5 従姉妹同士
どうぞよろしくお願いします。
「あなたは姫の従姉で、彼女の勤務……出兵期間を短縮するために志願までして一緒に来てくれるリアを、嫌っている?」
私は頷いて自分のシャツのボタンを外していく。
彼は慌てて押し留めようとする。
「いえ、見て欲しいんです」
シャツをはだけて背中の方をハヤトの方に向けるとシャツを引き下ろして背中を見せる。下着はブラキャミソールで、右肩と背中のあたりの大きな傷跡が見えるはずだ。
「姫に、子どもの頃、10歳の時です。
ガラスの花瓶を割った上に突き倒されて……。
その時は私の父は存命で、不在がちとはいえ当主は父でしたので……。
羨ましかったようです。
私のことが。
父が、派遣された外国の生地でできたワンピースを贈ってくれて。
着ていたら、自慢していると取られたようです。
すぐに怪我の治療はしてもらえましたが、家を守る叔父夫婦からは、私が自慢気に見せびらかしたからであって、私が悪いと」
「それは子どもとはいえ、傷害事件ではないですか!?」
「子ども同士の事故ということで。
それからです。姫は私を……、害しても大丈夫だと思ったようで……。小さな嫌がらせはけっこうありました。
父が亡くなって、成人直前に……、使用人の男性に襲われたこともありましたし。
たぶん、前線となると、いろいろ危険なことがあるでしょう。
姫に、そのような目に合わされることもあるかと、覚悟はしています」
「男に襲われて大丈夫だったのですか?」
「はい、大丈夫でした。
私の父は軍人です。私も少々護身術を習っていますし、その時はちょうど幼馴染の友人が遊びに来てくれていて、気づいてくれて」
あの時は敏夫が来てくれて助かったのだ。
美咲としては私が乱暴された後に一緒に来るつもりだったのだろう。
父から護身術を一通り習っていたので、暴漢として襲い掛かって来た下男を取り押さえて人を呼ぶ声を上げていた。しかし、美咲のせいか、人がその場から遠ざけられていたようで……。
でも私の声を聞きつけた敏夫が駆け付けてくれて、さらに大きな声で人を呼びながら一緒に取り押さえてくれて……。
「それは良かった……。
でも、そんな従姉のために志願するとは……」
「仕方がありません。私の意思は認められないんです。
母も父も亡くなりましたが、私は父の家の娘であることは変えることができません。
このまま生きていても、そのうち家のためと叔父に利用されることになるでしょう。
このまま働き続けるか、どこかに嫁に出されるか。
でも、意外なことに、今回の志願ということになったのです。
結婚ではないですから……、私はこの身を自分の好きなようにできる。
だから、申しわけないけれど、私にハヤトに恋していたという思い出を下さい。
私を抱いて下さい」
私は真っ赤になりながら、もう一度お願いした。
ダンジョンには女性を性的に凌辱しようとする魔物もいると聞く。
美咲のことだ、私をそういうところに置き去りにするくらいしてくるかも。
さすがにそうなったら、もう生きていることはできないだろう。
読んで下さり、ありがとうございます。
さすがにもう少し話を進めた方が読みやすいかと、今日は5話まで連続投稿しました。
これからもどうぞよろしくお願いします。




