25 力の発現
どうぞよろしくお願いします。
私だけ再生保存治療室へ戻り、牧野医療士と合流した。
室内は夜ということもあり、光量を落としていて、培養液が機器のパネルの光に揺らめいて、ブーンと言う作動音と呼吸の確認のためにわざと聞こえるような仕様になっている呼吸音が規則的に静かに響いている。
足や手を固定して浸している人は様子を見て体勢を変えながら、少しでも寝られるようにしていく。
ひとりだけ全身治療の男性は眠り続けているようだ。
うん、特に異常なし。
カルテチェックをする。まだ、名前の記入がない。
私の表情を見て牧野医療士が言った。
「身元不明なのよ」
「それって……」
「ええ、その可能性もあるわよね。
病院にはいつもより隊員が多いわ。
隣の部屋に特別に待機してもらっている。
……本当に、来月から当番月だっていうのに!
こんな騒ぎになるなんてね」
朝、私は医師の診察チェックに付き添い、退院が決まった人達の準備を手伝ったりしていた。
軽症だった人達はほとんど退院できて、中~重傷の人だけになり、病院内は落ち着きを取り戻しつつあった。
井狩総班長も来て、全体業務の様子を見て、指示をしたり、人数配置の見直しをしたりしているようだ。
美咲が欠員だもんね。
「アレク医療士!
悪いけれど、昼まで再生保存治療室にいてくれるかしら」
「はい、わかりました」
もう、治療の経過をチェックしている段階だから、短時間でもひとりで大丈夫。
黒須衛生士はシフト通りに宿舎待機になるそう。
手のひらの火傷の女性はだいぶいい。
医師の診察で、本人の希望も聞いて退院となった。
ただ、毎日の通院が必要。
まだまだ培養液の塗布をして湿潤状態を保つことが必要だからね。
彼女と他にも普通の病室に移れる患者が治療室を出て行き、全身治療の男性と足の再生治療の人が残る。
私は足の治療の人の状態を確認していた。
あら、けっこう良いペース!
そういえば、全体的に治癒ペースが早いかも。
退院した女性の火傷の状態を思い出す。彼女の治りも早かった。
うん、今はこっち!
うーん、ここの部分がもう少しこう再生してくれると機能的にも……。
え?
足の怪我の状態が目に見える形で、私がこうなったらと願う形に……。
私は自分の目を疑った。
なんで……。
確かに今までも私がこうなったらいいなと思う方向に治療がうまく進むことはあった。だから、治癒率が高くて、父にも『新人類』なんて言われて……。
でも、それは本当にこうなってくれたらいいながゆっくりと自然に治癒していきながらうまくいったという感じで。……本当にその力があって、それが強くなってる!?
この場である程度まで傷を治してしまえるくらいに!?
母の記憶が蘇る。
『これが運命です。
リアは冬馬の血が入ったことで、大丈夫だと思うのですが……。
ダンジョンの……』
読んで下さり、ありがとうございます。




