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8 入団

どうぞよろしくお願いします。

 ファミレスで軽食と温かい飲み物をのんびりと頂き、それから両親のお墓参りをした。

 少し早いけれど、もう行っちゃえ。


 第三師団。父から聞いていたから知っている。ダンジョンに、つまり『前線』に派遣される兵が所属されるところだ。

 父も最初はここ所属で、その後、本部に異動になった、はず。

 受付に「少し早く来てしまいました」と申し出ると、手続きの場所を教えてもらえた。

 受付横の会議室みたいなところ。

 入ると、奥のテーブルに父より若いかなぐらいの男性と私より年上かなという女性がいて、準備をしているところだった。


「当番の方ですか?」

 女性に声を掛けられ、私はテーブルに行きながら、カバンから志願許可書類や身分証を取り出した。

「志願です。早瀬アレクサンドリア、19歳です」

 男性が受け取ってくれ、ざっと書類に目を通す。

 女性に身分証を渡している。何か機械に掛けて、そして身分証は返してくれた。

 男性が読み上げる。

「早瀬……アレクサンドリア……、第三師団医療班第3班医療士として所属。

 ……再生保存療法で、目覚ましい成績を上げているようだね」

「はい、四肢の欠損からの再生、リハビリ医療に従事してきました」

 女性の方が大きな声で言う。

「それで、なんで志願を?

 傷病者の回復期に重要な仕事だろうに!?」

 美咲の勤務期間短縮のために差し出されたわけだし、自分の意思じゃないし、わかんないよ。

 私は首を傾げた。


「早瀬って、早瀬少佐の?」

 男性が聞きにくそうに言った。

「はい、早瀬冬馬の娘です」

「眼鏡と髪色は?」

「目立たないようにと叔父に言われて、眼鏡で隠して、髪は染めています」

 眼鏡と髪を触りながら説明する。

「眼鏡は必要ではない?」

「はい、でも、掛けていないと叔父に怒られます」

「ここには叔父さんはいないだろうに」

「でも、従姉が徴、いえ、当番です。同じ配属先と聞いているので、彼女からも怒られるでしょうし、報告が行くと思います」

「……そうか。それで? 志願?

 仲がいいんだね。

 ダンジョンでは外国から来た兵や軍もいる。そこまで髪や瞳の色は問題ないよ。

 君の父上も派遣されてることが多かったね。

 その……、髪染めと眼鏡は今日限りやめなさい。

 何か言われたら、上からそのように指示があったと言ってよい」

「はい」

 頷いて眼鏡を外して、しまおうとしたら、眼鏡を横からさっと取り上げられた。

 びっくりして見上げると、ハヤトだった。

「えっ?」

「第三師団午後に入団って言ってただろ」

「大岡大尉!」

 女性の方が憧れを滲ませた弾んだ声で呼んだ。


 やっぱり……、軍人だったんだ。

 そうだ、『徴兵』『前線』って言葉を使っても違和感なかったか。

 でも、いつも軍服じゃないかったし? 事務の内勤? でも今、軍服……。

 父は家から制服というか軍服着てたけど!?


 ハヤトが受付のふたりに言う。

「彼女は医療班第3班か。部屋は?」

「B棟603です!」

 女性が鍵を差し出した。ハヤトが受け取る。

「わかった、私が案内する」

 男性の方が少し慌てる。

「彼女のことをご存じなんですか? 彼女は早瀬少佐の……」

「ああ、知っている。彼女は私の恋人でね」

 そう言いながら、足元に置いていた重いカバンを持ってくれる。

 女性の方が慌てて何か書類一式をくれ、私は反射的に受け取り会釈すると、すでに歩き出したハヤトを追った。


読んで下さり、ありがとうございます。

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