第153話 狩場探し!
翌日、陸はリビングでスケルトンストックを眺めていた。
ここ数日でBランクの装備はかなり増えた。万象の腕輪も強くなっている。
「次はレベルか」
陸自身もまだLv.40には届いていない。40になれば召喚上限は五十体まで増える。Lv.30で精鋭化が増えたことを思えば、他にも何かあるかもしれない。
そこで、昨日のことを思い出した。
「そういや……俺、あそこからそのまま帰ってきたんだよな」
第12階層の途中で戦闘になった時は退出できなかった。だが、敵を倒した後は階段や入口まで戻らなくても、その場から麻布台へ帰れている。
世界更新後、個人ダンジョンへの出入りはシステムメニューに変わった。どうやら入る時も到達済みの階層を直接選べて、戦闘中でなければ出る場所まで気にしなくていいらしい。
「今さら気づいた……めっちゃ楽じゃん」
陸はメニューから第12階層を選んだ。
景色が切り替わる。出たのは、昨日帰還した場所からそう離れていない岩道だった。わざわざ階層の入口から歩き直す必要もないらしい。
「マジで便利になってるじゃん」
エリナが青白い岩の間を先へ走っていく。陸も追いながら、ロイヤルナイト、コボルトベヒーモス、サイクロンガーゴイル、ゴブリンハイウィザードを召喚した。
「今日は上の方行くぞ」
前に祭壇でレベル上げをした時は、Dランク中心でも加護があった。こっちは祭壇こそないが、上へ行けばCランクが増える。
「香炉使ったら、どっちが早いんだろ」
試してみたくなった。
陸たちは上方向へ伸びる岩道へ入った。
青白い光の薄い場所ではサイクロンガーゴイルを先へ飛ばし、細い裂け目があればコボルトベヒーモスが通れるか確かめながら進む。途中、下へ折れる分岐があったが、陸はそのまま上へ続く道を選んだ。
しばらく進むと、前方に広い岩棚が見えてきた。
「お、ここ良さそうじゃん」
奥行きもあり、コボルトベヒーモスが立っても十分な広さがある。陸が中へ入ると、上を飛んでいたサイクロンガーゴイルが右側へ回り込んだ。
「ん?」
大きな岩の裏に細い道が続き、その先で別の岩道につながっている。
「あー、二方向か。ここはやめとこ」
陸たちはすぐ岩棚を出た。
そこから先は細い坂が続いていた。足元の石が何度か転がり落ち、少し下では赤いマグマの光が岩壁の隙間から見えている。エリナが端へ寄りすぎた時だけ、陸が服の後ろを掴んで中央へ戻した。
次に見つけた窪みは、入口にコボルトベヒーモスが立つだけでほとんど埋まった。
エリナが奥へ入って振り返る。
「ここは?」
「狭すぎるな」
巨体が身体を斜めにしながら出てくるのを待って、また歩き始める。
途中、右手の岩壁で青白い結晶がまとまって光っていた。
「リク、ひかってる!」
「帰りにまだ欲しかったらな」
エリナは一度だけ結晶を振り返ったが、そのまま陸の後をついてきた。
黒い岩壁の間を抜け、さらに上へ進む。道の向こうで何か大きな影が動けば一度止まり、離れていくのを待ってまた歩く。広すぎる空洞は通り過ぎ、横道の多い場所も外した。
何度か曲がった先で、左側の岩壁に大きな横穴が開いていた。
陸は足を踏み入れた。
「ここ、広いな」
入口を抜けると奥が広がっている。四体を並べても余裕があり、左右と奥は岩壁で塞がれていた。
サイクロンガーゴイルを天井近くまで飛ばす。陸自身も奥の岩壁沿いを一周した。大きな割れ目も、抜けられそうな横穴もない。
「お、いいかも」
入口まで戻る。外へ続くのは正面の岩道一本だけだった。コボルトベヒーモスが中央に立てば、その左右にもロイヤルナイトが動けるくらいの幅は残る。
「祭壇より入口少ないし、やりやすそう」
陸はコボルトベヒーモスを入口の中央へ出し、ロイヤルナイトをその横へ置いた。ゴブリンハイウィザードは奥。サイクロンガーゴイルは入口の上へ飛ばす。
所持アイテムから誘魔の香炉を取り出した。
「一回やってみるか」
使用すると、淡い煙のようなものがゆっくり立ち上った。
少し待つ。
煙は横穴の入口から外へ流れていく。エリナは香炉の近くを一周してから陸の隣へ戻り、四体のスケルトンもそのまま配置を崩さない。
最初は静かだった。
やがて一本道の向こうから、重い足音が続けて響いた。
「来た」
曲がり角から、岩色の毛に覆われたロックボアが三体飛び出してきた。第12階層で何度か見かけたDランクのモンスターだ。
三体は横一列にはなれず、前後に重なって横穴へ突っ込んでくる。
「ベヒーモス、そこで止めて!」
先頭のロックボアが巨体へぶつかり、鈍い音が洞窟に響いた。
コボルトベヒーモスはほとんど下がらない。後ろの二体まで詰まり、入口で固まる。
そこへゴブリンハイウィザードの炎が広がった。ロイヤルナイトも横から一体を斬りつける。
先頭が倒れると、後ろに詰まっていた二体も前へ出られないまま攻撃を受ける。ほどなく三体とも入口の外側で動かなくなった。
「おお、いいじゃん!」
横穴の奥も左右も静かなままだった。少なくとも今の三体は、狙った一本道からだけ来ている。
「ここ使えるな」
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