13 勘違いしているふり
どうぞよろしくお願いします。
「亮さんは、昨日も今日もお休みなんですか?」
牧野さんが不思議そうに聞いた。
「はい、休みが選べます。
私は研究者ですし。
その……、早瀬中佐のお嬢さんがいらっしゃってるなら、この一週間のうちに休暇があるだろうと」
「ストーカー!」
黒須ちゃんが小さく叫んで。
「いや、運良く出会えたらと!
でも、そうですね。結果的にDEのピエールと同じような動きを……」
「でも、アレクのことを何も知らないのに?」
「ああ、それは……。
そうか、名簿で調べたら!」
ハヤトが首を振った。
「日本は少佐以上の人物の写真しか公開していないよ。
それ以下は名前だけだ」
小野田さんが気がついたように言った。
「でも、あっちの早瀬をアレクさんだと勘違いしてくれているなら。
アレクさんに付きまとう危険な奴らが減るわけで、いいんじゃないか?」
黒須ちゃんも「そうね!!」なんて……。
亮さんが恐る恐るという感じで言う。
「いや……、もし、アレクサンドラさんだと思って、コンタクトを取り……、違うとわかったら。
その美咲さんの身が危険ですね」
牧野さんがハヤトを見た。
「一緒に第三師団に来て、井狩総班長にお話ししてくれませんか?」
「ああ、行く。ちょっと話したいこともあって」
ハヤトが私を見る。
私も話さなきゃいけないことがある。頷く。
亮さんが「私も行ってもいいでしょうか?」と言った。
ハヤトが少し考えてから返事をした。
「いや、亮さんにも勘違いしているふりをしていてもらいたい。
そうすれば、そのピエールや他の人物もすぐに気がつかないんじゃないかと」
「……そうですね。
確かに、私達はお互いを気にしているところはあります」
ハヤトは亮さんと連絡先を交換した。
「大岡大尉って!? あの!!」
「ああ、早瀬中佐の右腕の大岡大尉だよ」
小野田さんの方がうれしそうに言って。
「アレクの婚約者でもあるわ!」
黒須ちゃんまで……。
「えっ!?
早瀬中佐のお嬢さんのアレクさんと、あの大岡大尉が結婚!?
それはすごい!
一緒に『早瀬ファイル』の研究を!?」
「まだ研究ってとこまでは。
父の残した資料やメモを整理しているところです。
でも、今はダンジョンの方に来ているので、そっちの作業は停まっちゃってますね」
私は苦笑しながら言った。
「それにしても……、亮さん、日本語お上手ですね!」
黒須ちゃんが感心したように言った。
「あ、日本にいたことが。子どもの時と、防衛隊の研究者になってからも」
亮さんと小野田さんだけ、先に居酒屋を出てもらう。
そして、10分後。私達は出て、第三師団の宿舎に向かった。
読んで下さり、ありがとうございます。




