第142話 大阪城ダンジョン攻略!
倒れたコボルトベヒーモスは、もう動かなかった。
陸は隣に立つロイヤルナイトを改めて確認する。
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ロイヤルナイト
ランク:B
Lv.40
HP 683/1079(+249)
MP 311/463(+107)
筋力 546(+126)
耐久 523(+121)
敏捷 556(+128)
賢さ 328(+76)
【スキル】
グランドフォーススラッシュ
エアステップ
グランドアクセル
ブレイドカウンター
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進化した時点でも、HP以外の主要な数値はコボルトベヒーモスを上回っていた。精鋭化した今は、HPまで含めてすべて上だ。
それでも、実際に戦ってみれば思ったよりずっと苦戦した。アイアンマッスルで攻撃を耐え、ギガントラッシュではロイヤルナイトを吹き飛ばしている。
「Bランクくらいになると、ステータスだけじゃ分からない部分も大きいのかもな……」
答えは分からない。ただ、数字で上回っているから簡単に勝てる、というほど単純ではなさそうだった。
戦っている間にも、奥の通路から何体かのゴブリンやウルフが姿を見せていた。ロイヤルナイトたちが戦闘の邪魔になる前に片づけていたが、コボルトベヒーモスを倒しても流れそのものは止まっていない。
「やっぱ、この先だな」
その前に、陸は倒れた巨体へ手を向ける。
「スケルトンラッシュ!」
青白い光が全身を包み、肉や毛が消えていく。三メートル近い巨大な骨格が起き上がると、陸は思わず声を上げた。
「おおっ! Bランクもスケルトンにできた!」
ロイヤルナイトに続いて、これでBランクの戦力がもう一体増えたことになる。
詳しく確認したい気持ちはあったが、今は先を止める方が先だ。コボルトベヒーモスのスケルトンをそのままストックへ戻し、ゴブリンハイハンター、ダークウルフ、サイクロンガーゴイルも続けて戻す。
陸はホバーバイクを取り出し、エリナを前へ乗せた。ロイヤルナイトだけを連れ、細い一本道のさらに奥へ進んでいく。
途中でも前方から何体かモンスターがやってきた。ゴブリンをロイヤルナイトが斬り、横から来たウルフは陸が炎で包む。どれも足を止めるほどの相手ではない。
しばらく進むと、細かった通路が急に広がった。
「あっ」
陸はホバーバイクを止める。
広い石造りの空間。その床には黒い線が複雑に重なった大きな紋様が広がり、いくつもの円と線が淡く光っている。中心の少し上には真っ黒な球体が浮かび、その周囲へ集まった小さな光の粒が、今まさに一体のコボルトの脚を形作っていた。
「やっぱり同じだ」
八王子のダンジョンで見たものと、ほとんど変わらない。
陸はホバーバイクから降り、万象の腕輪へ意識を向けた。黒い球体の横から風を当てると、球体がゆっくり紋様の中心からずれていく。
中心を外れた瞬間、黒い球体が落ちた。
コトッ、と硬い音が響くのと同時に床の紋様から光が消え、集まっていた粒も薄れていった。途中まで作られていたコボルトの脚も、その場で崩れるように消える。
「よし」
少し待っても、新しい光は現れない。陸は床へ落ちた球体を所持アイテムへ収納した。これで同じ黒い球体は二つ目だ。
「大阪もこれだったんだな……」
八王子とは場所も出てくるモンスターも違う。それなのに、床の紋様も黒い球体も、生成が止まる手順まで同じだった。
どういう仕組みなのかは分からない。それでも、別のダンジョンでも同じものがモンスターを生み出していた。
紋様が暗いままなのを確認すると、陸はホバーバイクへ戻った。
「せっかくここまで来たし、ボス部屋も探していくか」
「ぼす!」
「たぶん、この辺かなり奥だしな」
生成部屋はそこで行き止まりだったため、来た道を戻って別の分岐へ入る。
そこから一時間ほど、陸たちは周辺を走り回った。行き止まりなら戻り、別の道へ入る。途中で出てきたモンスターは、ロイヤルナイトがほとんど足を止めずに倒していった。
やがて、通路の先に大きな扉が見えた。
「お、あれじゃないか?」
近づくと、目の前に青白い表示が開く。
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【ボスエリア】
ソニックファングウルフ ×1
入場しますか?
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「ソニックファングウルフか!」
名前を見た瞬間、陸は第11階層の城で、その速さに何度も攻撃をかわされた時のことを思い出す。
「懐かしいな。あいつ、めちゃくちゃ速かったんだよな」
入場を選ぶと大扉が開き、その先の広い石室に黒灰色のウルフが一体だけ立っていた。細身の身体に長い脚。こちらへ気づくと、すぐに低く身を沈める。
陸が何か指示するより先に、ロイヤルナイトが長剣を振った。
青白い斬撃が石室を一直線に走り、走り出したばかりのソニックファングウルフへ直撃する。
ズガンッ!
黒灰色の身体が横へ吹き飛び、石床を転がった。そのまま動かない。
「……え? もう終わり?」
「はやい!」
陸は倒れたソニックファングウルフを見て、しばらく言葉が出なかった。
複数の精鋭を入れ替え、逃げ道を塞ぎ、ようやく倒したCランク。それが今は、ロイヤルナイトの遠距離斬撃一発だった。
「前はあんなに苦労したのに……Bランク、やっぱ全然違うな……!」
直後、目の前に青白い表示が開く。
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【ボス討伐完了】
討伐評価:S
報酬を生成します。
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「Sか!」
石室の奥に青白い光の粒が現れ、一か所へ集まりながら一つの宝箱へ変わっていった。陸は蓋を開け、中身を確認する。
「よし、回収」
そのまま所持アイテムへまとめて収納した。
モンスターが生まれていた場所は止めた。ボスも倒した。
「帰るか」
「うん!」
陸はロイヤルナイトを連れ、大扉の外へ戻っていった。
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