12 母の記憶
どうぞよろしくお願いします。
「亮さん、父も同じ考えです。
そして、父はその進化が、なぜこのようなダンジョンが地球上に出現したかの原因と理由を探る糸口になるのではと考えていました」
私の言葉に亮さんが感激したような表情で「ああ、あなたこそ本物の早瀬中佐のお嬢様なのですね!」と言ってから心配そうな表情になる。
「気をつけて下さい。
ピエール以外にも、それに……、各国の防衛隊の中にまだ所属して活動している者もいるようです。
ピエールは顔がいいから各エリアの街を渡り歩いて情報を探っているようです」
「日本街で?」
牧野さんの言葉に亮さんは頷く。
「日本街は比較的治安もよく、他のエリアの隊員や民間人が来ることも多いですから、動きやすいようですね。
それに、ピエールは日本語が少しできるのと、顔がいいから」
「確かに……、何度か見かけたことがあるのよね。あの人。
二年前ぐらいからじゃないかしら」
ハヤトが「調べてみます」と言って、スマホで何か調べている。
小野田さんがそれを覗き込んでいる。
黒須ちゃんが言った。
「じゃあ、あの手紙は渡さない方がいいの?」
牧野さんがうーんと考え込んでいる。
怪しくても預かってしまったわけだし、中を見るとか渡さないとか、人間としてね……。
ハヤトと小野田さんがスマホから顔を上げた。
「うん、亮さん、あなたのことは中国防衛隊の名簿にありました。
研究者の方で写真も載せられていて、ご本人と確認できました。
ピエールの方は除隊しているのなら……、本部の方で調べればわかるか……、でも、顔がわからないな」
「一応身分的には偽っていないことがわかったが……」
小野田さんもまだ心配そうだ。
牧野さんが自分のスマホを出した。
「動画はあります」
え?
「怪しいと思って、黒須さんに声を掛けてきた時から護身のため……」
ハヤトの方にピエールの動画は転送してもらい、調べてもらうことにしたが、悩ましいのは手紙をどうするかだ。
「ピエールはその、美咲さんをアレクサンドリアさんと勘違いしている?
というか、あの人、自分がアレクサンドリアだと言いましたよ!?」
亮さんがプンプンしている。
ああ……。
「あの人、日本でも同じことしてたんです!」
黒須ちゃんがそう言って、亮さんが驚く。
「でも、全然見た目違います!?」
私は髪に触れながら言った。
「ああ、日本では髪を染めるように言われてて、目の色は眼鏡をかけて誤魔化すようにと。
その、美咲に、私の方が似せるように……」
「それは……、どういうことですか!?」
うん、わけわかんないよね。
なんだか黒須ちゃんが一生懸命説明している。
うーん、こんなことより、私は武井先生のことをハヤトと話さないといけない気がする。
その時、ふと記憶が浮かんだ。
母を診る武井先生が「なんでだ?」と首を傾げている。
母は、弱々しく言った。
「これが運命です。
リアは冬馬の血が入ったことで、大丈夫だと思うのですが……。
ダンジョンの……」
そこで記憶が途切れた。
ん……、なんだろう。
ダンジョンの何?
読んで下さり、ありがとうございます。




