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127/203

第127話 ゴブリンロード戦!

━━━━━━━━━━━━━━

万象の腕輪

ランク:SS


【獲得属性】

炎属性 Lv.32

風属性 Lv.31

金属属性 Lv.30


        ▼

━━━━━━━━━━━━━━


 陸は腕輪から目を上げると、ボス部屋の入口近くにいた探索班の二体をストックへ戻し、代わりに戦闘用のスケルトンを二体召喚した。


「エリナはこっちにいて」


「うん!」


 万が一の時にだけ動くようスケルトンたちへ命令し、エリナと一緒に入口側へ残す。陸はそこから離れ、一人でゴブリンロードの方へ歩いていった。


 向こうも陸を見ながら大剣を構え、ゆっくりこちらへ近づいてくる。


 これまでCランクと戦う時、陸は少し離れた場所からスケルトンたちへ指示を出していることが多かった。けれど、自分が正面に立ってみると見え方がまるで違う。


 大きい。


 厚い金属鎧も、片手に持った幅広の大剣も、後ろから見ていた時よりずっと近く感じる。


 互いの距離が一気に縮まり、ゴブリンロードが石床を強く蹴った。


「速っ!」


 大剣が横薙ぎに迫る。


 陸はとっさに身体強化を使った。全身へ力が満ち、踏み込んだ脚が一気に身体を横へ運ぶ。刃が胸元のすぐ前を通り抜けた。


「うわ……!」


 自分に向かって振られると、速さも大きさも全然違う。


 それでも、避けられた。


 ゴブリンロードが振り切った大剣を戻すより先に、陸は左手を向けた。鎧から露出している右腕と肩を炎が包む。


「グオオッ!」


 ゴブリンロードが大きく腕を振り、炎の中から踏み込んでくる。


「まだ来るか!」


 振り下ろされた大剣へ横から風を叩きつける。刃の軌道がわずかに外れ、石床へ激突した。


 ガンッ!


 砕けた石片が跳ねる。


 陸はその横を抜けながら、今度は脇腹へ炎を生じさせた。厚い鎧の隙間から炎が入り込み、ゴブリンロードが低い声を上げる。


「いける!」


 一撃で倒せるほどではない。それでも、炎は通っている。身体強化を使えば動きにもついていける。


 ゴブリンロードが向き直った瞬間、陸は今度は正面から風をぶつけた。巨体そのものを吹き飛ばすほどではないが、踏み出しかけた上体が少しだけ揺れる。


 その一瞬で距離を取り、また炎。


 陸はさらに土属性へ切り替えた。ゴブリンロードが踏み込む直前、足元の石床の表面を細かく崩す。


 踏み出した足がわずかに沈む。その瞬間、陸は細かく砕けた砂と石粉を風で巻き上げ、ゴブリンロードの顔へ叩きつけた。


「グッ……!」


 狙ったのは目だ。


 ゴブリンロードが反射的に顔を背ける。その隙に陸は横へ回り、首元の鎧の隙間へ炎を生じさせた。


 肩。脚。鎧の隙間。


 狙う場所を変えながら何度か燃やすうち、ゴブリンロードの緑色の肌には黒い焼け跡が増えていった。


「グルァァッ!」


「うおっ!」


 苛立ったように振られた大剣を、陸は大きく横へ跳んで避ける。刃が通り過ぎた直後、ゴブリンロードは両手で柄を握り直した。


 大剣を高く構える。


 さっきまでとは明らかに違う。高く構えた大剣が淡く光り始める。


「ヘヴィブレイクか!」


 陸は左手を正面へ向けた。


 銀色の金属が一気に現れ、陸とゴブリンロードの間で巨大な塊へ変わっていく。薄い壁ではない。大剣を真正面から受け止めるための、分厚い金属のブロックだ。


 直後、大剣が振り下ろされる。


 ガァァンッ!!


 凄まじい音が岩場へ響いた。


 金属ブロックの中央が一気にへこみ、大きな亀裂が走る。衝撃に押された金属の塊そのものが石床を削りながら後ろへずれた。


「うわ、重っ……!」


 それでも、大剣は貫通していない。


「でも、止められる!」


 陸は潰れた金属を左右へ分けた。視界が開いた瞬間、壁の向こうにいたゴブリンロードの胸元を炎が包む。


「グアアアッ!」


 ゴブリンロードが後ろへ下がり、鎧を覆う炎の中から大剣を振り回す。陸は距離を取りながら風を当て、正面から追われないように位置をずらしていく。


 何度か攻防を繰り返したところで、ゴブリンロードが急に足を止めた。


「ん?」


 左腕を身体の前へ構える。


 次の瞬間、全身を鈍い銀色の光が包んだ。


「アイアンガード!」


 陸は反射的に炎を生じさせた。


 ゴブリンロードの胸元を炎が包む。炎そのものはさっきまでと変わらず燃え上がっているが、銀色の光に阻まれ、ほとんど効いていない。


「やっぱ硬くなるか」


 陸はそれ以上、炎を重ねなかった。


「だったら、その間に――」


 陸の周囲へ銀色の金属が次々と現れる。


 一つ目を太い槍へ変え、その隣に二本目。さらに三本、四本と増やしていく。細い針ではなく、ゴブリンロードの鎧ごと貫くつもりで太さと長さを揃えた。


 八本の金属槍が、陸の周囲に浮かぶ。


 ゴブリンロードは銀色の光に包まれたまま、こちらへ歩いてくる。


「まだ切れないか」


 陸は距離を保ちながら後ろへ下がる。近づかれれば風を正面からぶつけ、足元の石床を少し崩して踏み込みを鈍らせる。さらに砂を巻き上げて顔へ当て、前へ出る勢いを削っていった。


 その間も、八本の槍は陸の周囲で狙いを定めたまま動かない。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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