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第10話 モンスターハウス攻略!

「よし、行ってこい!」


 陸が部屋の中を指さした瞬間、八体のスケルトンが一斉に動き出した。


 先頭を走るのは、鉄の剣を持った大きなスケルトン。そのすぐ横を、短剣を持った二体のゴブリンスケルトンが小さな身体で駆けていく。


「おお、行け行け!」


 向こうのゴブリンたちも一斉に動いた。


 数は多い。でも、最初にぶつかった瞬間から差ははっきりしていた。


 鉄の剣を持ったスケルトンが、一体目の横を抜けるように剣を振る。


 スンッ。


 首が飛ぶ。


「やっぱ速っ!」


 その横では、短剣を持ったゴブリンスケルトンが相手の懐へ潜り込んでいた。


 向こうのゴブリンが腕を振り下ろすより早く、身体を横へずらす。そのまま短剣を腹へ突き込んだ。


「うわ、ちゃんと短剣使ってる!」


 もう一体も、相手の横へ回り込んで脇腹へ短剣を突き刺す。


 小さい身体で動き回るせいか、素手だった時よりさらに厄介そうに見えた。


「いいじゃん! お前らも武器持ったら強いな!」


 他のゴブリンスケルトンたちも負けていない。


 一体が正面から殴り飛ばし、別の一体が転がった相手へ飛びかかる。二体で一体を囲み、そのまま左右から殴りつける。


 部屋の中で、骨とゴブリンが入り乱れる。


「うわ、めっちゃ集団戦してる!」


 陸は入口のところから身を乗り出した。


 細かく指示する必要なんてなかった。


 スケルトンたちはそれぞれ勝手に動いて、近くのゴブリンを次々に倒していく。


「こいつら、普通に連携できるんだな!」


 最後まで残っていたゴブリンが、大きなスケルトンへ飛びかかる。


 鉄の剣が横へ走った。


 スンッ。


 次の瞬間、その身体が床へ倒れた。


「……終わった?」


 部屋の中を見る。


 立っているゴブリンはもういない。


 残っているのは、八体のスケルトンだけだった。


「いや、やっぱこいつらめっちゃ強え!」


 陸はすぐ部屋の中へ入った。


 床には倒れたゴブリンが何体も転がっている。


「よし。じゃあこいつらも全部増やすか!」


 一番近くのゴブリンへ手を向ける。


「スケルトンラッシュ!」


 青白い光が身体を包み、少しして新しいゴブリンスケルトンが立ち上がった。


「よし、九体目!」


 すぐ次へ。


「スケルトンラッシュ!」


 また一体。


「十体目!」


 陸の後ろに、十体のスケルトンが並ぶ。


「おお、二桁いった!」


 そのまま次のゴブリンへ手を向ける。


「よし、十一体目! スケルトンラッシュ!」


 何も起こらなかった。


「……あれ?」


 倒れたゴブリンはそのまま。青白い光も出ない。


「もう一回」


 少し近づいて、もう一度手を向ける。


「スケルトンラッシュ!」


 やっぱり何も起こらない。


「え、何で?」


 陸はすぐウィンドウを開いた。


「MP足りないとか?」


 ステータスを見る。MPは残っている。


「じゃあレベル? それとも、なんか条件あんの?」


 もう一度試してみても、結果は同じだった。


 陸はゆっくり後ろを振り返る。大きなスケルトンが一体。ゴブリンスケルトンが九体。合計十体。


「……十体まで?」


 さっき百体まで増やしたいなんて考えていたばかりだ。


「え、百体軍団どこいった!?」


 思わず声が出る。


「いや、でも今はってだけかもしれないよな」


 レベルが上がれば増えるのかもしれないし、何か別の条件があるのかもしれない。今のところ分かるのは、一つだけだ。


「とりあえず、今は十体までっぽいな」


 少し残念ではある。でも、十体並んでいるだけでもかなりの迫力だった。


「まあいいか。十体でも十分多いし!」


 陸がそう言った直後、目の前に青白いウィンドウが浮かんだ。


「え、何これ!?」


 反射的に一歩近づく。


━━━━━━━━━━━━━━

【モンスターハウスクリア】


討伐評価:A


報酬を生成します。

━━━━━━━━━━━━━━


「モンスターハウスクリア……評価A!?」


 陸は表示をもう一度見直した。


「うわ、評価まであんのか! Aって結構いい方だよな!? 何基準なんだこれ!」


 答えは出ない。その代わり、部屋の中央に青白い光の粒が集まり始めた。


「うわ、何か出る!」


 細かな光がどんどん増えて一か所へ集まり、やがて箱の形を作っていく。


「宝箱!」


 光が消える。


 そこに現れたのは、前に通路で見つけたものより少し大きな宝箱だった。木の色も濃く、縁には金属の装飾が増えている。


「うわ、前のより絶対いいやつじゃん!」


 陸はすぐ駆け寄った。今回は周囲にゴブリンもいない。それでも一瞬だけ手が止まる。


「……いや、これもミミックとかないよな?」


 少し考える。でも、これはモンスターハウスの報酬として出てきた宝箱だ。


「まあ、さすがに大丈夫だろ!」


 蓋へ手をかけ、そのままゆっくり開く。


「おお!」


 中に入っていたのは、一本の杖だった。陸の腕より少し長いくらいの木製で、先端には小さな青い石がはめ込まれている。


「杖じゃん!」


 すぐ手を伸ばす。触れた瞬間、杖がふっと消え、同時に目の前へウィンドウが開いた。


━━━━━━━━━━━━━━

鼓舞の杖(こぶのつえ)

ランク:D


杖を掲げることで、

一定時間、周囲の味方の攻撃力を上昇させる。

━━━━━━━━━━━━━━


「味方の攻撃力アップ!?」


 陸は思わずウィンドウへ身を乗り出した。


「これ、スケルトン全員強くできるってこと!?」


 すぐ鼓舞の杖の文字へ指を重ねると、次の瞬間、さっきの杖が手の中に現れた。


「うわ、これ絶対使ってみたい!」


 陸は杖を握り直し、後ろに並ぶ十体のスケルトンを見回す。


「次の戦闘、もっとヤバいことになりそうだな!」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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