58 どんなことがあっても
どうぞよろしくお願いします。
その後は大慌てだった。
ハヤトがシャワーを浴びている間に、私は散らばる服を拾い集め洗濯籠に放り込み、辞令の紙と封筒を拾って戻すと、私のカバンに入れた。
テーブルの上の残骸をゴミ分類しながら片付け、お湯を沸かし始める。
パンとキウイを出したところで、ハヤトが出てきて、私とタッチ交代。
私はシャワーを浴びて、出てきてすぐに髪を乾かし、そのまま制服を着てしまう。
リビングではハヤトがトーストを焼いて、キウイを切って皿に並べてくれてて、お茶も入れてくれてた。自分の分はもう食べ終える頃。
「ありがとう!」
私も席に着き、お茶を飲んでトーストを齧り始める。
「じゃ、俺、仕度するな」
ハヤトは自分の使っていた皿を流しに下げると、書斎に仕度に行った。
私はキウイをフォークで刺して口に入れながら時計を見る。
ああ、何とか間に合いそう。
ほっとしながら、ふふっと笑いがこみ上げてくる。
ハヤトとだったら、どんなピンチでもふたりで協力して乗り越えられそう。
それを強く感じたのがこんな朝寝坊というか、あんなことをしてからのリカバリーというのがまた笑っちゃうけど。
私が食器を下げる。
洗うのは帰ってからでいいか。水だけ流しておこう。
ハヤトが完全に仕度を終えて、戻って来た。
私が洗面所に行き歯を磨いていると、ハヤトがシーツをまとめて洗濯籠に……、もう入らない……。
「洗濯機の中に置いておこう」
私はそう言って、うがいをして、それから思い出した。
今日、メイク研修だ!
慌ててベッドサイドの私の私物置きから小さなポーチを取り出して、カバンに入れた。
家の戸締りをして、急ぎ足で家を出て駐車場へ。車に乗り込んで出発して、ほっとする。
「前に話してたけど、今日の夕方、メイク研修で。
午後4時から美容室の隣の部屋に行きます」
「了解。そのまま、帰りの時間までだな?」
「はい、一度研究室に戻った方が?」
「いや、俺が迎えに行くよ。そのまま帰ろう」
「はい!」
「化粧したリアを見るのも楽しみだな」
「ご希望に添えるように頑張ります!」
「うん。
日中は研究室をしばらく閉じるための作業確認と……、明日か明後日、半日ぐらい準備のための休暇を貰おう」
「……そうですね。家のこともちゃんとしていきたいし」
「明日、荷物を入れる専用の輸送箱を宿舎に届けてもらうように手配する。
俺とリアのふたつだな」
「はい、そんなのあるんですね」
「期間は書いてなかったからな。まあ、最短で二週間というところか?
もう少しかかるかもしれないし……」
私は頷いた。
いつもの時間通りに本部に着いて、カウンターの前を挨拶して通ろうとすると呼び止められた。
「早瀬医療士!」
前に電話や口座のことで応対してくれた係さんだ。
「はい!」
私がカウンターへ寄るとにっこり微笑んだ。
「まだ、正式に書類が届いていないんですが、今日のお帰りまでには、遺族年金のことは片が付きます。
連絡がありました。
帰りに忘れずにお寄りください!」
「ありがとうございます!」
お礼を言ってからハヤトの元に戻り歩き出す。
さあ、準備だ!
といっても何をするのか、私にはいまいちわかってないけど。
読んで下さり、ありがとうございます。




