9 タケイクリニック
どうぞよろしくお願いします。
調べた住所はハヤトに伝えてあったし、タケイクリニックはすぐに見つかった。
小さな雑居ビルの1階。
ドアを開け入って行くと、待合室があって奥に受付らしいカウンターがあるけど人はいない。近づいてみるとタブレットがこちらに向けておいてあり『受付ボタン』と『診療中 6番目』と表示が出てる。
2人待っている。
私は『受付』をタップして、名前、生年月日、性別、病状と入力していく。
病状の所に『早瀬冬馬の娘のアレクです。会いに来ました』とした。
横の小さなプリンターが動いて『8番目』と印字された小さな紙が出てくる。整理券みたいな?
待合室に座ると『7番の方どうぞ!』と男性の声が放送みたいに響き、待っていた2人がカウンター横のドア『診察室』を開けて入って行く。
入れ違いのように1人出てきて、私達をちらりと見て出て行った。
ハヤトを見ると首を振られる。
出てきた人も入っていった2人も日本の防衛隊の人ではなさそうだ。
街の民間人なのかな?
まあ、これだけお店があれば、従業員もいるわけだから、風邪とか小さな怪我とか持病がある人とかいるだろうしね。
防衛隊の病院外来もあるけれど、それは大きな病院みたいな扱いなのだろう、ここでは。
少し待つと2人も出てきた。
手に薬の袋を持っている。
会計と薬まで、奥の診察室で済ませちゃうスタイルなのな?
『……8番の方、どうぞ!』
放送の声に私とハヤトは立ち上がり、診察室のドアを開けた。
「……アレク? 本当にアレクなのか?」
「はい! 御無沙汰しています。アレクサンドラです」
私は椅子に座っている武井先生にぺこりと頭を下げる。
「どうしてここまで? あ、冬馬の?」
「えっと、今、防衛隊で医療士をしていて」
武井先生はハヤトを訝し気に見ている。
「あ、防衛隊で一緒で。私の婚約者です。
大岡隼人さんといいます。父の研究を引き継いでくれてて」
「冬馬の研究……? 薬学の方じゃなく、早瀬ファイルか?」
ハヤトが一歩前に出て言う。
「助手のようなことをしていましたが、そこまで理解できてるかというと。
リアの方が研究の本質は深く理解していると思います」
武井先生は何やらデスクの上のパソコンをいじると「今日は店じまいだ」と言って立ち上がった。
促されて診察室を出ると受付のタブレットが『本日休診』の表示になってる。
「2階が住居なんだよ」
受付の反対側にもドアがあり、先生はそのドアを開けると階段が現れた。
急に不安になる。
階段を上がっていく先生……、あれ?
私は先生の後姿を見上げて言った。
「……再生医療を受けられたのですか?」
読んで下さり、ありがとうございます。




