第136話 プラチナスライム戦!
陸の声に、四体の精鋭が一斉に動いた。最初に飛び出したグランドナイトが長剣を振り下ろし、銀白色の身体を真正面から捉える。
ギィンッ!
「硬っ!」
プラチナスライムは少し潰れただけで、すぐに元の形へ戻った。表面には斬られた跡すらほとんど残っていない。
「ハイウィザード!」
杖の先に赤い光が集まり、プラチナスライムの周囲へ小さな火が灯る。次の瞬間、複数の炎が一斉に巻き上がったが、銀白色の表面が赤く照らされるだけで動きは止まらない。
「魔法も効かないのかよ!」
炎の中から小さな身体が飛び出した。グランドナイトの横を抜け、そのまま陸へ向かってくる。
「うおっ!」
身体強化を使って横へ踏み込み、ぎりぎりでかわす。プラチナスライムは石壁へぶつかる直前に向きを変え、今度はダークウルフへ突っ込んだ。
ぶつかられたダークウルフが少し押される。それでも攻撃自体は大した威力ではない。問題は、速すぎてこちらの攻撃がまともに当たらないことだった。
「だったら、こっちも速くする!」
陸がダークウルフへ身体強化をかけると、動きが一段鋭くなった。横から追いかけ、前脚を伸ばせば届きそうなところまで迫る。
「いける!」
その瞬間、プラチナスライムの身体がわずかに光った。
次の一歩で、一気に距離が開く。
「まだ速くなるのかよ!」
アクセルボディ。身体強化したダークウルフでも追いつけない。
陸はすぐ進路へ金属の壁を立ち上げた。だが、完成するより先にプラチナスライムが横へ抜ける。
「壁一枚じゃ無理か……!」
今度は薄い金属を細い線へ変え、何本も交差させた。通路の左右へ端を伸ばし、大きな網のように広げる。
プラチナスライムがそのまま突っ込んだ。銀白色の身体が網へ沈み込み、金属線が大きく伸びる。
「捕まえた!」
だが、止まったのは一瞬だけだった。硬い身体が網を押し広げ、何本かの金属線を弾きながら向こう側へ抜けていく。
「これでもダメか!」
それでも、さっきより明らかに速度は落ちた。
「……止められなくても、遅くはできるな」
陸は土属性で前方の石床表面を細かく崩し、その先へ細い金属柱を何本も立ち上げた。真っ直ぐ走れる場所を減らし、避けるたびに向きを変えなければ進めない形にする。
プラチナスライムは崩れた床でわずかに滑り、金属柱の間を左右へ切り返しながら抜けていく。止まりはしない。それでも最高速度のまま走り続けることはできなくなった。
「よし、効いてる!」
ダークウルフが横から追い、グランドナイトがこちら側へ戻る道へ回り込む。陸も二枚の金属壁を作り、プラチナスライムが走れる場所を少しずつ狭めていった。
さらに先には、もう一枚の金属網を張る。
銀白色の身体が急停止したかと思うと、そのまま通路の奥へ抜けようとする。
「逃げる気か!」
陸は逃走先にも金属壁を立ち上げ、広く動ける場所を潰した。
「ここまでやって逃がすか!」
左右は金属壁。こちらへ戻ればグランドナイトとダークウルフがいる。残したのは、細い一本の道だけだった。
その先では、オークデストロイヤーが大斧を構えて待っている。
プラチナスライムが別の隙間を探すように身体を揺らした。だが、グランドナイトが距離を詰め、ダークウルフも反対側から迫る。
逃げ場を失った銀白色の身体が、最後に残った道へ飛び込んだ。
「今だ!」
途中に張っていた金属網へ突っ込み、一瞬だけ身体が引っかかる。勢いのまま抜けた先では、崩した石床へ乗り上げて大きく揺れた。
「バーサーク!」
オークデストロイヤーが大斧を強く握り直す。
「デストロイクラッシュ!」
大斧を低く構え、一気に踏み込んだ。全身の勢いを乗せて振り下ろされた一撃が、速度を落としたプラチナスライムへ真正面から叩き込まれる。
ガギィンッ!!
甲高い音が通路へ響き、銀白色の身体が大きく潰れた。表面へ初めて何本もの亀裂が走る。
「入った!」
それでも、まだ消えない。亀裂だらけの身体が逃げようと動いたが、さっきまでの速度はなかった。
「グランドナイト、グランドアクセル!」
グランドナイトが石床を強く蹴る。身体が一気に前へ弾け、その勢いのまま振り抜かれた長剣が、プラチナスライムの亀裂へ深く食い込んだ。
銀白色の塊が弾け、細かな光の粒へ変わって消えていく。
「やった!」
光が消えたあと、その場に一冊の本が残った。
「……本?」
陸はすぐに鑑定する。
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ブリンクのスキルブック
使用することで、
スキル『ブリンク』を習得できる。
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「スキルブック!? やっぱ当たりじゃん!」
陸は迷わず本へ手を伸ばした。指先が触れた瞬間、表紙から青白い光が広がり、本そのものが細かな光の粒へ変わって身体へ吸い込まれていく。
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スキル『ブリンク』を習得しました。
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「おおっ!」
陸は覚えたばかりのスキルへ鑑定を使う。
「鑑定!」
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ブリンク
短距離を瞬間的に移動する。
移動可能距離には制限がある。
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「瞬間移動か!」
すぐに試したくなり、陸は少し先の通路を見る。
「ブリンク!」
一瞬だけ視界が揺れ、次の瞬間には数歩先に立っていた。
「うわ、マジで移動した!」
今度はもっと遠く、曲がり角の近くへ意識を向けてもう一度使う。だが、何も起こらない。
「あれ? ここまでは無理か」
少し手前へ狙いを変えると、今度は一瞬で位置が移った。
「なるほど。距離は短いけど……これ、戦う時めっちゃ使えそうだな!」
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