素直に加工できる感じじゃないです」


 蒼星鉱は、陸が預けた時とほとんど変わらない形で残っていた。


「なので、次に進むなら少しだけ削らせてほしいんです。表面だけじゃなく、中も見たいので」


「やっぱそこは削るんだ……」


「そこは避けにくいです。でも勝手にはやってませんよ」


 一個しかないAランク素材だ。ずっと眺めているだけでは武器にもならないが、雑に削られるのも困る。


 研究担当者は横の容器にも手を伸ばした。第11階層から持ち帰った石と土だ。


「祭壇の方は、今のところこっちを持って帰ってきても何も起きませんでした」


「まあ、石だけ光り始めても怖いですけど」


「それはそれで見てみたかったんですけどね」


 陸は思わず笑った。


「現地のデータはちゃんと残ってます。ただ、今のところ『これが祭壇を動かしてる』ってものまでは見つかってません」


「うーん……」


 陸は作業台を見回した。


 蒼星鉱は、すぐ武器にならない。ショップ品も、形を真似しただけでは同じ物にならない。祭壇も、周りの石を持ち帰れば仕組みが分かるという話ではなかった。


「これ、全部ハズレってことです?」


「いや、そこまでじゃないです」


 研究担当者は、さっきの人間側の部品を持ち上げた。


「これ、ショップ品ほどじゃないですけど反応は出てるんですよ。完全に同じ物を作ろうとすると遠い。でも、同じ物じゃなくていいなら話が変わります」


「同じ物じゃなくていい?」


「武器一本を丸ごとAランク相当にするんじゃなくて、一回の攻撃だけ手伝うとか。攻撃の瞬間だけ魔力を通しやすくするとか、そこまでなら試せるかもしれません」


 陸は作業台のアークソードへ目を向けた。


 タイラントドレイクには傷をつけられた。それでも、浅かった。


「一発だけでも、今より深く斬れるなら全然ありですね」


「そういう方向です」


 研究担当者はそこで蒼星鉱を見た。


「で、その試験に少しだけ使わせてほしいんです」


「どれくらい使います?」


「最初は本当に少しです。目に見えてごっそり減るような使い方はしません」


 陸は蒼星鉱を見る。


 第12階層で見つけた時は、何を作れるか楽しみにして持ち帰った。まだ一個しかないし、できれば無駄にはしたくない。


 けれど、対策庁へ預けたのは眺めてもらうためではない。Aランクに届くものが作れるかもしれないなら、少しくらいは使う意味がある。


「じゃあ、少しだけなら。Aランクに効く可能性あるなら使ってください」


「ありがとうございます。まず一個、試してみます」


 その言葉を聞いて、高瀬も作業台の方へ来た。


「では、その方向で進めてもらいましょう。必要なものはこちらでも手配します」


 研究担当者は蒼星鉱の記録へ新しく書き込みを始めた。まだ鉱石そのものは、陸が持ち込んだ時とほとんど同じ形で作業台の上に残っている。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや☆評価、感想で応援していただけると励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。