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19 立ち直る

どうぞよろしくお願いします。

 ハヤトがこちらを見た。

「……今は特に。

 ただ、捜査を始めるために早乙女中尉が本部の調査隊とこちらに向かっていると連絡があった。

 明日の午後には到着予定だ」

「早瀬製薬の?」

「そう、早瀬製薬の調べが進んで、染野と稲岡が『DE』と関りがあった。

 つまり、ピエール達と関りがあったということだ。それなら、武井も染野と研究で繋がっていて例の培養液の混入の件も……」

「混入だけじゃない。

 女性隊員をわざと危機に(さら)した」

「ああ、ということは小池大佐も」

 私は頷いた。

「当番月まであと一週間!

 そこをきちんとしないと、また同じようなことが起きてしまう……」

 ハヤトもわかってはいるんだろう。耳が痛いだろうな。でも、言わないといけない。

 

「アレク医療士! 大岡大尉!」

 原隊員だ!

「第三師団に戻ります!

 アレク医療士、一緒に戻りますか?」

「はい!

 戻ります!

 病院の外来に怪我人が運ばれてるのですよね!

 大岡大尉、私、病院の方へ行きます!」

「ああ、気をつけて!

 原隊員、妻を頼む」

「はい! えっ? 妻?」

 原隊員が私とハヤトの間で視線を行き来させる。

「さっき、結婚の届けを、出しましたっ!」

 私の言葉にちょっと驚いたようだけれど、にっと笑ってくれた。

「おめでとうございます!

 はい、奥様、お守りします!」

 原隊員の大きな声に、周囲が一度動きを止めて、こっちを見た、ような気がした。

 あわわ……。

「頼んだ! リア、気をつけて」

 ハヤトが私の頬を撫でて……。

 私もハヤトの胸に手を当てて「ハヤトもね」と言って……。

 そして、原隊員と第三師団へ戻るために建物を出て車の方へ向かった。


 車の中で原隊員が教えてくれた。

 実は原さんと小野田さんは本部から第三師団に出向というか潜入というか……。

 特に原さんは父のことをよく知っていて、志願してきたばかりのハヤトのことも、ハヤトが父に認められて特別に士官となったことなども見てきたそうだ。

 父が亡くなった時も現場にいたそう。


「あの時の大岡は凄かったんですよ。

 死力を尽くすというか、限界まで力と闘争心を全開にするというか。

 本当に早瀬中佐を慕っていて。

 それなのに、病院から早瀬中佐が亡くなったという知らせが……。

 信じられなかったんでしょう。

 病院へ駆けつけ、確認すると泣き叫んでましたよ」

 ハヤトが泣き叫ぶところを想像できなくて……。

「その後です。

 急に無気力になって。

 大岡は、日本へ戻りました。

 早瀬中佐の本部の研究室の資料管理を任されて、事務方となったと聞きました」

「なら、早乙女中尉とも?」

「はい、早乙女も一時期、早瀬中佐の元にいましたからね。

 大岡は……、少しずつ前向きになってはきたが、なかなか元には……。けれど、アレク医療士の入団をきっかけに、元の大岡に戻ったようで……。

 話を聞いて、無理しているところもあるんじゃないかと思うところもありましたが、大丈夫なようですね。

 きっと守るべきものが、アレクさんが現れたからでしょうね」

「私のせいで無理しているなら……」

「いやいや無理じゃないでしょう。アレクさん?」

「はい?」

「何があっても死なないように。

 あなたを失ったら、大岡は今度こそ、立ち直れないでしょう」

 私は頷いた。

「死なないように努力します」

「……早瀬中佐もこんな風に自分の研究が使われることは望んでいなかったはずなのに」

 原さんも父の思いをわかってくれている人なんだな。

「はい……」


読んで下さり、ありがとうございます。

あら、ログインしたらランクインしてると!?

評価してくださった方、ありがとうございます。

何も反応ないなー、もう他の人には面白いとは思ってもらえない自己満足の作品なのか!? と思っていたところもあって、とてもびっくりすると同時にうれしかったです。(実はびっくりの方が大きかった!)

これからも頑張ります!

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