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150/203

第150話 Bランク装備!

 雷晶石を吸収したあとも、陸たちはそのまま横穴の奥へ進んでいた。


 さっきまでより歩く速度は少し落としている。曲がり角へ近づけば、その先に大きな影がないかを先に確かめる。アビスリザードが二体も普通に歩いていた以上、何も考えずに進む気にはなれなかった。


「この辺にはいないか……」


 岩壁の向こうを確認してから進む。しばらくすると横穴が少し広がり、その端に見慣れた形があった。


「お、宝箱!」


「たからばこ!」


 岩壁のそばに、金属で縁取られた大きな箱が置かれている。陸はすぐ近づきかけて、途中で止まった。


「……いや、ここで俺が開ける必要ないな」


 初めて宝箱を見つけた頃にも、ミミックや罠を警戒してスケルトンに開けさせたことがある。第12階層なら、なおさら慎重にした方がいい。


 陸はロイヤルナイトを前へ出した。


「開けてみて」


 ロイヤルナイトが宝箱の前に立ち、片手で蓋を持ち上げる。何も飛び出してこない。


「よし!」


 陸はエリナと一緒に近づき、中を覗き込んだ。入っていたのは一本の剣だった。長めの銀色の刀身に、薄い青色の線が走っている。派手すぎる装飾はないが、今まで見つけてきた剣より明らかに作りが違って見えた。


「これ、いいやつじゃない?」


 柄へ手を伸ばして触れた瞬間、剣がふっと消え、目の前に表示が開いた。


━━━━━━━━━━━━━━

アークソード

ランク:B


高い強度と切れ味を持つ長剣。

━━━━━━━━━━━━━━


「B!?」


 陸は表示を見たまま、一瞬止まった。


「武器までBなのかよ!」


 これまで手に入れてきた武器は、良くてもCランクまでだった。その一つ上が、普通の宝箱からいきなり出てきた。


「すげえ……!」


 表示されたアークソードへ触れると、青白い光とともに長剣が現れる。陸は両手で受け止め、そのままロイヤルナイトへ差し出した。


「これ使ってみて」


 ロイヤルナイトはそれまでの長剣からアークソードへ持ち替え、銀色の刀身を軽く振った。ヒュンッ、と鋭い音が岩壁の間へ響く。


「おお……めっちゃ似合う!」


「かっこいい!」


 Bランクのロイヤルナイトが、Bランクの剣を持っている。それだけで、さっきまでよりさらに強そうに見えた。


「これ、宝箱探すのもかなりありだな」


 雷晶石だけでも腕輪が一気に強くなった。宝箱からこんな武器まで出るなら、危険なBランクへ無理に挑まなくても、先にできることはかなりありそうだった。


 アークソードを持ったロイヤルナイトを先頭に、陸たちは探索を再開した。しばらく進んだ先で、岩陰から二体のグレートケイブリザードが這い出してくる。陸が鑑定すると、どちらもDランクだった。


「それならいける。すぐ倒して」


 ロイヤルナイトが踏み込み、一体目の首元をアークソードで斬り裂く。そのまま返す剣が二体目へ走り、ほとんど足を止めることなく戦闘が終わった。


「早っ!」


 以前なら普通に戦力として見ていたDランクが、今ではロイヤルナイトの前でほとんど何もできない。陸はドロップだけ回収し、すぐ先へ進んだ。こういう相手なら問題ないが、長く戦って音を出し続けるのは避けたい。


 さらに岩道を進んでいると、遠くの開けた場所に大きな影が見えた。


「……あれ」


 黒青色の鱗が見えた時点で、陸には分かった。アビスリザードだ。距離はあるが、今度は戦うかどうか迷うこともない。


「こっちやめよう。別行こう」


 来た道を少し戻り、途中にあった別の分岐へ入る。そのまましばらく進んだところで、エリナが前方を指さした。


「リク、あれ!」


 岩が重なった陰に、また宝箱が見えた。


「またある!」


 今度は最初からロイヤルナイトを前へ出す。周囲にモンスターがいないことを確認してから蓋を開けさせると、中には濃い青色の弓が入っていた。弓身の縁には細い銀色の装飾が走っている。


「弓か」


 陸が触れると、弓が消えて表示が開いた。


━━━━━━━━━━━━━━

ストームボウ

ランク:B


強靭な弓身を持つ高品質な弓。

━━━━━━━━━━━━━━


「……またB?」


 さっきのアークソードだけなら、たまたま当たりを引いたと思えた。だが、雷晶石もBランクだった。アビスリザードもB。そして宝箱から出た武器が二つ続けてBランク。


「ここ、Bランクってそんな珍しくないのか……?」


 もちろん、さっきのグレートケイブリザードのようなDランクもいる。全部がBというわけではない。それでも、今までなら一つ見つけるだけで大騒ぎしていたランクが、この階層では普通に混じっている。


 陸はストームボウを所持アイテムへ入れた。今いる四体に弓を使う個体はいないが、後で弓を使うスケルトンに持たせればいい。


「だったら、今は無理してBと戦わなくていいな」


 陸は周囲の岩壁を見回した。宝箱。鉱石。結晶。安全に取れるものを探して、それで自分とスケルトンを強くする。DやCでも、短時間で倒せる相手だけを仕留め、Bランクは今のところ避ける。


 まずは、この階層で手に入るものを集める。


「Bランクと普通に戦えるくらい、先に強くなろう」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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