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142/203

第142話 大阪城ダンジョン攻略!

 倒れたコボルトベヒーモスは、もう動かなかった。


 陸は隣に立つロイヤルナイトを改めて確認する。


━━━━━━━━━━━━━━

ロイヤルナイト

ランク:B

Lv.40


HP  683/1079(+249)

MP  311/463(+107)

筋力 546(+126)

耐久 523(+121)

敏捷 556(+128)

賢さ 328(+76)


【スキル】

グランドフォーススラッシュ

エアステップ

グランドアクセル

ブレイドカウンター

━━━━━━━━━━━━━━


 進化した時点でも、HP以外の主要な数値はコボルトベヒーモスを上回っていた。精鋭化した今は、HPまで含めてすべて上だ。


 それでも、実際に戦ってみれば思ったよりずっと苦戦した。アイアンマッスルで攻撃を耐え、ギガントラッシュではロイヤルナイトを吹き飛ばしている。


「Bランクくらいになると、ステータスだけじゃ分からない部分も大きいのかもな……」


 答えは分からない。ただ、数字で上回っているから簡単に勝てる、というほど単純ではなさそうだった。


 戦っている間にも、奥の通路から何体かのゴブリンやウルフが姿を見せていた。ロイヤルナイトたちが戦闘の邪魔になる前に片づけていたが、コボルトベヒーモスを倒しても流れそのものは止まっていない。


「やっぱ、この先だな」


 その前に、陸は倒れた巨体へ手を向ける。


「スケルトンラッシュ!」


 青白い光が全身を包み、肉や毛が消えていく。三メートル近い巨大な骨格が起き上がると、陸は思わず声を上げた。


「おおっ! Bランクもスケルトンにできた!」


 ロイヤルナイトに続いて、これでBランクの戦力がもう一体増えたことになる。


 詳しく確認したい気持ちはあったが、今は先を止める方が先だ。コボルトベヒーモスのスケルトンをそのままストックへ戻し、ゴブリンハイハンター、ダークウルフ、サイクロンガーゴイルも続けて戻す。


 陸はホバーバイクを取り出し、エリナを前へ乗せた。ロイヤルナイトだけを連れ、細い一本道のさらに奥へ進んでいく。


 途中でも前方から何体かモンスターがやってきた。ゴブリンをロイヤルナイトが斬り、横から来たウルフは陸が炎で包む。どれも足を止めるほどの相手ではない。


 しばらく進むと、細かった通路が急に広がった。


「あっ」


 陸はホバーバイクを止める。


 広い石造りの空間。その床には黒い線が複雑に重なった大きな紋様が広がり、いくつもの円と線が淡く光っている。中心の少し上には真っ黒な球体が浮かび、その周囲へ集まった小さな光の粒が、今まさに一体のコボルトの脚を形作っていた。


「やっぱり同じだ」


 八王子のダンジョンで見たものと、ほとんど変わらない。


 陸はホバーバイクから降り、万象の腕輪へ意識を向けた。黒い球体の横から風を当てると、球体がゆっくり紋様の中心からずれていく。


 中心を外れた瞬間、黒い球体が落ちた。


 コトッ、と硬い音が響くのと同時に床の紋様から光が消え、集まっていた粒も薄れていった。途中まで作られていたコボルトの脚も、その場で崩れるように消える。


「よし」


 少し待っても、新しい光は現れない。陸は床へ落ちた球体を所持アイテムへ収納した。これで同じ黒い球体は二つ目だ。


「大阪もこれだったんだな……」


 八王子とは場所も出てくるモンスターも違う。それなのに、床の紋様も黒い球体も、生成が止まる手順まで同じだった。


 どういう仕組みなのかは分からない。それでも、別のダンジョンでも同じものがモンスターを生み出していた。


 紋様が暗いままなのを確認すると、陸はホバーバイクへ戻った。


「せっかくここまで来たし、ボス部屋も探していくか」


「ぼす!」


「たぶん、この辺かなり奥だしな」


 生成部屋はそこで行き止まりだったため、来た道を戻って別の分岐へ入る。


 そこから一時間ほど、陸たちは周辺を走り回った。行き止まりなら戻り、別の道へ入る。途中で出てきたモンスターは、ロイヤルナイトがほとんど足を止めずに倒していった。


 やがて、通路の先に大きな扉が見えた。


「お、あれじゃないか?」


 近づくと、目の前に青白い表示が開く。


━━━━━━━━━━━━━━

【ボスエリア】


ソニックファングウルフ ×1


入場しますか?

━━━━━━━━━━━━━━


「ソニックファングウルフか!」


 名前を見た瞬間、陸は第11階層の城で、その速さに何度も攻撃をかわされた時のことを思い出す。


「懐かしいな。あいつ、めちゃくちゃ速かったんだよな」


 入場を選ぶと大扉が開き、その先の広い石室に黒灰色のウルフが一体だけ立っていた。細身の身体に長い脚。こちらへ気づくと、すぐに低く身を沈める。


 陸が何か指示するより先に、ロイヤルナイトが長剣を振った。


 青白い斬撃が石室を一直線に走り、走り出したばかりのソニックファングウルフへ直撃する。


 ズガンッ!


 黒灰色の身体が横へ吹き飛び、石床を転がった。そのまま動かない。


「……え? もう終わり?」


「はやい!」


 陸は倒れたソニックファングウルフを見て、しばらく言葉が出なかった。


 複数の精鋭を入れ替え、逃げ道を塞ぎ、ようやく倒したCランク。それが今は、ロイヤルナイトの遠距離斬撃一発だった。


「前はあんなに苦労したのに……Bランク、やっぱ全然違うな……!」


 直後、目の前に青白い表示が開く。


━━━━━━━━━━━━━━

【ボス討伐完了】


討伐評価:S


報酬を生成します。

━━━━━━━━━━━━━━


「Sか!」


 石室の奥に青白い光の粒が現れ、一か所へ集まりながら一つの宝箱へ変わっていった。陸は蓋を開け、中身を確認する。


「よし、回収」


 そのまま所持アイテムへまとめて収納した。


 モンスターが生まれていた場所は止めた。ボスも倒した。


「帰るか」


「うん!」


 陸はロイヤルナイトを連れ、大扉の外へ戻っていった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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