第103話 決着!
味方のサイクロンガーゴイルが叩き込んだレンドクローで、敵の身体が空中で大きく傾いた。翼の動きが乱れ、高度も一気に落ちる。
「今だ! ハイハンター!」
ゴブリンハイハンターが即座に弓を引き、矢を放った。
「パラライズアロー!」
紫がかった淡い光をまとった矢が上空へ伸びる。サイクロンガーゴイルは落ちながら翼を開き、身体を立て直そうとした。
だが、今度は間に合わない。
矢が胴へ突き刺さった瞬間、サイクロンガーゴイルの全身がびくりと固まった。開きかけた翼まで止まり、巨体がそのまま真下へ落ち始める。
「入った!」
何度狙っても避けられていたパラライズアローが、ついに刺さった。
陸はすぐに後方へ顔を向ける。シャープシューターは弓を引き絞ったまま、落ちていく敵を追い続けていた。
矢じりに集まった光は弓へ広がり、腕の骨まで明るく照らしている。それでもシャープシューターは動かない。
「シャープシューター、決めろ!」
弦が鳴った。
ドンッ!
光をまとった矢が一直線に走る。麻痺したサイクロンガーゴイルは翼を動かすことも、ウイングガードで身を守ることもできない。
矢は胸へ真正面から突き刺さった。
巨体が空中で大きく弾かれ、そのまま石床へ叩きつけられる。重い音が広場に響き、広げた翼が一度だけ揺れた。
それきり、動かない。
「っしゃあ!」
陸はすぐに鑑定した。
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サイクロンガーゴイル
ランク:C
Lv.35
HP 0/560
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「ゼロ!」
「たおした!」
「ああ!」
その直後だった。
広場を吹き続けていた風が、ぴたりと止まった。
「……え?」
あれだけ翼や服を叩いていた風が消え、急に音がなくなる。上空にも渦は残っていない。
陸は一瞬だけ周囲を見回した。
「……頼む。これで終わってくれ」
数秒待つ。
だが、何も表示されない。
「まだあるのかよ!」
陸が顔をしかめた、その時だった。
倒れたサイクロンガーゴイルの周囲で、消えたはずの風が一気に渦を巻いた。
ゴオオオオオッ!!
「うわっ!?」
次の瞬間、圧縮されたような風が広場の中央から爆発する。
陸は咄嗟にエリナを抱え込み、腰を落とした。それでも足が石床を滑り、身体ごと後ろへ押される。
「とぶー!」
「掴まってろ!」
味方サイクロンガーゴイルが陸たちの前へ割り込み、翼を身体の前へ畳んだ。
ウイングガード。
吹きつける風を真正面から受け止める。骨の翼ごと押し込まれながらも、その場から退かない。ハウリングバットは風に煽られて大きく高度を落とし、ハイハンターとシャープシューターも弓を抱え込むようにして踏ん張った。
広場の端では砂埃が巻き上がり、空中へ吸い上げられていく。サイクロンガーゴイルが放っていたものとは比べものにならないほど広く、乱暴な風だった。
「まだ来るのかよ!」
陸が叫んだ直後、風向きが一度大きく変わる。
今度は広場の奥へ向かって、すべての風が一気に駆け抜けた。
ゴォンッ!
重い音が響く。
風に押されて顔を上げた陸の正面で、サイクロンガーゴイルが最初にいた張り出台座が揺れていた。
「え?」
石と石が擦れる低い音とともに、台座がゆっくり動き始める。広場の外へ張り出していた部分が向きを変え、そのままさらに前へ伸びていった。
やがて先端が離れた向こう側へ届き、一本の石橋になる。
「道になった!」
最後の一陣が橋の上を吹き抜け、そのまま消えた。
今度こそ、広場から風が完全になくなる。
陸はすぐに文明攻略戦の画面を開く。
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文明攻略戦
JOHN
第11階層
攻略進行度:58.7%
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「五十八……まだ四割もあるの!?」
サイクロンガーゴイルを倒して大きく進んだ。それでも、まだ終わりには遠い。
陸は続けて残り時間を見る。
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文明攻略戦
残り時間:49分37秒
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「四十九分!?」
「やばっ! 急がないと!」
「いそぐ!」
陸は倒れたサイクロンガーゴイルへ駆け寄った。時間はないが、このまま置いていくつもりもない。
「スケルトンラッシュ!」
青白い光が広がり、サイクロンガーゴイルのスケルトンが立ち上がる。大きな翼も、頭の角も、長い爪も残っていた。
陸は能力を確認せず、そのままスケルトンストックへ戻す。
陸は広場の先へ向かって走り出した。四体の精鋭スケルトンとエリナも、すぐ後へ続いた。
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