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110/203

第110話 最後のボス!

 奥の石壁へ叩きつけられたソニックファングウルフは、もう動かなかった。


 陸は倒れた身体へ手を向ける。


「スケルトンラッシュ!」


 青白い光が広がり、ソニックファングウルフのスケルトンが立ち上がる。陸はそのままスケルトンストックへ戻した。


 すぐに文明攻略戦の画面を開く。


━━━━━━━━━━━━━━

【総合ランキング】


残り時間:10分12秒


1位 レイヴァ

所属文明:セラディア

到達階層:第11階層

攻略進行度:95.3%


2位 JOHN

所属文明:地球

到達階層:第11階層

攻略進行度:70.6%

━━━━━━━━━━━━━━


「……まだ終わってない」


 差は大きい。時間もほとんど残っていない。


 陸は画面を閉じ、広間の奥へ顔を向けた。


 深紅のカーペットの先には、この広間へ入った時から見えていた大きな扉がある。


「行こう、エリナ!」


「うん!」


 四体の精鋭スケルトンを連れ、陸は扉の前まで進んだ。


 近づいた瞬間、目の前に青白いウィンドウが開く。


━━━━━━━━━━━━━━

【第11階層 ボスエリア】


グランドナイト ×1


入場しますか?

━━━━━━━━━━━━━━


「グランドナイトか」


 ここを越えれば、第11階層は終わる。


 陸は隣にいるエリナを見る。


「エリナ、行くぞ。ラストだ!」


「うん! いこう!」


 陸が入場を選ぶ。


 低い音を響かせながら、大扉がゆっくりと左右へ開いていった。


 その向こうに広がっていたのは、巨大な石造りの空間だった。


 広い。だが、それ以外にはほとんど何もない。


 柱も、壁際の障害物も、身を隠せるようなものもない。平らな石床が奥まで続き、その最奥だけが数段高くなっている。


 その上に、一つの玉座があった。


「……あれか」


 玉座には、一体の騎士が座っている。


 全身を覆う重厚な鎧。兜の奥から顔は見えない。身体の横には一本の長い剣が立てかけられていた。


 大きな怪物でもない。巨大な魔力を撒き散らしているわけでもない。ただ、広い部屋の奥で、こちらを待っている。


 陸は少しだけ息を吐いた。


「先に、こっちも全部出す」


 ダークウルフ、アサルトホーンラビット、ゴブリンハイレンジャー、ゴブリンハイウィザードを順番にストックへ戻す。淡い金色の光をまとっていた四体が消え、使用していた四十枠が一気に空いた。


 陸はすぐにスケルトンストックを開く。


 先ほど回収したソニックファングウルフを含め、第11階層で手に入れた個体や、祭壇で育ててきた個体。今持っている強いCランクのスケルトンを、精鋭化せず次々と召喚していく。


 十体。


 二十体。


 三十体。


 そして四十体。


 青白い光が部屋のあちこちに広がり、陸とエリナの周囲を埋めるようにスケルトンたちが立ち並んだ。


「四十体、全部」


 陸は並んだスケルトンたちへ意識を向ける。


「スケルトンフュージョン!」


 次の瞬間、四十体すべての足元に青白い光が広がった。


 骨の輪郭が次々とほどけ、光の粒子へ変わっていく。手にしていた武器も光へ溶け、陸たちの前方一点へ吸い寄せられた。


 六体や十九体で使った時とは、光の量がまるで違う。


 幾重にも重なった青白い粒子が渦を巻き、大きな光の塊へ変わっていく。そこから太い脚が形を取り、胴体、両腕、頭骨が続いた。


 最後に、背中から巨大な翼が左右へ伸びる。


「うわ……!」


 エリナが見上げる。


 光が弾けるように消え、そこに大柄な人型のスケルトンが立っていた。


 全身の骨格は太く、無駄なく整っている。背中には大きな白骨の翼が広がり、翼骨の隙間を青白い魔力光が薄い膜のようにつないでいた。


 手にしているのは一本の剣。骨の継ぎ目や胸元、腕の内側にも青白い光が走り、全身から静かに魔力が漏れている。


「……めちゃくちゃかっこいいな」


 陸はすぐに鑑定を使った。


━━━━━━━━━━━━━━

???

ランク:B

Lv.40


HP  860

MP  420

筋力 338

耐久 326

敏捷 347

賢さ 315


【スキル】

フォーススラッシュ

マジックアロー

マナブラスター

グランドスラッシュ

━━━━━━━━━━━━━━


「Bランク……!」


 視線を下へ滑らせた陸の目が見開かれる。


「全部300超えてる……」


 今まで使ってきたCランクとは、明らかに一段違う。四十体を一つにした切り札を見上げ、陸の口元がわずかに上がった。


「これなら、いける!」


 その直後、カツン、と広い部屋に金属音が響いた。玉座に座っていたグランドナイトが立ち上がる。


 長剣の柄を掴み、一本の剣を両手で握ると、数段の石段を一段ずつ降りてくる。重そうな全身鎧を着ているのに、その動きに鈍さはない。石段を降り切ったグランドナイトが、何もない広い石床へ進み出る。


 陸はすぐに鑑定を使った。


━━━━━━━━━━━━━━

グランドナイト

ランク:C

Lv.39


HP  620

MP  285

筋力 361

耐久 334

敏捷 372

賢さ 208


【スキル】

フォーススラッシュ

エアステップ

グランドアクセル

ブレイドカウンター

━━━━━━━━━━━━━━


「Cランク、39……」


 そこまでは想定していた。だが、ステータスを見た瞬間、さっきまでの手応えが止まる。BランクLv.40の融合個体より、筋力も、耐久も、敏捷も上だった。


「……マジかよ」


 グランドナイトが長剣を持ち上げ、両手で柄を握って剣先を正面へ向ける。それに応じるように、翼を広げた融合個体も一歩前へ出た。


 広い石床の中央で、二体が向かい合った。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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