第150話 Bランク装備!
雷晶石を吸収したあとも、陸たちはそのまま横穴の奥へ進んでいた。
さっきまでより歩く速度は少し落としている。曲がり角へ近づけば、その先に大きな影がないかを先に確かめる。アビスリザードが二体も普通に歩いていた以上、何も考えずに進む気にはなれなかった。
「この辺にはいないか……」
岩壁の向こうを確認してから進む。しばらくすると横穴が少し広がり、その端に見慣れた形があった。
「お、宝箱!」
「たからばこ!」
岩壁のそばに、金属で縁取られた大きな箱が置かれている。陸はすぐ近づきかけて、途中で止まった。
「……いや、ここで俺が開ける必要ないな」
初めて宝箱を見つけた頃にも、ミミックや罠を警戒してスケルトンに開けさせたことがある。第12階層なら、なおさら慎重にした方がいい。
陸はロイヤルナイトを前へ出した。
「開けてみて」
ロイヤルナイトが宝箱の前に立ち、片手で蓋を持ち上げる。何も飛び出してこない。
「よし!」
陸はエリナと一緒に近づき、中を覗き込んだ。入っていたのは一本の剣だった。長めの銀色の刀身に、薄い青色の線が走っている。派手すぎる装飾はないが、今まで見つけてきた剣より明らかに作りが違って見えた。
「これ、いいやつじゃない?」
柄へ手を伸ばして触れた瞬間、剣がふっと消え、目の前に表示が開いた。
━━━━━━━━━━━━━━
アークソード
ランク:B
高い強度と切れ味を持つ長剣。
━━━━━━━━━━━━━━
「B!?」
陸は表示を見たまま、一瞬止まった。
「武器までBなのかよ!」
これまで手に入れてきた武器は、良くてもCランクまでだった。その一つ上が、普通の宝箱からいきなり出てきた。
「すげえ……!」
表示されたアークソードへ触れると、青白い光とともに長剣が現れる。陸は両手で受け止め、そのままロイヤルナイトへ差し出した。
「これ使ってみて」
ロイヤルナイトはそれまでの長剣からアークソードへ持ち替え、銀色の刀身を軽く振った。ヒュンッ、と鋭い音が岩壁の間へ響く。
「おお……めっちゃ似合う!」
「かっこいい!」
Bランクのロイヤルナイトが、Bランクの剣を持っている。それだけで、さっきまでよりさらに強そうに見えた。
「これ、宝箱探すのもかなりありだな」
雷晶石だけでも腕輪が一気に強くなった。宝箱からこんな武器まで出るなら、危険なBランクへ無理に挑まなくても、先にできることはかなりありそうだった。
アークソードを持ったロイヤルナイトを先頭に、陸たちは探索を再開した。しばらく進んだ先で、岩陰から二体のグレートケイブリザードが這い出してくる。陸が鑑定すると、どちらもDランクだった。
「それならいける。すぐ倒して」
ロイヤルナイトが踏み込み、一体目の首元をアークソードで斬り裂く。そのまま返す剣が二体目へ走り、ほとんど足を止めることなく戦闘が終わった。
「早っ!」
以前なら普通に戦力として見ていたDランクが、今ではロイヤルナイトの前でほとんど何もできない。陸はドロップだけ回収し、すぐ先へ進んだ。こういう相手なら問題ないが、長く戦って音を出し続けるのは避けたい。
さらに岩道を進んでいると、遠くの開けた場所に大きな影が見えた。
「……あれ」
黒青色の鱗が見えた時点で、陸には分かった。アビスリザードだ。距離はあるが、今度は戦うかどうか迷うこともない。
「こっちやめよう。別行こう」
来た道を少し戻り、途中にあった別の分岐へ入る。そのまましばらく進んだところで、エリナが前方を指さした。
「リク、あれ!」
岩が重なった陰に、また宝箱が見えた。
「またある!」
今度は最初からロイヤルナイトを前へ出す。周囲にモンスターがいないことを確認してから蓋を開けさせると、中には濃い青色の弓が入っていた。弓身の縁には細い銀色の装飾が走っている。
「弓か」
陸が触れると、弓が消えて表示が開いた。
━━━━━━━━━━━━━━
ストームボウ
ランク:B
強靭な弓身を持つ高品質な弓。
━━━━━━━━━━━━━━
「……またB?」
さっきのアークソードだけなら、たまたま当たりを引いたと思えた。だが、雷晶石もBランクだった。アビスリザードもB。そして宝箱から出た武器が二つ続けてBランク。
「ここ、Bランクってそんな珍しくないのか……?」
もちろん、さっきのグレートケイブリザードのようなDランクもいる。全部がBというわけではない。それでも、今までなら一つ見つけるだけで大騒ぎしていたランクが、この階層では普通に混じっている。
陸はストームボウを所持アイテムへ入れた。今いる四体に弓を使う個体はいないが、後で弓を使うスケルトンに持たせればいい。
「だったら、今は無理してBと戦わなくていいな」
陸は周囲の岩壁を見回した。宝箱。鉱石。結晶。安全に取れるものを探して、それで自分とスケルトンを強くする。DやCでも、短時間で倒せる相手だけを仕留め、Bランクは今のところ避ける。
まずは、この階層で手に入るものを集める。
「Bランクと普通に戦えるくらい、先に強くなろう」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや☆評価、感想で応援していただけると励みになります!




