第13話 新しい仲間!
十体のスケルトンを見回していた陸の視線が、ふと部屋の奥で止まった。
「……あ」
床に倒れているゴブリンソルジャー。
さっきまで大きなスケルトンと剣を打ち合っていた、明らかに普通のゴブリンとは違う個体だ。
「こいつ、スケルトンにできるよな?」
陸はすぐ近くまで駆け寄った。
倒れていても、普通のゴブリンよりずっと大きい。太い腕に、大きな骨格。こいつがそのまま仲間になるところを想像すると、もう試さずにはいられなかった。
「絶対強いだろ!」
すぐ手を向ける。
「スケルトンラッシュ!」
何も起こらない。
「……あれ?」
もう一度。
「スケルトンラッシュ!」
やっぱり青白い光は出なかった。
陸は数秒固まってから、後ろを振り返る。
大きなスケルトンが一体。ゴブリンスケルトンが九体。
「……あ」
さっき鑑定で確認したばかりだ。
現在の召喚上限は十体。
「埋まってるじゃん!」
思わず額へ手を当てる。
「いや、こいつ絶対仲間にしたいんだけど!」
ゴブリンソルジャーと、後ろに並ぶ十体を交互に見る。
枠を空けるなら、一体減らすしかない。
「……マジか」
さっきまで何の迷いもなく増やしていたのに、いざ減らすとなると急に手が止まった。
大きなスケルトンは最初から一緒にいる。
短剣を持った二体も、もう武器を渡している。
残るのは、素手のゴブリンスケルトンたち。
「……誰にする?」
もちろん返事はない。
陸は何体かを順番に見て、最後に一番近くにいた一体の前でしゃがみ込んだ。
小さな骨の身体。
最初に見た時は、ちんまりしていて可愛いなんて思った。同じ姿の仲間が増えてからも、一緒に歩いて、ゴブリンを倒して、勝手に狩りまでしてくれていた。
「……ごめん」
口に出した瞬間、思っていたより言いづらかった。
「マジでごめん。今までありがとな」
陸は少しだけ迷ってから、解除する意思を向ける。
直後。
ゴブリンスケルトンの身体から、ふっと力が抜けた。
「……え」
立っていた骨が、そのまま足元から崩れる。
カラカラカラッ。
小さな骨が石床へ散らばり、さっきまで一体のスケルトンだったものが、ただの骨の山になった。
陸はしばらく動かなかった。
「……これ、思ったより心にくるんだけど」
しゃがんだまま、床の骨を見る。
別に喋ったことはない。
名前をつけていたわけでもない。
それでも、今まで普通についてきていた一体が急にただの骨になると、思っていたよりずっと寂しかった。
「ごめんな」
もう一度だけ言ってから、陸は立ち上がった。
そのままゴブリンソルジャーへ向き直る。
「……その分、お前にはめちゃくちゃ働いてもらうからな!」
気持ちを切り替えるように手を伸ばす。
「スケルトンラッシュ!」
今度はすぐ、青白い光がゴブリンソルジャーの身体を包んだ。
「来た!」
大きな身体の輪郭が崩れ、肉が消えていく。
普通のゴブリンより時間をかけて、太い骨格が姿を現す。
数秒後。
青白い光が消えた。
「うおおお!」
そこに立っていたのは、陸とほとんど変わらないくらいの大きさのスケルトンだった。
普通のゴブリンスケルトンより明らかに大きい。肩幅も広く、腕の骨も太い。
「でかっ! やっぱ全然違う!」
陸はすぐ横にいる最初の大きなスケルトンを見る。
二体を並べると、一気に前衛っぽさが増した。
「これ、剣持たせたら絶対かっこいいだろ!」
床へ落ちているゴブリンソルジャーの幅広い鉄剣を見る。
「……これ使えるかな?」
拾い上げ、そのまま新しいスケルトンへ差し出す。
ゴブリンソルジャースケルトンは鉄剣を受け取り、何の迷いもなく握った。
「うわ、似合う!」
陸はその姿を見てから、すぐ思い出す。
「そうだ。鑑定!」
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ゴブリンソルジャースケルトン
ランク:E
Lv.10
HP 40
MP 7
筋力 28
耐久 24
敏捷 18
賢さ 6
進化可能Lv:20
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「Eランク!」
陸の目が一気に画面を走る。
「しかもレベル10! やっぱ普通のやつより全然強いじゃん!」
筋力も耐久も高い。
さっき剣を打ち合えていたのも納得できる数字だった。
「これでまた十体!」
大きなスケルトンが一体。
新しく加わったゴブリンソルジャースケルトンが一体。
その周りに八体のゴブリンスケルトン。
「うん。さっきより絶対強い!」
陸が満足して頷いた、その時だった。
ボス部屋の奥から、ゴゴゴゴゴ……と重い音が響く。
「ん?」
陸が振り返る。
奥の石壁がゆっくり左右へ開き、その向こうに下へ続く階段が現れた。
同時に、青白いウィンドウが浮かぶ。
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第2階層が解放されました。
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「……第2階層!」
陸はすぐ階段の前まで駆け寄った。
下を覗き込んでも、その先は薄暗くてまだ見えない。
「うわ、次あるじゃん!」
振り返る。
新しくなった十体のスケルトンが、いつも通り陸の後ろに並んでいた。
「よし。次は第2階層だな!」
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