46 借りる
どうぞよろしくお願いします。
「料理の本?」
早乙女中尉に抱えている本を覗き込まれる。
「勉強中で……」
「へー、大岡大尉は?」
「研究室にいませんでした?」
「いなかった」
「まだ、戻られていないんですね。
昼前に呼び出しがあったと、出て行かれました」
「なるほど、それで昼食は愛理と食べてたのか!」
「見てたんですか?」
「うん、女子同士の話でもあるのかと」
「図書室の話とか、研修の話、とか。
で、図書室、行ってきたんです」
「早瀬医療士!」
ハヤトの声がして、振り向くと、ハヤトがこちらに戻ってくるところだった。
私が返事するより早く早乙女中尉が言った。
「あ、良かった!
大岡大尉!
明日、ちょっと早瀬医療士を借りても?」
「断る!」
「おい、そんな即答しなくても。
実は早瀬製薬に視察があるんだ。
医療品や薬品に詳しい者を連れて行きたいとなってね」
私は身を乗り出した。
「早瀬製薬に!?
行きます!
明日のいつですか?」
「明日の午後だ。
どうする? 大岡大尉も来るか?」
「行くよ」
「だと思った。そのまま直帰できるから、そのつもりで!
詳しいことはメールで知らせる!」
早乙女中尉とその部下は、私とハヤトに軽く礼をして去って行った。
「査察ではなく、視察か。
会社には連絡済み、とはいえ、見ておく価値はあるな」
ハヤトの言葉に私は頷いた。
培養液のことを、早瀬製薬の方からも探りたい。
次の日、私は朝一で美容室へ向かった。
いた! 美容師さんっ!
「あら、おはよう」
「おはようございます!
あの、美容室でメイクレッスンを受けられると聞いて、予約しに来ました」
「あら、うれしい。いつがいいの?」
私は受付のパソコンを覗き込む。
「研修扱いになるから、仕事中でも大丈夫よ」
「えーと、美容師さんの担当の日は?」
「私は上野っていうの。
水曜日の午後と、金曜日の午前ね」
「あ、じゃあ明日! ここで!」
明日、水曜日の一番最後の時間に予約をした。
そのまま帰れるもんね。
午前中はいつものように研究室で仕事。
早めに昼食を済ませて、帰りの仕度をしてしまう。ハヤトの車でついて行くことにしたんだけど、なぜか早乙女中尉がこっちの車に……。
「なんで、早乙女中尉が!?」
ハヤトの言葉に「俺が乗ってないと仕事って感じがしないでしょ」と笑う早乙女中尉。
「駐車場、案内するから」
「ちゃんと理由があるなら言って下さいよ。
嫌がらせかと思った」
ハヤトが顔を顰めて言う。早乙女中尉がそんな隼人を見ながらさらに言葉を続ける。
「あ、一応、この間の修羅場の男がいたらと思って、早瀬ちゃんをどう守るか相談しておこうとも思ったのになー」
「だから、ちゃんと言って下さいよ……」
読んで下さり、ありがとうございます。
スマホで打つの、けっこう大変ですね。
昨夜、パソコン何とか直ったみたいです。
今日はパソコンで作業できそうで、良かった……。




