↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/69

53話

 



 日曜日の朝、王都の街並みはどこか穏やかな空気に包まれていた。緑田はこの日を、奴隷たちの休養日と定めている。


 普段なら必ず護衛の奴隷を従えて歩くが、今日ばかりは気ままな一人行動だ。そのため、トラブルを避けるべく治安の悪い裏路地には近づかないよう慎重にコースを選んで散策していた。


 まずは、焼きたての香ばしい匂いが漂うお気に入りのパン屋で大量の焼き立てパンを購入する。続いて肉屋へ向き、特製のベーコンと燻製ハムを買い込み、最後に果物屋で赤々と実った林檎を袋いっぱいに手に入れた。


 これらはすべて、明日からの魔物狩りで消費する食料だ。現場での食事や行動食はすべて主である緑田が用意することになっている。


 買い込んだ膨大な食料は、人目につかない路地裏へ移動してから、愛用の肩掛け鞄へとこっそり収納していく。


 名称:カエル鞄のストレージ

 概要:肩掛け鞄

 効果:物を吸い込んで収納し、自在に取り出すことができる。収納容量は27立方メートル。ただし物を取り出す際には、リンゴ一個、またはそれに相当する重量の虫を与えなければならない。

 危険度:0 / ランク:3


 この世界において、空間を拡張して物を収納できる魔道具は無いわけではないが、希少だ。毎日欠かさず市場や露店を巡り倒している緑田であっても、これまでに発見できたのはこの一つだけである。


 万が一にも人目に触れて奪われるような事態を防ぐため、購入した品々は店を出た後に物陰で素早く鞄へと吸い込ませるのが鉄則だった。


「あとは何を買うべきかな………」


 鞄の口を閉じた緑田が路地を出て大通りへ戻ろうとしたその時、ふと視界の端に大きな教会の門から出てくる男の姿が映った。


 見覚えのあるその人物は、緑田が所有する奴隷の一人、『ゲッシ』だった。


 伸びた長めの前歯と引き締まった細い顔立ちから、奴隷仲間の間では「ネズミ」という愛称で呼ばれている男だ。


 緑田と目が合うと、ゲッシはぱっと表情を明るくし、嬉しそうな笑顔を浮かべてこちらへ駆け寄ってきた。






最後まで読んでいただきありがとうございました。


「ブックマーク」と「いいね」を頂ければ大層喜びます。


評価を頂ければさらに喜びます。


☆5なら踊ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。