第15話 第2階層攻略開始!
「もうちょい見てみるか!」
陸はそのまま第2階層の奥へ進んだ。
少し歩くと、またゴブリンを見つける。今度は三体。
「ゴブリンだけならもう余裕だな」
陸が指さすより早く、前にいたスケルトンたちが動く。
鉄の剣を持った大きなスケルトンが一体。ゴブリンソルジャースケルトンがもう一体。残った一体には、近くのゴブリンスケルトンが二体で飛びかかった。
数秒もかからない。
「うん。やっぱゴブリンは問題なし!」
そのままさらに進む。
次に出てきたのは、ゴブリン一体とスライム二体だった。
「……うわ、二体いる」
青みがかった半透明の身体が、通路の真ん中でぷるぷる揺れている。
さっきの一体だけでも、倒すまでかなり時間がかかった。
「これ、二体だと結構かかりそうだな」
陸は少しだけ足を止める。
「まあ、やってみるか!」
十体のスケルトンが一斉に走り出す。
ゴブリンはすぐに倒れた。
でも、スライム二体は残る。
一体へ大きなスケルトンと数体のゴブリンスケルトンが集中し、もう一体にはゴブリンソルジャースケルトンたちが向かう。
べちゃっ。
ザシュッ。
ぷるん。
「やっぱ戻る!」
殴っても斬っても、すぐには倒れない。
一体のスライムが跳ね、ゴブリンスケルトンを押し返す。もう一体も身体を伸ばすようにぶつかってきた。
「うわ、これ二体同時はめんどくさっ!」
スケルトンたちは囲んで攻撃を続ける。
拳。短剣。鉄剣。
何度も形を崩して、やっと一体。
そこからさらに攻撃を重ね、もう一体。
最後のスライムが床へ広がって動かなくなるまで、ゴブリン相手とは比べものにならないくらい時間がかかった。
「……やっと終わった」
陸は少し息を吐く。
自分は戦っていない。
それでも、見ているだけでさっきまでの一方的な戦闘とは違うのが分かる。
「勝てるけど、効率悪いなこれ」
周囲のスケルトンを見る。
大きなスケルトンとゴブリンソルジャースケルトンはまだ余裕がありそうだ。
でも、普通のゴブリンスケルトンたちは、スライム一体を倒すだけでも何体かで囲む必要がある。
「このまま奥行って、モンスターハウスとか出たら面倒そうだな」
ボスも、第1階層より強くなっている可能性が高い。
「……一回レベル上げた方がよくね?」
陸は立ち止まって考える。
第1階層なら、今のスケルトンたちにとってゴブリンはほとんど相手にならない。
しかも、自分が家にいても勝手に狩ってくれる。
「そうだよ。わざわざ今ここで時間かけるより、一階層で育てた方が早いじゃん!」
決まれば早い。
「よし。一回戻ろう!」
来た道を引き返す。
しばらく歩き、第2階層へ下りてきた階段の近くまで戻ってきた。
「……ん?」
そこで、陸の足が止まる。
階段の少し手前。
石床の上に、薄く青白い光が浮かんでいた。
「何これ?」
丸い光が床に描かれている。
魔法陣みたいにも見えるが、複雑な模様はない。ただ輪のような光が静かに揺れていた。
「こんなのあったっけ?」
陸はすぐ近づこうとして、途中で止まる。
「……いや、待て。いきなり乗ったらどっか飛ばされたりしないよな?」
少し離れたところから覗き込む。
光は動かない。
「でも、絶対なんかあるだろ」
陸はゆっくり手を伸ばし、光の輪へ近づく。
その瞬間。
目の前に青白いウィンドウが浮かんだ。
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【階層転移】
到達済みの地点へ転移できます。
・玄関前
・第2階層入口
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「……え?」
陸は一度画面を見てから、もう一度読み直した。
「玄関前!?」
思わず画面へ顔を近づける。
「ここから戻れんの!?」
第1階層を歩いて、ボス部屋まで戻る必要もない。
玄関前を選ぶ。
「ちょっと試してみるか!」
指を重ねる。
次の瞬間、足元の光が一気に強くなった。
「うわっ!」
視界が青白く染まる。
ほんの一瞬。
光が消えた時、目の前にあったのは見慣れた玄関扉だった。
「……マジで戻った!」
陸はすぐ振り返る。
十体のスケルトンも、ちゃんと一緒に転移している。
「うわ、これめっちゃ便利じゃん!」
これなら次から第2階層へ行くのも楽になる。
「よし。じゃあ今日は一階層でレベル上げだな!」
陸は十体を見回した。
前に自動狩りをさせた時は、危なそうだからできるだけ一緒に動くように言っていた。
でも今は違う。
第1階層のゴブリンなら、普通のゴブリンスケルトン一体でも十分戦える。
「……これ、みんな別々に行った方が早くない?」
陸は十体のスケルトンを見回す。
「よし。今度は固まらなくていい!」
スケルトンたちが陸を見る。
「できるだけ別々の道に行って、ゴブリン見つけたら倒してきて!」
少し考えて付け足す。
「危なそうだったら無理すんなよ! あと、ヤバそうなの見つけたら戻ってきて!」
大きなスケルトンが右手を上げた。
グッ。
「よし!」
次の瞬間、十体のスケルトンがそれぞれ別の方向へ歩き出した。
一体は正面。
二体は途中の分かれ道へ。
さらに別のスケルトンたちも、それぞれ違う通路へ散っていく。
「うわ、めっちゃバラけてく!」
さっきまで十体で固まっていた軍団が、どんどん見えなくなっていく。
「これ、前より絶対効率いいだろ!」
十体が別々にゴブリンを探して倒す。
経験値もポイントも、全部陸のところへ入る。
「……ボスも周回できたらもっと早そうだけど、毎回同じやつ出るかも分かんないし、まあそれは今度でいいか!」
陸は最後の一体が通路の奥へ消えるのを見送った。
「よし。どこまで上がるか楽しみだな!」
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