第106話 追い詰めろ!
ソニックファングウルフは、また左右の柱列に挟まれた広い中央まで距離を取っていた。
ダークウルフの本体と分身、アサルトホーンラビットもすぐに追う。さっきまでのように広間中を自由に走らせてはいない。それでも三体だけでは、最後に残った細い隙間を抜かれてしまう。
「だったら、もっと減らす!」
陸は後方で弓を構えていたゴブリンハイレンジャーへ目を向けた。
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ゴブリンハイレンジャー
ランク:C
Lv.31
HP 278(+64)
MP 82(+19)
筋力 159(+37)
耐久 105(+24)
敏捷 198(+46)
賢さ 78(+18)
【スキル】
ラピッドショット
アローレイン
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「ラピッドショット!」
ハイレンジャーが弓を引いた。一射目を放った直後にはもう次の矢がつがえられ、二射、三射とほとんど間を空けずに飛んでいく。
先頭の矢へソニックファングウルフが反応した。身体を沈めてかわし、そのまま右へ抜けようとする。だが二本目が逃げ先へ伸び、さらに三本目がその外側へ飛んだ。
ソニックファングウルフが足を止めずに進路を変える。
「そこ!」
切り返した先へダークウルフの本体が飛び込んだ。敵はすぐに反対へ身体を振るが、そちらには分身が回っている。二体の間を抜けようと一気に加速したところへ、アサルトホーンラビットが正面から迫った。
長い角を避けるため、ソニックファングウルフが大きく外へ膨らむ。
そこへまた矢が飛ぶ。
一本を前脚のすぐ横へ落とし、続く矢が肩の高さを横切った。直撃はしない。それでも、矢を無視して同じ方向へ走り続けることはできない。
「いいぞ! もっと行け!」
ハイレンジャーが連射を重ねるたび、ソニックファングウルフの進路が細かく変わる。その先へダークウルフたちが詰め、空いた場所にはアサルトホーンラビットが飛び込んだ。
何度かは柱の間を使って抜けられる。それでも、さっきのように一度抜けただけで大きく距離を離されなくなっていた。
陸は走り続ける敵を見ながら、ハイレンジャーへ腕を振り上げた。
「アローレイン!」
ハイレンジャーが弓を高く向け、一本の矢を放った。矢は大きく弧を描いて上がり、広間の上空まで昇っていく。
そこで矢が魔力の光を帯びた。
次の瞬間、一本だった矢が大量の魔力の矢へ一気に分裂する。そのまま向きを変え、ソニックファングウルフの進む先へ雨のように降り注いだ。
石床へ次々と矢が突き立つ。前にも、横にも、そのさらに先にも矢が降る。
ソニックファングウルフが大きく左へ跳んだ。着地した瞬間には本体のダークウルフが迫り、牙を避けてさらに外側へ逃げる。そこにも矢が降り、黒灰色の身体がまた向きを変えた。
「おっ、いい感じ!」
だが、まだ足りない。
矢の雨が薄くなった場所を見つけると、ソニックファングウルフはそこへ一気に飛び込んだ。分身が横から塞ごうとするが、ぶつかる直前に鋭く切り返される。
また隙間ができる。
「ハイウィザード!」
陸はすぐに杖を構えるゴブリンハイウィザードを見た。
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ゴブリンハイウィザード
ランク:C
Lv.31
HP 252(+58)
MP 224(+52)
筋力 72(+17)
耐久 94(+22)
敏捷 112(+26)
賢さ 211(+49)
【スキル】
フレイムストーム
フレイムウォール
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「フレイムストーム!」
杖の先に赤い光が集まり、ソニックファングウルフの前方に小さな火がいくつも灯る。
敵はすぐに横へ跳んだ。
次の瞬間、複数の炎が一斉に巻き上がる。
さっきは発動する頃には遠くまで逃げられていた。だが今は違う。横へ避けた先には矢が突き立ち、その向こうからダークウルフの本体が迫っている。
ソニックファングウルフは炎の端をかすめるように走り、右手の柱列へ飛び込んだ。柱と柱の間を抜けようとする敵へ分身がすぐに回り込み、反対側からはアサルトホーンラビットが角を低くして詰める。
「そのまま押せ!」
三体が距離を詰める。ハイレンジャーの矢も飛び、ソニックファングウルフはさらに奥へ切り返した。
気づけば、黒灰色の身体は広間の端まで押し込まれていた。後ろには石壁。右には太い柱が並び、その間にも矢が突き立っている。
それでもソニックファングウルフは止まらない。壁際を走り、まだ残っている左側の空間へ飛び込もうとする。
「そこも塞げ! フレイムウォール!」
ハイウィザードが杖を振った。
ソニックファングウルフの進行方向に沿って赤い光が石床を走る。直後、そこから炎が一気に立ち上がった。
「よし!」
黒灰色の身体が炎の手前で急停止する。
戻ろうとした先にはダークウルフの本体。反対側には分身が広がり、ハイレンジャーの矢も壁際の隙間へ続けて突き立つ。正面からはアサルトホーンラビットが迫り、後ろには石壁がある。
ソニックファングウルフが低く唸った。
次の瞬間、炎と分身の間に残ったわずかな隙間へ飛び込む。
「ラビット!」
アサルトホーンラビットが石床を蹴った。
青白く光る長い角を低く構え、一気に距離を詰める。ソニックファングウルフも気づいて身体を捻ったが、今度はその先へ逃げるだけの場所がない。
角の先端が、黒灰色の脇腹を捉えた。
ザシュッ!
深く貫く前にソニックファングウルフが強引に身体を逃がす。それでも脇腹の毛が大きく裂け、赤い血が散った。勢いを殺しきれず、黒灰色の身体が横へ弾かれて石床を滑る。
「入った!」
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