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64 見つけた

どうぞよろしくお願いします。

 食堂の前で万理さんと別れて、研究室に戻る。

 そして、研究室のパソコンで名簿にアクセスした。

 自分の番号を求められ、身分証のコードを打ち込む。

『武井』『医師or医療士』と条件を付けた。

 18件ヒット!

 うんもう少し絞り込みたい。

『ギリシャダンジョン』と付け加える。

 4件に絞り込めた。

 確認していく。

 2件目の人だと思うけど、一応最後まで目を通して確認してから、戻る。


 武井宏(たけいひろし)

 医師として志願入隊。第三師団、後に本部所属。

 足の怪我のため、除隊。

 早瀬製薬に就職し保全療法の研究に従事。

 早瀬製薬を退職後、アラスカダンジョンそばで民間の診療所を開設。


 なんと! アラスカにいるとはね!

 会いに行ける!

 父とは繋がっていたのかな?

 手帳に武井宏、アラスカ、民間の診療所と手帳にメモる。

 一度、名簿からログアウトして、ネットで『アラスカ 診療所』で検索を掛ける。

 これも、ごちゃっといっぱい出てきて。そうか、アラスカも広いしな。

『武井 タケイ ダンジョン』と追加条件を加えた。

 出てきたのは『タケイクリニック』という英語の名前。

 ダンジョンの街に3つ、民間のクリニックというかホスピタルというか、あって、そのうちのひとつだ。その住所と電話番号も書き取る。

 パソコンを閉じ、研究室の衝立の陰で私服に着替えた。

 制服は畳んで大きな紙袋に入れて置く。


 もう出かける仕度はできたけど、ハヤト、遅いな。なんか時間かかってるのかな?

 軽くため息をついて、何かすることを考える。あ、冷蔵庫の中って?

 小さな台所のミニ冷蔵庫を開けて、中を確認。

 チョコレートの箱と、飲み物のペットボトルが3本とストロベリージャムの瓶が入ってた。

 ジャムの瓶だけ賞味期限切れてる。でも、なんとなく、父のだと思った。他のはまだ大丈夫。半年以上先だ。悩んだけど、ジャムの瓶はまた戻した。

 そうか、棚のお茶は?

 インスタントのコーヒーと紅茶と緑茶。

 うん、まだ置いておいても大丈夫そう。

 流しの下の棚は……。しゃがんで開けて、洗剤の予備など確認してたら、ドアの音がした。

 私はしゃがんだまま、ひょいと部屋の方を見た。

 

 知らない男性だ。制服じゃなくてスーツを着ている。どこの人だろう?

 防衛隊の人? 

 ここまで入って来れるってことは、関係がある人なのかな?

 研究室内に入ると、そっとドアを閉めて、研究室の中を窺って「誰もいない?」と呟いた声が聞こえる。

 私が低い位置にいたから気づかなかったみたい。

 えーと、どうしよう。

 私、もう私服になっちゃってるしな。

 なんかの用事なら、誰もいなければ、出直すか?

 でも、この後、休暇で外に出ちゃうしな。

 私はどうしようか迷って、また研究室の方を見た。

 男性は研究室の真ん中まで進んでから、ぐるっと周囲を見回し、ある資料に興味を持ったようで引き寄せられるようにそちらに近づいて熱心に見始めた。

 私から見ると後ろ姿がよく見える位置だから、観察できた。

 若いよね。

 私とハヤトの間ぐらいだ。

 そして資料をよく見ようとしたのか、手を伸ばし、触ろうとしたので、私は思わず「触らないで下さい!」と立ち上がり声を掛けてしまった。

読んで下さり、ありがとうございます。

67話で第一章が終わる予定です。

今はその先のアラスカダンジョンのこと書いています。いろいろ宿舎とか街とか考えるの楽しいです。そこから異世界の話にどんどん引きずりこまれて行くことになります。


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