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第154話 レベル上げ!

 狩場が使えると分かった以上、試すだけで帰る理由はない。


「よし。ちゃんとやるか」


 陸はスケルトンストックを開いた。


 探索中は動きやすさを優先して四体だけ連れていたが、今日はレベル上げだ。ゴブリンハイハンターやダークウルフ、ソニックファングウルフをはじめ、育てたいCランクのスケルトンを次々と呼び出していく。


 静かだった横穴が、一気に骨だらけになった。


 エリナが並んでいくスケルトンの間へすぐ入り込んだ。前衛の脚の間を抜け、奥まで行ったかと思えば、今度は駆け戻ってきた。


「こっち、まだあいてるよ」


「そこは空けといて。魔法飛ばすから」


「はーい」


 入口にはコボルトベヒーモス。その左右にロイヤルナイトと近接系を置き、後ろへ弓と魔法を使うスケルトンを広げる。全部を入口へ詰める必要はない。敵が一本道からしか来ないなら、奥の広さを使った方がいい。


 陸は誘魔の香炉を使用した。


 淡い煙が立ち上り、横穴の外へ流れていく。


「祭壇より早かったら、ここ当たりなんだけどな」


 しばらくして、岩道の向こうから足音が重なり始めた。


 最初に現れたのはロックボアの群れだった。六体。曲がり角から飛び出すなり、そのまま入口へ突っ込んでくる。


「来た来た! そのまま止めて!」


 先頭がコボルトベヒーモスへぶつかる。巨体はほとんど動かず、後ろから来たロックボアまで次々と詰まった。


 そこへ矢が降る。炎が入口の外側を舐め、横から飛び出したスケルトンが倒れかけた一体へ武器を叩き込んだ。


 陸が次の指示を出す前に、六体は次々と崩れていった。


「早っ」


 第11階層の祭壇では、三方向から来る敵へ前衛を分けていた。ここは正面だけだ。守る場所が一つしかない分、攻撃も集めやすい。


「リク、またくる!」


 エリナが入口の向こうを指した。


「もう?」


 今度はロックボアだけではなかった。


 岩壁と似た灰色の甲殻を持つ、二メートルほどの四足獣が混じっている。肩から前へ太い角が伸び、ロックボアを押し退けるように走ってきた。


 陸が鑑定すると、クラッグホーンというCランクのモンスターだった。


「C来た!」


 三体のクラッグホーンと、その後ろからさらにロックボアが突っ込んでくる。


 先頭をコボルトベヒーモスが受け止めた。骨の腕と太い角がぶつかり、重い音が響く。


 止まった。


 だが、横へ弾かれた一体が壁際へ回り込み、入口の隙間へ頭をねじ込んでくる。


「そっち抜ける! ロイヤルナイト、右!」


 アークソードが振り下ろされ、クラッグホーンが横へよろめく。さらに後ろから二体目が押し込み、入口が一気に騒がしくなった。


「近接、前もう二体! ハイウィザードは入口の外!」


 奥にいたスケルトンが走り、コボルトベヒーモスの左右を埋める。


 ゴブリンハイウィザードが杖を向けた。


 入口の向こうで炎が渦巻き、押し合っていたモンスターの群れをまとめて包む。


「おおっ!」


 逃げようにも後ろには次の個体がいる。前へ出ようとしても、入口ではスケルトンが待っている。


 さっきまで押されかけていた列が、今度はそこで完全に止まった。


 その横で、前へ出していたCランクのスケルトンが一体、角をまともに受けて岩壁へ転がる。腕の骨に細いひびが走っていた。


「おっと。そいつ下げて、代わり前!」


 傷ついた一体が奥へ退き、待っていた別のスケルトンがすぐ穴を埋める。数がいると、こういう時に無理をさせなくていい。


「これだ。ここ二体増やしとこ」


「またきたよ!」


「マジで早いな!」


 次の群れが曲がり角から現れる。


 今度は陸が細かく指示する必要もなかった。前衛が入口で受け止め、後ろから矢と魔法が重なる。倒れた敵の隙間へ次が入り、そこもすぐ埋まった。


 それから何度も敵が来た。


 ロックボア。クラッグホーン。時には別のDランクも混じったが、入口を抜けた個体はいない。最初は陸も群れが来るたび入口へ寄っていたが、何度か繰り返すうちに、前衛の入れ替えまでスムーズになっていった。


 エリナは奥へ下がった傷ついたスケルトンの前にしゃがみ込み、ひびの入った腕を覗いていた。


「いたい?」


「たぶん痛くはないと思うけど、あとで直す」


「なおす!」


 エリナは満足したように立ち上がり、また陸のところへ戻ってくる。


 前衛が少し傷めば別のスケルトンと入れ替え、後方は空いた場所から攻撃を続ける。


 陸も最初ほど口を出さなくなった。


「これ、めっちゃ楽だな」


 敵を探して歩き回らなくても、向こうから来る。しかも第11階層よりCランクが明らかに多い。


 しばらく狩り続けたあと、陸は育成中のスケルトンを何体か確認した。


「お、上がってる」


 一体だけではない。さっき召喚した中から、すでにレベルが上がっている個体がいくつもあった。


 祭壇の加護がない分まで含めてどちらが上かは、まだ分からない。それでも、このペースなら十分だった。


 エリナがまた入口の方を向く。


「リク、つぎ!」


「よし、来い!」


 入口のスケルトンたちが一斉に前へ出た。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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