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ある日、辺境の貧乏男爵家の当主になった。前世の記憶で楽園を築きたい。  作者: ありんこの王様


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(3)商業ギルドにいこう。



「お〜、やっと着いたなぁ〜」


道中、普通に襲ってきた魔物達を倒し、薬草などを採集しながら予定通りに領都グランリゲルに着いた。


途中で赤毛斬牙熊もドラゴンも出なかった。



……本当に良かったよ……




早速宿を取り、この領地の当主ブルーノ・リーゲル子爵に面会したい旨の使者を出した後、皆で商業ギルドへ向かった。


「シルバーウルフの毛皮かい?1匹につき銀貨1枚と銅貨5枚だね」


「こりゃあダークフォレストタイガーじゃないか!?闇に紛れて行動する上に警戒心がかなり強くて、普通ならお目にかかることすら難しいのに、それを3頭も!!」


「こ、こっちはクリスタルクラウンディアに、ま、まさか黄金一角熊だと!?どちらも幻と言われる魔獣だぞっ!あんたら凄いな!!」



「薬草かい?ほぅ、こりゃあずいぶんと状態が良いじゃないか!オマケをして薬草1束を銅貨3、いや4枚で引き取るよ!」


「これは、月雫草にシビレ天狗茸、酔夢見草に木洩れ火の葉。おや!風舞の実まであるじゃないか!それに魔切の蔓草だって!?あきれた!どれもポーションの材料として貴重なモノばかりときたもんだ!!」


「お前さん達、いったいどんなところに行ってきたんだい!?実物を目の前に出されても、まだ信じられない気分だよ!!あたしゃあ夢でも見ているのかね!!」



皆は、道中で狩ってきた獲物を売っている。かなりの数を持ち込んでいるから、結構な稼ぎになるはずだ。


まあ、そのほとんどはお酒に消えてしまうのだろうけど……



「それにしても、良く珍しい草なんか知ってたね?」


「なぁに、俺達は若い頃からずっとルシエラ婆さんに鍛えられてたからな。これくらいどーってこたぁねぇよ」


アルフレッドの疑問に、石工のゼノさんが大したことはないとばかりに、手をヒラヒラさせながら教えてくれた。


ルシエラ婆さんとは村唯一の錬金術師で、色々な薬草などから貴重なポーションを作り出しては、村の人達を助けてくれている有難い人だ。


父のジェイドが赤毛斬牙熊にやられた時も、ルシエラ婆さんが回復ポーションを作ってくれたおかげで、ケガの治りがものすごく早かった。


ルシエラ婆さんは、今でこそ家で大人しくしているが、ゼノさん達が若い頃は、ルシエラ婆さんが先頭に立って若い衆を山に引っ張って行き、スパルタで薬草などの採集を教え込んでいたらしい。


因みにルシエラ婆さんは、アルフレッドどころか、父のジェイドが生まれた時には既にベテランの錬金術師として村にいたらしい。


ルシエラ婆さんがいったい何歳なのかは、誰も怖くて聞けずに、村の七不思議のひとつになっていたりする。




「アルフレッド様、お待たせ致しました。私は商業ギルドグランリゲル支部のナタリー・オルコットと申します」


特許申請をしたいと言ったところ、大事な会議や、大切な商談をする際に利用される防音や探知阻害の魔法がかけられた個室に呼ばれ、担当の人からあいさつを受けた。


ナタリーさんは、パープルブラック色のショートカットの髪に透きとおるような白い肌、薄っすらと化粧を施した顔はキリッと引き締まっており、まさに洗練された女性という印象の、いかにもキャリアウーマンと言った出で立ちの20代中頃くらいのスレンダーで綺麗な女性だった。


「初めまして、私はアルフレッド・リンドロットと申します。本日はよろしくお願いします。家名があるという事は、ナタリーさんは貴族なんですね」


「はい、我がオルコット家は代々商業ギルドに貢献していまして、そのおかげでフラムフォルド王国より子爵位を賜っております」


「おおっ!それはずいぶんと心強い方が担当になってくれたんですね。有難いです」


「ふふっ、リンドロット家ご当主アルフレッド男爵様へのご対応ですから、より丁寧にさせて頂くために私が担当致しました。改めてよろしくお願いいたします」


そう、リンドロット領を出る直前に王城より書状が届き、晴れて正式にアルフレッドが男爵に叙任されていた。


それにしても情報が早い。さすが商業ギルドと言ったところか。



そこからは商談の話になった。


まずはリバーシの特許登録申請。


ナタリーさんはリバーシの遊び方を説明しているうちにハマってしまったらしく、終始目がキラキラしていた。


それから作成してきた300セットを、1セット銀貨5枚で売却した。


(早速ナタリーさんは自分の分を確保していた。⋯⋯良いの?横領になったりしないのかな?)


リバーシの売却だけでトータル金貨150枚になった。これで村に充分な食料を買って帰れる。

※銀貨10枚で金貨1枚。



今後のリバーシの作成・販売については商業ギルドへ一任してロイヤルティー契約にした。



リンドロット村で作成してもここまで運ぶのに苦労するし、きっとリバーシはこの国全体に、いや他の国にも広がっていくはずだ。


それなら商業ギルドに任せた方が良いと判断した。

また、通常なら3割のロイヤルティー契約を結ぶところを、こちらから2割に引き下げを申し出た。


その分販売価格を下げる様に依頼したり、将来的にリバーシの大会を開いて貰えるようお願いしたりした。


販売価格が安くなれば庶民の人達でも手が出せる値段になるし、大会が盛り上がればさらに人気が出て爆発的に売れるはずだ。


そうなれば、多分ギルド側にも今後莫大な利益が出るはずだから、ギルドとしても万々歳だろう。


さらに、他にもいろいろと商談をしてから個室を後にした。


「良い商談が出来ました。これは絶対に売れますよ!また、何か御座いましたらぜひともよろしくお願いいたします」


ナタリーさんは満面のニコニコ顔で握手をして来た。


帰る時にはギルド長まで出て来て、丁重に見送りをしてくれた。


まあ気持ちは分かるけど。



宿に戻ると、同行していた皆は既に飲みに出かけてしまっていた。


今日は戻らないと書き置きを残して。



本当に、どれだけお酒が好きなんだか⋯⋯




それと、ブルーノ子爵から手紙が届いていた。早速明日会えるらしい。


あまり評判が良くない人だと聞くけど、果たしてどんな人物なのだろうか。


何か対策は考えておいた方が良いかも知れない。





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