↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、辺境の貧乏男爵家の当主になった。前世の記憶で楽園を築きたい。  作者: ありんこの王様


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/55

(11)支援が届いたら人が増えた。

 


赤毛斬牙熊が倒された翌日、ロンメル辺境伯とブルーノ子爵の部隊は村を離れた。


ブルーノ子爵の部隊で負傷した人達は、錬金術師のルシエラ婆さんが作ったポーションで全員が自力で帰れるまでに回復していた。

ポーションをもらった人達は一様に感謝を述べていて、中には泣きながら感謝している人達もいた。


どうやら今回の部隊には回復薬やポーションを持たせていなかったらしく、苦しんでいる人達を見かねたルシエラ婆さんが手を回してくれていたのだ。


ポーションを配っていた時、ブルーノ子爵が苦々し気な顔をしていたのが印象的だった。



それとロンメル辺境伯からは、フローラの荷物は追って送る事、支援物資の他にかなりの人員も送るから受け入れの体制を整えておく様にと言われた。


そして、「娘を頼むぞ!」とひと言残して、本当にフローラを置いてあっさりと帰ってしまった。




「改めて、紹介しますね」


そう言ってフローラは、お付きのメイドさんと護衛として残った2人を紹介してくれた。


サラ・ブラームス 22歳。メイド。

ブラームス男爵家の次女。彼女がブラッドレー辺境伯家に奉公に来た時丁度フローラが生まれ、その時から専属のメイドとして使えてきた。1度婚約の話が持ち上がったが、フローラと離れるのが耐え難くアッサリと断った。フローラとはは姉妹の様な関係。


ミレーユ・ブロワール 21歳。騎士。

ブロワール子爵家長女。家督を継ぐ為、脳筋の父に幼少の頃から剣術を叩き込まれていたが、長男が生まれた途端に興味を無くされてしまった。

そこからは政略結婚の道具としてしか見られなくなった事に深く失望し16歳の時に家を出た。その際、ブラッドレー辺境伯領で騎士団員を募集しているとの噂を聞いて応募し、そこでロンメル辺境伯にその腕を見出され騎士団に入った。


マリア・ヴァレリア 17歳。回復術師。

孤児院出身だが、貴重な回復魔法が使える事が判明した為に聖教会へ入れられた。だが、そこでの閉鎖的な生活に耐えられずに逃げ出し、ロンメル辺境伯に助けを求めた。

ロンメル辺境伯は彼女に、既に没落して今は無きヴァレリア騎士爵家の養女という肩書きを付与し、ブラッドレー辺境伯家へ奉公に出されたという強引な理由を付けて保護した。


全員、フローラと仲が良く自ら志願してここに残ったらしい。



「この領地の領主、アルフレッド・リンドロットです。皆さん改めてよろしく。今はこの村には何もないけど、必ず発展させて住み良い場所にしていくから期待していてよね。ここに残ってくれた事を絶対に後悔させないようにするから。さて、まずは皆が住む場所から何とかしていかないとだね」




今後の計画も併せて相談する為に、大工のガルドさんを訪ねた。


「お〜、これはこれは男爵様!奥方様と一緒に新居の相談にでも来ましたか?」


ガルドさんは工房に入って来た2人を見るなりニヤニヤしながらそんな事を言い出した。



「んなっ!?ガ、ガルドさん!!突然何を言い出すのさっ!?」


「……お、奥方様……私が……ふひっ……」


後ろでフローラがちょっと出してはいけない声を発しているけど、今はそれどころじゃない。



「昨夜宴会を途中で抜け出して、2人で仲良く手をつないで屋敷に入って行ったじゃねえか。んで、そのまま子作りしちまったから、子供が生まれる前に2人の新居を構えようってんだろ?」



「なっ!?な、な、な、何を言ってるのッッ!?」


「……子供……私とアル様の……2人の子供……ふひっ、くひっ、」


フローラがどんどん壊れていってる……



「そもそも、なんでそんな話になるのさ。誤解だよ!誤解だからねっ!?」


「わはははっ!もう遅えよ!!2人で手をつないで屋敷に入って行くところは、あの場にいた全員が見てたからな!もうこの村じゃあ2人の仲を知らない者はいねぇよ!それに、あの場にいたのはここの人間だけじゃねぇ!今頃、ブラッドレー辺境伯領でも、リーゲル子爵領でもこの話で持ちきりだろうさ!わはははっ!」



「んなあっ!?そ、そんな……」



「わ、私とアル様の結婚……周知の事実……さっそく今夜から……ぐふっ、ぐひひひっ、」


フローラさん、お願いだから戻ってきて……



その後も散々揶揄われながらも、何とか皆の家を建てて貰う事で話はまとまった。

ガルドさんは、最後まで2人で一緒に住めば良いのにと言っていたが無視した。


……そりゃあフローラほどの美少女と一緒にいられるならそんな幸せな事はないけど、今の身分差でそんな事したら下手したら物理的に首が飛びかねないからね。


それを考えたら、今はそんな事してる場合じゃない。



それからその後は、今後支援に来る人達の住居の話になった。

まずは受け入れ体制を整えるのが先決という事になり、仮設で長屋をいくつか建てる事になった。


給金は弾んでくれよ!そう言って、さっそくガルドさん達はその日から動き始めてくれたので助かった。




それからひと月後、何とか受け入れ体制が形になった所を見ていたかの様に、ロンメル辺境伯からの支援物資が届いた。


馬車十台に山積みされた小麦や大豆、干し肉に塩漬けの魚、日持ちする野菜や茶葉など大量の食糧品。


酒樽が十樽。

塩がワイン樽で五つ。


鉄製の鍬や鎌、斧や鉈やスコップ、金づちにのこぎりなどの農具と工具がそれぞれ100本ずつ。


剣、槍、弓矢、盾、鎧、胸当て、解体用ナイフなどがそれぞれ百セットずつ。


布や針や糸にハサミ、服や靴、鍋や釜、包丁など大量の生活必需品の数々。


銅と鉄と鋼の合金がそれぞれ百キロずつ。


牛6頭、馬4頭、ニワトリが二十羽。


各種野菜の種が十数種類。


支援金として、金貨500枚。


それから人員が150名。

ロンメル辺境伯の領内で、土木関連の仕事をしていた人達が100名。

農作業に従事していた人達が30名。

大工をしていた人達が10名。

動物の世話をしていた人達が3名。

事務や内政をしていた人達が5名。

食事などの世話係が2名。


全てリンドロット領へそのまま移住しても良いと考えている者達を選んだとの事。



最後に、「早く孫の顔を見せられるようになれよ婿殿」というありがたいメッセージまでついてきた。


絶対にロンメル辺境伯は、この状況を楽しんでる……。



さらに、この支援部隊を護衛して来た騎士団が、また周辺の魔物退治までしていってくれた。


正直、ここまでの支援は予想していなかったので心底驚いてしまった。


すぐにお礼の書状を認め、前回渡し損ねた大人の頭程もある大きな赤毛斬牙熊の魔石を添えて送り届けた。




支援に来てくれた人達は、次の日からさっそく働いてもらった。


大工をしていた人達10名は、大工のガルドさんと共に住居の建設に。


動物の世話をしていた人達3名は、石工のゼノさんと共に、動物の世話をしながらそれぞれの柵や小屋作りを。


事務や内政をしていた人達5名は、フローラに預けた。さっそく帳簿を見直したりしているそうだ。


食事などの世話係2名は村の女達に任せた。


そして、土木と農作業をしていた残りの130名は、村の周りにぐるりと堀と防壁を作ってもらう事にした。


幅5メートル、深さ3メートルの堀を掘って、その土を堀の内側に積み上げて魔物避けの防壁を作る計画だ。


幅5メートル、高さも5メートルの木枠を堀に沿って組み、その中に掘った土と粉々に細かくした白魔石を混ぜたモノを入れて行った。


ここら辺一帯の土は水分を多量に含んでいる為、泥の様になった土は積み上げ難い上に、中の水分が抜けずに乾き方が中途半端になると防壁が脆くなってしまう事が懸念された。


どうしようかと悩んでいたところに石工のゼノさんから、白魔石はとても水はけが良くすぐに乾く性質があると教えてもらったのだ。


何でも雨上がりに白魔山に行くと、周りは水たまりが出来るほど濡れていても、白魔山だけは晴天だったのではないかと錯覚するほど、どの白魔石も良く乾いているのだとか。


それを聞いてさっそく試してみたところ、見事に水分が抜けてカチカチに固まったので採用したのだ。

その固まった土を見ると、細かい所はいろいろ違うが、どう見ても前世の記憶にあるコンクリートにしか思えなかった。


その防壁を作る際も、先ずは土を盛る前に所々堀に向かって地面に溝を掘り、そこに砕いた白魔石を敷き詰めて土中の水分を吸収させたり、雨水を堀に流せる様にしておいた。


また、防壁を作る場所に杭を何本も打ち込み、そこに砂状にした白魔石を流し込んで、土壌改良を行いながら作業を進めていった。



そんな作業が軌道に乗り始めた頃、今度はブルーノ子爵からの支援が届いたとの報せを受けた。


急いで駆けつけると、そこにはほとんど着の身着のままといった姿の、約五十人の人達が不安そうに立ち尽くしている姿が目に飛び込んで来た。




…………え?、これはいったいどういう事?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。