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103/203

第103話 決着!

 味方のサイクロンガーゴイルが叩き込んだレンドクローで、敵の身体が空中で大きく傾いた。翼の動きが乱れ、高度も一気に落ちる。


「今だ! ハイハンター!」


 ゴブリンハイハンターが即座に弓を引き、矢を放った。


「パラライズアロー!」


 紫がかった淡い光をまとった矢が上空へ伸びる。サイクロンガーゴイルは落ちながら翼を開き、身体を立て直そうとした。


 だが、今度は間に合わない。


 矢が胴へ突き刺さった瞬間、サイクロンガーゴイルの全身がびくりと固まった。開きかけた翼まで止まり、巨体がそのまま真下へ落ち始める。


「入った!」


 何度狙っても避けられていたパラライズアローが、ついに刺さった。


 陸はすぐに後方へ顔を向ける。シャープシューターは弓を引き絞ったまま、落ちていく敵を追い続けていた。


 矢じりに集まった光は弓へ広がり、腕の骨まで明るく照らしている。それでもシャープシューターは動かない。


「シャープシューター、決めろ!」


 弦が鳴った。


 ドンッ!


 光をまとった矢が一直線に走る。麻痺したサイクロンガーゴイルは翼を動かすことも、ウイングガードで身を守ることもできない。


 矢は胸へ真正面から突き刺さった。


 巨体が空中で大きく弾かれ、そのまま石床へ叩きつけられる。重い音が広場に響き、広げた翼が一度だけ揺れた。


 それきり、動かない。


「っしゃあ!」


 陸はすぐに鑑定した。


━━━━━━━━━━━━━━

サイクロンガーゴイル

ランク:C

Lv.35


HP 0/560

━━━━━━━━━━━━━━


「ゼロ!」


「たおした!」


「ああ!」


 その直後だった。


 広場を吹き続けていた風が、ぴたりと止まった。


「……え?」


 あれだけ翼や服を叩いていた風が消え、急に音がなくなる。上空にも渦は残っていない。


 陸は一瞬だけ周囲を見回した。


「……頼む。これで終わってくれ」


 数秒待つ。


 だが、何も表示されない。


「まだあるのかよ!」


 陸が顔をしかめた、その時だった。


 倒れたサイクロンガーゴイルの周囲で、消えたはずの風が一気に渦を巻いた。


 ゴオオオオオッ!!


「うわっ!?」


 次の瞬間、圧縮されたような風が広場の中央から爆発する。


 陸は咄嗟にエリナを抱え込み、腰を落とした。それでも足が石床を滑り、身体ごと後ろへ押される。


「とぶー!」


「掴まってろ!」


 味方サイクロンガーゴイルが陸たちの前へ割り込み、翼を身体の前へ畳んだ。


 ウイングガード。


 吹きつける風を真正面から受け止める。骨の翼ごと押し込まれながらも、その場から退かない。ハウリングバットは風に煽られて大きく高度を落とし、ハイハンターとシャープシューターも弓を抱え込むようにして踏ん張った。


 広場の端では砂埃が巻き上がり、空中へ吸い上げられていく。サイクロンガーゴイルが放っていたものとは比べものにならないほど広く、乱暴な風だった。


「まだ来るのかよ!」


 陸が叫んだ直後、風向きが一度大きく変わる。


 今度は広場の奥へ向かって、すべての風が一気に駆け抜けた。


 ゴォンッ!


 重い音が響く。


 風に押されて顔を上げた陸の正面で、サイクロンガーゴイルが最初にいた張り出台座が揺れていた。


「え?」


 石と石が擦れる低い音とともに、台座がゆっくり動き始める。広場の外へ張り出していた部分が向きを変え、そのままさらに前へ伸びていった。


 やがて先端が離れた向こう側へ届き、一本の石橋になる。


「道になった!」


 最後の一陣が橋の上を吹き抜け、そのまま消えた。


 今度こそ、広場から風が完全になくなる。


 陸はすぐに文明攻略戦の画面を開く。


━━━━━━━━━━━━━━

文明攻略戦


JOHN

第11階層

攻略進行度:58.7%

━━━━━━━━━━━━━━


「五十八……まだ四割もあるの!?」


 サイクロンガーゴイルを倒して大きく進んだ。それでも、まだ終わりには遠い。


 陸は続けて残り時間を見る。


━━━━━━━━━━━━━━

文明攻略戦

残り時間:49分37秒

━━━━━━━━━━━━━━


「四十九分!?」


「やばっ! 急がないと!」


「いそぐ!」


 陸は倒れたサイクロンガーゴイルへ駆け寄った。時間はないが、このまま置いていくつもりもない。


「スケルトンラッシュ!」


 青白い光が広がり、サイクロンガーゴイルのスケルトンが立ち上がる。大きな翼も、頭の角も、長い爪も残っていた。


 陸は能力を確認せず、そのままスケルトンストックへ戻す。


 陸は広場の先へ向かって走り出した。四体の精鋭スケルトンとエリナも、すぐ後へ続いた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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