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152/203

第152話 探索の成果!

 タイラントドレイクと遭遇してから、数日が経った。


 その間も陸たちは第12階層へ通い、宝箱や素材を回収していた。Bランクの装備は少しずつ増え、万象の腕輪も反応した素材を吸収するたびに強くなっている。


 今日も陸はエリナと四体のスケルトンを連れ、第12階層を歩いていた。


 入口からそれほど離れていない場所では、遠くの岩場をアビスリザードが横切っていく。黒青色の大きな身体が岩陰へ消えるのを見送ってから、陸たちは上方向へ伸びる岩道へ入った。


 何度か同じ方向を歩いたことで、だいたいの傾向は見えてきている。


 上へ進むほどCやDランクが増える。逆に奥深くへ入ればBランクが目立ち、その先ではAランクまで何度か見かけた。


「やっぱ、こっちはだいぶ違うか」


 陸の前ではロイヤルナイトがアークソードを持って歩き、その横をコボルトベヒーモスが進んでいる。サイクロンガーゴイルは少し上を飛び、ゴブリンハイウィザードは後方についた。


 岩道は少しずつ高くなっていた。


 黒い岩の斜面を回り込み、青白く光る岩壁の間を抜ける。途中では細い水の流れが道を横切っていて、エリナがそこを飛び越えた。着地した先で振り返り、少し得意そうに陸を見る。


「いけた!」


「それくらいなら余裕だろ」


 陸も水を跨ぎ、そのまま先へ進んだ。


 途中、岩棚が急に狭くなる場所では、コボルトベヒーモスがそのまま通れず横向きになった。三メートル近い骨格が岩壁の間をゆっくり抜けてくる。


「そこ通りにくそうだな」


 エリナが隣で見上げる。


「おおきいから?」


「でかすぎるんだよ」


 ようやく抜けた巨体が何事もなかったように先頭へ戻り、陸もその後へ続いた。


 さらに坂を上ると、片側の岩壁が途切れ、巨大な空洞が下まで見渡せる場所へ出た。ずっと下の裂け目では赤いマグマが光り、その向こうでは青白い岩肌がぼんやり浮かんでいる。


「リク、した!」


「高いな、ここ」


 エリナが岩道の端へ寄りかけ、陸は服の後ろを軽く掴んで止めた。


「そこまで行くなよ」


「はーい」


 見下ろせば、何日か前に歩いた広い岩場がかなり下にある。あの辺りではBランクを何度も見かけたのに、ここまで上がってからは大きな影そのものが減っていた。


 そのまま岩壁沿いに進んでいると、前方の岩陰からグレートケイブリザードが這い出してきた。


 陸が足を止めるより先に、ロイヤルナイトとコボルトベヒーモスが前へ出る。


「倒して!」


 グレートケイブリザードが爪を振り上げる。ロイヤルナイトが横へ踏み込み、アークソードを首元へ走らせた。身体が傾いたところへコボルトベヒーモスの拳が入る。


 さらに上からサイクロンガーゴイルが飛び込み、鋭い爪を背中へ叩きつけた。


 大きな音を立てて倒れた巨体は、そのまま動かなかった。


「もう終わりか」


 陸はドロップだけ回収し、すぐに歩き出した。


 少し進むと、岩道はまた二つに分かれていた。右はさらに上へ続き、左は緩く下っている。陸は右へ進む。


 何度か曲がり道を抜ける。青白い光が薄くなる場所では、サイクロンガーゴイルが先へ飛び、岩陰の向こうを確かめて戻ってきた。エリナはコボルトベヒーモスの隣を歩きながら、ときどき上を見上げている。


 この数日で、第12階層の広さそのものにはまだ慣れないまでも、歩き方には少し余裕が出ていた。


 しばらく進んだところで、陸は足を止めた。


「今日はこの辺で帰るか」


 四体を近くへ集め、陸はシステムメニューを開いた。


 その時だった。


 右手の岩陰から、低い唸り声が聞こえた。


「ん?」


 黒い影が飛び出してくる。


 グレートケイブリザード。


 さっきと同じDランクだ。


 ロイヤルナイトがすぐ前へ出て、振り下ろされた爪をアークソードで受け流す。コボルトベヒーモスも横から回り込んだ。


 陸の目の前には、まだシステムメニューが開いている。


 そのまま退出を選んだ。


━━━━━━━━━━━━━━

戦闘中のため、

個人ダンジョンから退出できません。

━━━━━━━━━━━━━━


「え?」


 グレートケイブリザードが身体を捻り、太い尾を振った。


「もう倒して!」


 ロイヤルナイトが尾をかわして踏み込み、アークソードを振り抜く。続けてコボルトベヒーモスが頭部へ拳を叩き込んだ。


 サイクロンガーゴイルが上から飛び込み、鋭い爪で背中を切り裂く。ゴブリンハイウィザードが杖を向けると、炎がグレートケイブリザードの側面を包んだ。


 グレートケイブリザードが動かなくなる。


 陸は四体をスケルトンストックへ戻し、もう一度システムメニューを開いた。エリナが隣へ寄ってくる。


 今度は退出を選んでも、さっきの表示は出なかった。


 視界が切り替わった。


 さっきまでの岩壁も、下から響いていた低い轟音も消え、麻布台のリビングが戻ってくる。


 陸はソファの近くで立ち止まり、数日前に見た巨大なタイラントドレイクを思い出した。


「……あの時、気づかれなくてよかった」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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