23 一段落
どうぞよろしくお願いします。
軽症者はこれで終わりのようだ。
残りの毛布、そのまま近くに置いておく。
「アレク医療士、あーいうのは『処置しますね』と切っちゃっていいよ」
後から来た藤堂医療士が山野井医療士から話を聞いてから、言った。
私は大きく頷いた。
「お手数おかけしてすみません。
助かりました……」
「ね、山野井医療士、カッコ良かったね」
黒須衛生士の言葉に山野井医療士が真っ赤になる。
タブレットに私が最初に手当てをした最初の男性のレントゲン検査の連絡が来た。
「あ、私が連れて行く」と山野井医療士が慌てたように言って。
「私も行きます!」
黒須衛生士と山野井医療士が連れて行ってくれた。
私は藤堂医療士と顔を見合わせる。
「なんか、あそこもいい感じかな」
「え、そうなんですか!?」
「あ、自分の方が忙しいから、気づいてなかった?」
「忙しいって……」
私は苦笑した。
「一段落したみたいだな」
一段落って!?
あ、応急手当ての方か!
原隊員が受付まで行って、もう患者がいないか確認してきてくれて戻って来た。
「結婚記念日だっていうのに、散々だな」
原隊員の言葉に藤堂医療士が笑う。
「原さんて結婚してましたっけ?」
「俺じゃないよ。アレクさんだよ。今日、入籍ほやほやだよな」
「えっ!?」
藤堂医療士がびっくりする。
「あ、美咲が国際結婚とか話してたと聞いて……。
実は美咲、私の名前を相手の方に言っていたようで……。もしかしてって、念のため?」
「えー、それで入籍しちゃうなんて!?
大岡大尉、本当にめちゃくちゃアレクさんのこと気に入ってるんだな!」
その時、タブレットに男の子のレントゲン検査の連絡が来た。
「あ、私、行きます!」
私は親子に声を掛けて、レントゲン室まで付き添った。
「さっきはごめんなさい」
男の子が検査に入って行き、レントゲン室の前でふたりきりになったタイミングでお母さんが謝ってくれた。
「いえ、私も……聞かれたら他に方法があるのかと思ってしまいますよね。
迷わすようなことを言ってしまいました」
「息子のお気に入りのTシャツだったの。……ふふっ」
お母さんが急に笑うからびっくりした。
「あの、男性の医師? 医療士さん?
厳しいこと言いながら、ちゃんとキャラクターを外して縫い目のそばを選んで切ってくれたわよね」
そうなのだ。山野井くん、すごく丁寧に切ってた。
「彼は医学生で、医師になる勉強中の医療士なんです」
「息子にあのTシャツで何か作ってやることにするわ」
そこへ山野井くんと黒須ちゃんがやって来て「付き添い変わるからアレク医療士は再生保存治療室の方へ」と言ってくれた。
私はお母さんににっこり笑って「それではこちらの医療士に引き継ぎます」と挨拶してから、培養液と再生治療機器を使う治療室へ行った。
読んで下さり、ありがとうございます。




