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第137話 巨大コボルト!

 大阪城ダンジョンへ入ってから、すでに数日が経っていた。


 普段なら高速探索部隊をいくつもの道へ散らし、行き止まりを潰しながら進める道だけを残していける。だが、ここではCランクが普通に出てくる。探索部隊だけを遠くまで走らせるわけにもいかず、結局は陸たち自身がホバーバイクで分岐を一つずつ確かめることになった。


 右へ進んで行き止まりなら戻る。次は左。途中でモンスターを倒し、たまに見つけた宝箱を開ける。夜になれば広めの場所でテントを出して休んだ。


「きょうもきゃんぷ!」


 エリナは毎晩のように嬉しそうだった。


「俺はそろそろ家のベッドで寝たいけどな……」


 効率は悪い。それでも、自分たちで少しずつ道を確かめて奥へ進んでいくのは、それなりに楽しかった。


 そんな探索を続けているうちに、同じ方向からモンスターが何度も流れてくるようになった。ゴブリンを倒したと思えば、しばらくして今度はウルフ。その後ろからコボルトまで来る。


 ホバーバイクでさらに奥へ進み、長い通路を抜けたところで陸は速度を落とした。


「だいぶ奥まで来たな」


 少し先には、これまでより細い一本道が伸びている。その奥からも、また数体のモンスターがこちらへ走ってきた。四体の精鋭で片づけ、そのまま先へ進む。


「やっぱ、この先から来てるっぽいな」


 陸はホバーバイクを所持アイテムへ戻し、エリナと四体の精鋭を連れて一本道へ入った。


 少し進んだところで、通路の奥に大きな影が見えた。


「……なんだ、あいつ」


 コボルトだった。だが、今まで見たものとは大きさが違う。三メートル近い巨体に、異様に発達した肩と腕。武器も盾も持たず、太い両腕を下ろしたまま一本道の中央に立っている。


 その横を、小さなゴブリンが何体か通り抜けていく。それでも巨大なコボルトは動かなかった。こちらにもまだ気づいていないらしい。


 陸は距離を取ったまま鑑定した。


━━━━━━━━━━━━━━

コボルトベヒーモス

ランク:B

Lv.40


HP  928

MP  118

筋力 386

耐久 391

敏捷 374

賢さ 96


【スキル】

ギガントラッシュ

インパクトナックル

アイアンマッスル

━━━━━━━━━━━━━━


「Bランク!?」


 声を抑えながらも、陸は思わず目を見開いた。筋力も耐久も高い。それだけなら巨体を見れば分かるが、敏捷まで374ある。


「やば……戻ろう」


 今のまま試しに戦ってみる気にはならなかった。しかもコボルトベヒーモスのさらに奥から、また別のモンスターが出てくる。あの先に何かあるのはほぼ間違いない。


 陸は四体へ戻るよう指示し、相手がこちらへ気づかないうちに来た道を引き返した。


 十分に距離を取ってから、ようやく足を止める。


「Bランクか……」


 今までのCランクとは一段違う。正面からやるなら、こちらにも同じランクの戦力が欲しい。


 スケルトンストックを確認すると、グランドナイトはCランクのLv.39だった。


「あと1レベルか」


 これを40まで上げて、進化させてから戻ってくる。


 だが、すぐに別の問題へ気づいた。


「俺ら全員いなくなったら、こっちのモンスターそのまま外に出るよな……」


 一本道の奥からは今もモンスターが流れてきている。ここを放置したまま、何日も第11階層へ籠もるわけにはいかない。


 陸はしばらく考え、ゴブリンハイウィザードを見た。広い範囲をまとめて焼ける精鋭なら、ここから流れてくる相手を止める役には向いている。


「ハイウィザードはここに残って。あのBランクには近づかなくていい。こっちへ来るやつだけ倒して」


 ゴブリンハイウィザードを一本道から少し離れた場所へ残し、残る三体の精鋭はストックへ戻した。コボルトベヒーモスがさっきの場所から動いていないなら、これでしばらくは持つはずだ。


 陸はエリナと一緒にシステムメニューから従来のダンジョンへ移動し、到達済みの第11階層を選んだ。


 景色が変わると、見慣れた広い草原が広がっていた。


「またここか……」


 陸はホバーバイクを取り出し、エリナを自分の前へ乗せて祭壇へ向かった。


 祭壇へ着くと、ホバーバイクを所持アイテムへ戻し、まずグランドナイトを通常召喚する。大阪城ダンジョンに残した精鋭ハイウィザードが十枠を使っているため、空いているのは三十枠だった。


 ここで陸は、以前に何度か試した経験値の入り方を思い出した。時間がある時に召喚する数を変えながら狩ってみたが、何体出していても陸自身に入る経験値は変わらないようだった。召喚中のスケルトンも、数を増やしたからといって一体ずつの育つ速さが目に見えて落ちる感じはない。


「よし。残りも出しとくか」


 育てておきたいスケルトンをストックから次々と呼び出し、合計三十体にする。それから祭壇へポイントを入れ、誘魔の香炉を使った。


 しばらくすると、三方向の入口からモンスターの姿が増え始めた。前衛が受け止め、その後ろから別のスケルトンが攻撃を重ねる。グランドナイトも長剣を振るい、寄ってきたモンスターを次々と倒していった。


「またここでレベル上げか……」


 陸が祭壇の近くへキャンプ用品を出し始めると、エリナはすぐにテントの方へ走っていった。


「きゃんぷ!」


「はいはい。何日かはここだな」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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