表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/201

7 即戦力

どうぞよろしくお願いします。

『ダンジョンは人類を進化させるために誕生したのでは?』っていう話だ。

 進化しているとしても……、なんでダンジョンが誕生したのかは全くわからないもんね。

 でも、だからこそ『進化』の方向にその糸口があるのではという内容だった。


「俺達が『早瀬さん』と呼ぶたびに『なぬ? 早瀬? 早瀬の身内か!』という感じで話し掛けられてさ。

 早瀬中佐の身内だと答えてたみたいで、今度ゆっくり話をって、3~4人から名刺とか連絡先のメモ貰ってたよな!?」

 藤堂さんの説明に山野井くんも頷く。

「そうですね……、中国、ロシア……、フランス……あたりっぽい人達でしたね」

「アレクさんの方が詳しそうなのにな! 

 または、本部の大岡大尉とか」

「そうですね。

 でも、当番月を控えて、今は他のことまで考えられないですよ。

 まず、きちんと動けるようにならないと……」

 私は医療技師であったので、そこまで応急手当とかすぐに判断してできる方じゃない。今は、すぐに何をすればいいのか判断してまごつかずに応急手当できるように必死だ。

 応急手当って部分では、衛生士の黒須ちゃんとそこまで変わらないと思う。

 美咲も薬学研究者で私より現場に出ていないわけだから、似たようなものだと思う。

 新人4人の中で山野井くんが一番、即戦力で一人前に近い。


「山野井くん、藤堂さん、もしお時間あれば、後で応急手当のケースについて見て下さい!」

 私はお願いしてみた。

「ああ、いいよ!」

 山野井くんが頷いてくれ、藤堂さんも「少しなら」と言ってくれた。

 

 夕食後、共有スペースで勉強会だ。

「えっと、ケース1、魔物との戦闘で、炎により手に重度の火傷。他に外傷はなし。意識はあり、強い痛みを訴えている。

 ……この場合は、すぐに火傷部分を培養液を浸した布で保護して、その上から冷却パックを巻いて冷やす?」

 私の答えに山野井くんが頷く。

「うん、水分補給もできればより良い。

 このケースなら、経口で摂取できるよね」

「そうか! 怪我だけじゃない、全身症状もだね!」

 私はノートに書きこむ。

 想定ケースごとに、私が答え、それにアドバイスをもらっていく。黒須ちゃんも時々、答えたり、お互い、この手当より、こっちの方がより良いんじゃないかと意見し合ったり。

 藤堂さんが「A班のふたりは熱心だね」と言った。

「……山野井くんはすごい即戦力ですけど?」

 私の返事に笑う。

「ああ、山野井はね。

 もうひとりの早瀬さんは……。

 そのうち衛生士に降格されるかもね。

 何故か、こちらに指示してくるんだけど……、的外れでさ。

 自分ではやろうとしないし」

「……的外れなら、何もしない方が……」

「ははっ、確かに!

 まあ、徴兵だと一定数、そういうやる気がないというか変な態度の人物っていたりはあるんだけど。

 早瀬さんの場合は、変に医療に携わっていたというプライドがあるからか……。

 今までにいないタイプだな。」

「……それでも許されるんですか?」

「許すも何も、呆れられてると思う。

 そうだね。逆に何もしないで、機材を運んでくれてると思えばいいのかも。

 阿部も、もう二日目で『匙を投げた』って言ってたし」

「……山野井くん、頑張れ! 巻き込まれないようにね!」

 私の悲しそうな呟きに山野井くんが笑った。


読んで下さり、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ