第159話 Aランク素材!
細い岩道を進むにつれて、周囲の青白い光が少しずつ増えていった。
最初は岩壁のところどころに見えていた程度だったが、先へ行くほど結晶の数が多くなる。壁の割れ目や天井近くからも細い結晶が伸び、暗かった岩道が淡く照らされていた。
「この辺、めっちゃ光ってるな」
「きれい!」
フラッシュファングウルフを少し前へ出したまま、陸たちはその中を進んでいく。
やがて細かった道が開けた。左右の岩壁には青白い結晶がまとまって露出し、足元にも小さな光が点々と散っている。
エリナが少し先へ歩き、岩が重なった場所で足を止めた。
「リク、これ!」
「ん?」
呼ばれて近づくと、青白い結晶の間に、違う色のものが見えた。
銀灰色の鉱物が岩の隙間から一部だけ露出している。表面は金属のように鈍く光り、その奥では青白い小さな光がいくつも瞬いていた。
「なんだこれ」
陸はすぐ鑑定を使った。
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蒼星鉱
ランク:A
高い強度と魔力伝導性を
併せ持つ希少鉱石。
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「A!?」
思わず声が大きくなる。
「えー?」
「これ、Aランクだって!」
「えー!」
陸はもう一度表示を見る。
「ほんとにあったのかよ……!」
第12階層へ来てから、Bランクのモンスターも素材も装備も見つけた。さらにタイラントドレイクまでいたなら、Aランクの素材があってもおかしくないとは考えていた。
それでも、実際に目の前へ出てくると話は別だった。
「これ欲しいな」
陸は露出している部分へ手をかけて引いてみた。
動かない。
見えている部分よりずっと奥まで岩の中へ入り込んでいるらしい。少し角度を変えて引いても、びくともしなかった。
「また埋まってんのか……」
雷晶石の時のようにピッケルを出すことも考えたが、陸はすぐ左手を岩壁へ向けた。
「周りだけ崩せばいけるか」
狙うのは蒼星鉱そのものではない。その周囲を固めている黒い岩だ。
土属性を使う。
鉱石の横に細い亀裂が走り、岩の表面がぱらぱらと崩れた。続けて少し位置をずらすと、今度は下側の岩が砕けて小さな塊になって落ちる。
「お、いける」
一度に大きく崩さず、蒼星鉱の周りだけを少しずつ削っていく。
上側。
次に右側。
何度か繰り返すうちに、最初は一部しか見えていなかった銀灰色の部分が大きく露出した。
「こっちも!」
エリナが横から指さした場所には、細い亀裂が奥まで伸びている。
「あ、そこもいけそう」
陸がその周囲を崩すと、岩の一部がまとまって落ちた。
だが、その手前にはまだ大きな岩が一つ残っている。
陸はコボルトベヒーモスを呼んだ。
「ベヒーモス、これどかして」
巨大な骨格が前へ出る。太い両腕で岩を掴み、そのまま力を込めた。
ごりっ、と重い音がして岩が動く。
「おお、そのまま!」
コボルトベヒーモスがもう一度力を入れる。大岩がゆっくり横へずれ、挟まっていた小石が次々と床へ落ちた。
その奥から、蒼星鉱の塊が完全に姿を現す。
「取れた!」
陸はすぐに手を伸ばした。両手で持てるほどの大きさだった。銀灰色の表面の内側で青白い光が細かく瞬き、少し角度を変えるだけで光る場所が次々と変わる。
エリナもすぐ隣まで寄ってきた。
「ほし!」
「ほんとだ。星みたいだな」
鉱石を持ったまま眺めていると、左手首の万象の腕輪が目に入る。
「……これも食わせたら、何か増えるのかな」
「たべる?」
「いや、やめとく」
一個しかないAランク素材を、その場で消してしまうのはもったいない。
「これは残す。鍛冶で使ったら何できるか見てみたい」
「つくる!」
「な。絶対なんか面白そう」
陸は蒼星鉱を所持アイテムへ入れた。銀灰色の塊が手の中から消える。
「Aランク素材、ゲット!」
陸が満足して立ち上がると、エリナは先へ続く岩道を指さした。
「まだ、いっぱい光ってる!」
「よし、行こう」
フラッシュファングウルフが先へ走り出し、ロイヤルナイトたちも動き始める。陸とエリナも続き、青白い結晶が続く岩道の奥へ進んでいった。
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