63 新しい友人
どうぞよろしくお願いします。
次の日、私は研究室の掃除をした。
ハヤトは大佐や早乙女中尉と話があると出て行っていて、ひとりだったので気楽に掃除を進めていた。
いや、手は抜いてないよ。
使っていないデスクの引き出しを開けると、古いアルバムが入っていて。
私は何気なく開いてびっくりした。
私が知りたかった名前がそこにあった。
『武井と、ギリシャにて』
父の字。
名前がわかり、ギリシャでの若い父と前主治医の姿を見て、おぼろげな記憶が具体的に浮かび上がってきた。
医学と薬学と高校以降の道は近いものがありながら違ったが、また防衛隊で一緒になって……。
武井さんが足に怪我をして、除隊して、早瀬製薬に……。
そうだ! だから、私達が日本に来た時、迎えてくれて!
そこから母が亡くなるあたりまで、私達家族の主治医のような……。
思い出してきた!
そうだ、会社はやめてしまったと聞いたんだ。
防衛隊にいたことがあるなら、防衛隊の情報で探すことはできるのかな?
私はアルバムから、その写真を取り出して、アルバムは元の場所にしまって、手帳のファイルページに写真を挟んだ。
あと二日しかないけど、何とか探し方を探さないと。
探し方を探すって、なんか前途多難な感じ。
掃除を続けて、そろそろお昼だなという頃、スマホにハヤトからの連絡が入った。
『もう少し時間がかかる。先に昼食を食べててくれ』
私は少しがっかりしながら食堂に向かった。
「早瀬医療士! こんにちは!」
声を掛けられて、はっとすると、カウンターの!
「今日はすごいナチュラルメイク?」
カウンターの係さんの言葉に笑ってしまった。
「あ、やっぱり、薄過ぎ?
なんか不安で……」
まだフェイスパウダーとかなくて、とりあえず、日焼け止め下地の後に、軽くアイシャドウの薄いピンクを指でちょっとのせてみたんだけど……。
「今日、これから休みなので、化粧品を買いに行こうと思ってます!」
「午後お休みなんですね! いいですね!」
係さんもひとりでお昼、かな?
「良かったら……、一緒にお昼、どうですか?」
「わあ、いいですね! 御一緒しましょう!」
良かった。
一緒に日替わり定食にして、食堂の少し奥のふたりテーブル席に行くことにした。
食べながら、アラスカダンジョンに行くことになり、その準備で買い物などにこれから行くことを話す。
「あ、通帳お持ちなら、ATMで記帳されるといいですよ。
大型ショッピングモールなら全銀行対応のATMありますから」
「ありがとうございます。
そうですね。いろいろ金額が動いているはずです。
確認してみます。
その……、お名前教えてもらっても?」
係の女性は近藤万里さんというお名前だった。私より2つ年上の21歳。美咲と一緒だ。
かわいらしい感じだけど、しっかり者のお姉さんって感じ。
けっこう仕事は早いし、的確!
実はメイクに興味があるそうで、私がダンジョンから帰ってきたら、メイクの話をしたり買い物に一緒に行こうという話になり、連絡先を交換した。
その時、ふと聞いてみた。
「万里さん、父の友人で連絡先がわからない方がいるのだけど。
以前防衛隊にいらした方で。
調べる方法ってありますか?」
「早瀬中佐の御友人?」
「はい、学生時代からの友人で、防衛隊でも一緒だったそうです。
怪我をされて除隊され、その後、しばらく我が家にいらしてたんだけど、もう私とは関りがなくなってしまって。
父と母のことを知っている方なので、お会いしてお話できたらって、最近思うようになって」
「……防衛隊にいたなら、調べられるかもです。
防衛隊に所属していた方の名簿があります。
除隊後も例えば防衛隊と関係のある仕事をされていたりすると、近況が書き加えられているケースもあります」
「本当! ありがとうございます!
まず、自分で調べてみます!」
「はい、もしわからなくて困ったら、またご相談下さい!」
読んで下さり、ありがとうございます。




