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135/203

第135話 プラチナスライム!

ない。


「終わった……」


 そう思った直後だった。


 視界の端で、青黒いものが動く。


「え?」


 床へ薄く広がっていたグランドスライムの身体が、中心へ向かって集まり始めていた。焼けて崩れた部分まで盛り上がり、みるみる厚みを取り戻していく。


「マジか! まだ戻ってくるのかよ!」


 陸はすぐにゴブリンハイウィザードへ指示を飛ばした。


「もう一回、フレイムストーム!」


 杖の先に赤い光が集まり、再生途中のグランドスライムの周囲へ小さな火がいくつも灯る。次の瞬間、複数の炎が一斉に巻き上がった。


 青黒い身体が再び崩れる。その中へグランドナイトが踏み込み、長剣を深く叩き込んだ。盛り上がろうとする場所を炎が焼き、形を戻しかけるたびに長剣が切り裂いていく。


 しばらくすると再生の動きが鈍り、最後には床へ広がったまま完全に止まった。


「今度こそ終わったな……!」


━━━━━━━━━━━━━━

【モンスターハウスクリア】


討伐評価:A


報酬を生成します。

━━━━━━━━━━━━━━


 石室の中央へ青白い光が集まり、宝箱へ変わった。中には素材や結晶がいくつか入っていたが、今すぐ使いたいものはない。陸はまとめて所持アイテムへ収納する。


「じゃあ、続き行くか」


 石室を出ると、陸はホバーバイクを取り出した。座席へ跨がり、エリナを自分の前、脚の間へ乗せる。グランドナイトとゴブリンハイウィザードを連れたまま、再び広い石造りの通路を進み始めた。


 分岐へ出るたびに速度を落とし、まだサモンマップに載っていない道を確かめていく。少し進んだ先が行き止まりなら戻り、奥へ続いていればそのまま経路を伸ばす。


「こっちは行き止まりか。じゃあ次」


 別の分岐へ向かいながらサモンマップを開いたところで、陸は五班の動きに気づいた。


「……あれ?」


 高速探索部隊はそれぞれ違う通路へ散っている。だが、思っていたほど奥へ進んでいない。途中まで伸びた経路をそのまま引き返している班もあれば、別の分岐へ入ったあと、また元の方へ戻っている班もある。


「なんでこんな戻ってるんだ?」


 マップを眺めているうちに、陸は自分が出した命令を思い出した。


「……ああ。Cランクいたら逃げていいって言ったからか」


 前からCランクが来れば、戦わずに逃げるなら来た道を戻るしかない。別の通路へ入っても、その先でまたCランクにぶつかれば同じことになる。


「そりゃ進まないわ」


 だからといって、探索用に育てた個体へ無理にCランク戦をさせる気もない。


「もう俺らで探した方が早そうだな。みんな戻ってきて」


 二十体へ帰還を命じても、すぐに戻ってくるわけではない。陸はそのままホバーバイクで探索を続けた。


 途中でゴブリンの群れをグランドナイトが片づけ、次の分岐では左の道を少し進んで行き止まりを確認する。その間にもサモンマップ上の五班は少しずつこちらへ近づいてきた。やがて一班、二班と合流するたびに、陸は四体ずつストックへ戻していく。


 最後の班が戻ってきた頃には、帰還を命じてからそれなりに奥まで進んでいた。


「よし、これで全員だな」


 空いた二十枠へ、オークデストロイヤーとダークウルフを精鋭化して召喚する。これでグランドナイト、ゴブリンハイウィザードと合わせて四体。召喚枠は四十すべて埋まった。


「このメンバーなら、Cランク出てもそのまま行けるだろ」


 陸たちはさらに奥へ進んだ。


 しばらくして曲がり角を抜けたところで、陸はホバーバイクを止める。


「……ん?」


 少し先の通路に、小さな何かがいた。


 大きさは普通のスライムとほとんど変わらない。だが身体は銀白色で、磨いた金属のような表面が動くたびにキラキラと光を返している。


「なにあれ?」


「俺も初めて見る」


 陸はすぐに鑑定した。


━━━━━━━━━━━━━━

プラチナスライム

ランク:C

Lv.35


HP  34

MP  91

筋力 42

耐久 628

敏捷 394

賢さ 77


【スキル】

メタルボディ

アクセルボディ

━━━━━━━━━━━━━━


「は!?」


 思わず数字を見直す。


「HP低っ! なのに耐久628!? 敏捷も394ってなんだよ!」


 明らかに普通のCランクではない。プラチナスライムもこちらへ気づいたらしく、銀白色の身体をぷるりと震わせた。


「……これ、絶対レアなやつだろ」


 倒せば何かある。根拠はないが、こんな極端なモンスターを見つけて、そのまま通り過ぎる気にはならなかった。


「よし。倒すぞ!」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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